男と女の答えあわせ【A】 Vol.222

「がっかり…」アプリで出会った26歳男と初の食事デート。お店選びで見えた、彼の本性とは

A2:価値観が幼な過ぎた。


早速1週間後。私たちは食事デートをすることになった。篤が選んだのは、学芸大学駅にある創作系の和食屋さんだった。

「篤くんって、食事するの好きなの?」

雰囲気が良いお店だったし、私はレストラン巡りが好きなので、一緒だと嬉しいなと思ったから。

しかし篤自身は、そうではないらしい。

「いや、実は俺は全然詳しくなくて。同僚に聞いたんだ」
「そうなんだ。でもここのお店、雰囲気いいね!」

別にそこが合わなくてもいい、そう思っていた。しかしデートが進むにつれ、私の心の中ではクエスチョンマークが5個くらい浮かんでいく。

まずデート開始早々、篤は、やたらと値段のことを言ってきた。


「ここ、コスパがいいって聞いて」
「そうなんだ。私結構お酒飲むから助かる」
「それなら良かった!グラスワインも1杯1,000円以下だし。料理もそこまで高くないんだよね」

最初にそれを言われてしまうと、オーダーの時にすごく気を使う。半分払うつもりでいるけれど、自分だけたくさん飲んだら篤に負担をかけることになる。

篤の懐具合がまだ掴めていないだけに、かなり遠慮がちに飲むことになってしまった。

もしかしたら、この段階から疲れたのかもしれない。しかしその後の会話も、たいして盛り上がらない。

「亜美ちゃん、絶対モテるよね?どういう男性がいいの?」
「私は、尊敬できる人かな。篤くんは?」
「僕は仕事を頑張っていたりとか、自立している人がいいな」
「自立は大事だよね」

ここまで普通の会話だった。けれども篤は、急に私の家のことを聞いてきた。

「亜美ちゃんって今中目黒だよね?どんな家に住んでいるの?」

一瞬、どう答えるべきか考える。しかし嘘をついても仕方ないので、素直に答えることにした。

「駅前のタワマン、わかる?」

すると、篤は想像通りの反応をしてきた。

「え!?そこに住んでいるの?すご。俺の狭い部屋とか、絶対入れられないわ…」

自分の住んでいる家なんて、そんなすごい所でもないと思う。でもこうやって話すことで、相手に引かれたら嫌だなと思った。

そして一番嫌だったのは、篤が若干卑屈になり始めたことだ。

― 卑屈になられても困るんだよね…。


「ちなみになんだけど…年下はアリ?」
「全然大丈夫。年齢は関係ないかな。むしろ篤くんは大丈夫なの?私、5歳も年上だけど…」

本当に、年齢は関係ないと思う。年上でも年下でも構わない。私が気になったのは、年齢より篤の考え方だった。

「もちろん!前の彼女が年下だったんだけど、すごく幼くて…。年上の女性のほうが、落ち着いてるし包容力があるでしょ?」
「包容力があるかどうかはわからないけど…。年下の女の子よりはあるかな」
「でしょ?」

― ……これは“甘えられる、年上のお姉様”が好きなタイプか。

私自身、そこまで母性があるほうではない。恋人とは、対等な関係でいたい。

さらに決定打となったのが、「尊敬できない」ということだった。

「篤くんって、普段はどういう生活リズムなの?」
「平日は仕事帰りにジムに行って、週末はのんびりかな。大学時代の友達と恵比寿界隈で飲んだりも多いし、バラバラだけど。あとはお笑い芸人のYouTubeを見たり?」
「お笑い好きなんだ!」
「うん、好き。亜美ちゃんは?お笑い好き?」
「私は、テレビはほとんど見ないからなぁ…」

鬱陶しいかもしれないけれど、私は毎日英語の勉強をして将来に向かって頑張っている。

しかし篤の話を聞く限り、特に頑張っていることもなさそうだ。

「俺、そういう人好き。自分を持っていて、向上心ある人」
「そう?ありがとう。でも私さ、彼氏が欲しいし、結婚もしたいんだよね」
「僕も結婚願望あるよ!今すぐにでもしたいくらい」

結婚願望があるのはありがたいけれど、ここで問題なのはそこではない。

尊敬できるか、できないか。同じレベル感で、話せるか、話せないか。

結局はそれに尽きると思う。

そして帰り際まで、私は気を使うことになる。

「中目黒駅だよね?日比谷線まで一緒に行こうよ」
「いや、私はタクシーで帰ろうかな…」

基本的に私はタクシーで移動したい。けれども篤の目の前でタクシーに乗ることに対して、罪悪感を抱く。

― この人と一緒にいたら、こういう細かいお金の使い方も気を使わないといけないんだろうな。

年齢は関係ない。篤はとてもいい人だったから。

でもこんなうるさい年上女よりも、もっと「すごいね、かっこいいね♡」と言ってくれるような人と幸せになって欲しいと心から思った。


▶【Q】はこちら:アプリで出会った年上美女と初デート。学芸大学駅の和食店を選んだら、2回目がなかったワケ

▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟

▶NEXT:7月6日 土曜更新予定
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この記事へのコメント

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No Name
どんな家?と聞かれたら、普通の1DKだけどバルコニーは広めで 等々上手く会話を持っていけないのかな。中目黒で駅前タワマンなんてもうマンション名言ったも同然だけど、アプリで出会って初の食事デートする相手に言っちゃって大丈夫?
2024/06/30 05:2966返信1件
No Name
篤はコスパの意味をよく分かってない。とにかくバカなんだと思う。 あと亜美、半額払うつもりでいるけど自分だけたくさん飲んだら篤に負担がかかるとか、ゴメン意味不明。気にせず飲んで自分が多く払えば良いだけじゃない? 最後もう縁切ろうと思ったなら、5つも上で稼いでる亜美がさっとお会計済ませてもいいと思うし。タクシーしか乗らないアラサー女もどうなんだ?!
2024/06/30 05:3764
No Name
こんな28歳でも内面は中2の男を主人公にしなくても...。ただ亜美も自分で稼いでお金好きに遣えて自分磨きもして「モテるステキなお姉さん」なはずなのに、そこを上手く描かれてないどころかイヤミな感じ悪い女感が出過ぎてた。ずっとお一人様満喫人生を送るんだろうなと。
2024/06/30 05:2450返信1件
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