天敵な女 Vol.2

週刊誌に売られたトップアイドル。SNSの裏アカをのぞいて確信した、自分を売った犯人とは

私は自宅に帰り、ソファに寝っ転がった。眼下に広がる東京の夜景に、束の間うっとりする。

アイドルとして成功したとはいえ、収入が不安定な中でベイエリアのタワマン最上階は、少し背伸びし過ぎた感が否めない。

けれど、どうしてもここに住みたかったのだ。

こうして自宅から東京の夜景を見下ろすと、私もようやく成功したんだって実感が得られるから。

そうすることで、更に高みを目指すパワーが漲ぎってくる気がするから。




ここに来るまでの道のりは、そう平坦じゃなかった。

地下アイドルとして不遇の時代を過ごした時期もあった。気持ち悪いファンにベタベタされて、ストーカーまがいの被害も受けたりした。

真っ当に進学や就職をしていく周囲の人間を見て、どうしようもない焦燥感に駆られたりもした。

それでも私は、それらのマイナスな感情すべてをバネにして必死で頑張ってきたのだ。

チヤホヤされたい、認められたい。

それだけをモチベーションに。


中学に入ったばかりの頃、文化祭のステージでヒップホップを踊った。可愛いと評判の私がセンターで踊ると、観客はみな私に釘付けになった。

『可愛い~』
『すごい~』
『こっち見て~!』

小さなステージで、観客は100人もいなかったと思う。けれど、脚光を浴びるという快感を、そのとき私は知ってしまった。

あの高揚感を、私は忘れられなかった。

みんなに元気や勇気を与えたいなんていう綺麗事は、これっぽちも私の中にはない。

ただただ“可愛い”という理由で、注目を浴びたい。その思いだけが、私を奮い立たせた。私の強すぎる承認欲求が、私をここまで連れてきたのだ。

ときどき自分で自分が怖くなることがある。

もうそろそろ落ち着いた方がいいってわかっているのに、もっと、もっともっと、『凄い!』とか『可愛い』とか『かっこいい』とか言われたい。必死に抑え込もうとしても、どうしても止められないのだ。

だから、私はこの欲求に素直に従い続けることにした。

自分を幸せにする手段はきっと、これしかないんだと割り切って。



煌々と輝く東京タワーを見つめていると、なぜだか物思いにふけってしまう。あの赤い建物には、人を感傷的にするなにかしらの作用があるのだろうか。

私はソファに沈み込んだ体を起こし、スマホを手にした。

私には、やらなくてはならないことがある。

私の計画を邪魔した人間を突き止めなくては、懲らしめなくてはならない。

知り合いの週刊誌の記者から情報を聞き出そうと、久々にプライベート用の鍵付きSNSアカウントを開いたのだが…。

アプリをタップすると、思いもよらぬものが目に飛び込んできた。

この記事へのコメント

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No Name
読んで気分のいい話ではない。
2022/05/08 05:2699+返信2件
No Name
キャリアプラン😂
大富豪と結婚するに値する女なのだ。
勝手に言ってろ!
2022/05/08 05:5662返信4件
No Name
たかが一アイドルの次のキャリアプランが超大富豪と結婚する事、超大富豪と結婚するに値するって馬鹿過ぎ。中国か中東にでも行けば?
2022/05/08 05:2853返信2件
No Name
やっぱり直ぐにバレちゃうわよね笑
やられたらやり返すわよね、当然。
2022/05/08 06:5816
No Name
真帆、知り合いの記者がいるんだ…
何の仕事してるんだろう?
私、知り合いに記者とかいないけど。
2022/05/08 07:5811返信1件
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