A1:女性に対して求めるものが大きそうだなとは思った。
アプリで出会った琢磨。向こうから「いいね」が来ていたので、私は彼のプロフィールをくまなくチェックした。
年収も高そうで、身長も高い。雰囲気も素敵だったので会わない理由はなく、こちらから「ありがとう」を送り、マッチした。
簡単なやり取りをした後で、すぐに会うことになった私たち。本当はもう少し話したかったけれど、琢磨の短い文面的に、「この人、メッセージのやり取りとか好きじゃないのかな?」と感じた。
だから琢磨が指定してきてくれた『ジャヌ ラウンジ&ガーデンテラス』で初めて会う時。私はどんな人か知らないからこそ、たくさん話を聞こうと思って挑んだ。
何度訪れても、思わず感嘆の声が漏れる美しい眺め。目の前にある東京タワーに見惚れつつ、席へ案内される。
するとそこには、既に琢磨がいた。
「初めまして、琢磨です」
「初めまして、美和です。すみません、お待たせしちゃいました?」
「いえいえ、全然。僕も先ほど着いたところなので。何飲まれますか?」
私が着いた途端に、座っていたのにわざわざ立ち上がってくれた琢磨。その紳士的な振る舞いに、私は思わず心がキュンとなった。
そして早速、お茶をしながらお互いの探り合いが始まる。
「琢磨さんは、今どちらにお住まいですか?」
「僕は四ツ谷です。勤務地が大手町で」
「金融系でしたっけ?」
「そうです。美和さんは?」
「私は今学大に住んでいて、職場は渋谷です」
琢磨の指に、指輪の痕はついていない。プロフィールには、30歳と書いてあった。カッコよくてスマートな琢磨がどうして独身なのか、少し不思議になる。
「美和さん、ご出身は?」
「私は埼玉です。琢磨さんは?」
「僕は小さい頃、父親の仕事の関係でイギリスにいて。今両親は、神奈川に住んでいます」
「そうなんですね!帰国子女なんだ」
しかし次の発言に、私はなぜか引っかかりを覚えた。
「美和さんは、ずっと日本ですか?」
― 英語くらい、最低限話せないとアウトってことかな。
琢磨くらいのレベルになったら、女性に求める条件も高そうだ。それに勝手なイメージだけれど、周りにはバリバリ働くかっこいい女性がたくさんいそうな気もする。
「そうなんです…。琢磨さんは、やっぱり海外志向のある女性が好きですか?」
ただ琢磨は、あまり気にしてないらしい。
「そこまで気にはしないですね。ちなみに趣味とかありますか?」
「スイーツが好きなので、休日はホテルのカフェ巡りとかよくしています。琢磨さんは?」
「僕はジム通いが趣味といえば趣味になるのかな…。前の彼女には、『ジムに行きすぎ』って怒られましたけど」
ここからしばらく琢磨のジム話が続く。その話が結構面白かったのでニコニコと聞いていると、琢磨のほうから次の約束を提案してきてくれた。
「美和さん、よければもう一度会いませんか?」
「もちろんです。いつにしますか?」
待っている暇はない。“いい”と思ったら、進めるに限る。だから私もすぐに琢磨の誘いに乗った。
「次はディナーでも。来週土曜とかはどうでしょう?好きな店が、神楽坂にあって」
「空いています!いいですね」
そして話が決まったタイミングでお会計となった。
「じゃあ、今日は僕が払っておきますね。とりあえず、また来週末ですね」
そして迎えた翌週のデートで、色々と考えることになる…。
この記事へのコメント
― 徴収するの …?