A1:レストランありきのデートだった。
恭子をマッチングアプリで見つけた時、「笑顔が可愛い子だな」というのが第一印象だった。しかも“いいね”を送ると、早速“いいね”が返ってきた。
そこからは比較的スムーズに話が進み、僕たちはすぐに実際に会うことになる。
店選びは悩んだけれど、最近友人が行って「美味しかったし雰囲気も良い」と言っていた、赤坂にある『ルイプリマ』を選んだ。
初めて行く店だったのに、どこかアットホームで、店内にはヴィンテージ系の雑貨屋やポスター、アート関連のグッズなどが非常にセンス良くディスプレイされている。
古い宝箱のような店内を見渡していると、恭子がやってきた。そして恭子も、僕とまったく同じ反応をしている。
「すごく素敵なお店…!」
その反応を見て、僕は思わず笑ってしまった。
「良かったです、気に入ってくれたみたいで。ここ業界系の人も多いらしく、美味しいって有名で…一度来てみたかったんです。僕も初めてなんですけど、素敵ですよね」
「はい!すごく素敵です」
笑顔で大きく頷く恭子。その笑顔を見ると、初対面だけれど「マッチしたのがこの子で良かった」と思う。
そしてビールを飲みながら、お互い色々な質問を投げかけていく。
「恭子さん、お住まいどちらですか?」
「私は恵比寿です。蓮さんは?」
「僕は三茶のほうです」
「そうなんですね。会社はどちらにあるんですか?」
そんな食事の最中。次々と美味しい食事が運ばれてくるのだが、その度に恭子は感動している。
「美味しい…!」
再び美味しそうに食べる恭子を見て、僕まで幸せな気持ちになった。
「恭子さんって、本当に美味しそうに食べますね」
「私、よく食べるので…」
「いいじゃないですか。僕は結婚するなら、ご飯を美味しそうに、たくさん食べてくれる女性がいいなって思っているんです」
本当にこう思っていた。一緒にいる人は、美味しく楽しそうに食事をしてくれる人がいい。人生において大事なポイントだと思う。
マッチングアプリでよくあるのが「実際に会ってみると、何かが違う」ということだと思う。
その点恭子は、一緒に食事をしていても楽しいし話も盛り上がる。
「蓮さんって、結婚願望あるんですか?」
「ありますよ。恭子さんは?」
「私もあります!」
そんな会話をしていると、恭子のグラスが空になっていることに気がついた。
「恭子さん、次は何を飲まれますか?」
「私はワインにしようかな。蓮さんは?」
「僕もワインにします。恭子さん、ワインお好きなんですか?」
「はい、好きです。蓮さんは?普段は何を飲みますか?」
「僕もワインが好きで…」
美味しい食事に、美味しい酒。時間があっという間に過ぎていく。そして食事の最中、恭子はずっと上機嫌だった。
「本当に美味しい…!蓮さん、素敵なお店に連れてきてくださり、ありがとうございます」
「いえいえ。こちらこそ、お会いしてくださりありがとうございます」
― この子、もっと一緒にいたい。
シンプルにそう思ったので、僕は解散後すぐに二度目のデートに誘った。
この記事へのコメント
恭子も超つまらない女だけど、蓮の主張もしょうもな。
蓮の言い分も理解出来るけど、何となく かのようで、感じ悪い。