
自他ともに認める“欲深い女”・寺島しのぶが走り続けるワケとは?
2021年の出演映画は実に4本。
そのすべてに確かな存在感と足跡を刻み、日本映画に欠かせない女優として、輝きを増す寺島しのぶさん。
そんな彼女を突き動かす原動力について、聞いてみた。
映画に関わる人間としてこれぞ日本映画、と誇れる作品で世界に臨みたい
2000年のデビュー以来、国内外で多数の映画賞を獲得。2010年にはベルリン国際映画祭で日本人として35年ぶりに最優秀女優賞を受賞。
その後、結婚して母となり、女優としても女としても、すべてを手中に収めたと思える寺島さんだが、そこは自他ともに認める“欲深い女”。掲げる目標は常に高い。
「もちろん、賞は励みになる。でも私でなくても、作品に関連した誰かが受賞できれば、嬉しいんです。どの作品もコロナ禍の中、みんなで団結して本当に頑張りましたから。
でもね、夫のローランが手強いんです。もうパルムドールかアカデミー賞を獲らないと喜んでくれないかもしれません。ハードル高いって(苦笑)」
寺島さんなら、本当に叶えてしまいそうだと伝えると、力強くこう答えた。
「私が単独で海外作品に出て挑戦するのもいいけれど、出来れば“これぞ日本映画!”というものを作って、世界中の人に届けたい。それで評価されたなら、これ以上の幸せはないですよね。
今、日本映画はアジアの中でも置いてけぼりになりつつあるので、それを打破したいと思っています」
自身を“映画人”と言い、日本映画に対する熱い想いがほとばしる。
ゆっくりするとろくなことはない。作品と向き合って夢中になっている時間が好き
ドラマの現場はいまだに落ち着かないというが、いずれの作品にせよ、観る者の記憶に残る役を数多く演じてきた。特に女の業や欲を昇華させた演技で彼女の右に出る者はいない。
そこで、新たに挑戦したい役は?そうたずねると……。
「“イタイおばさん”の役は、年に1回でいいかな(笑)。
でも台本をいただいて、違う女優さんの顔が浮かんじゃうと、その役はやりたくなくなっちゃうんです。その結果、クセの強い役柄ばかりやらせて頂くことに……。
出演作が続くのは、たまたまですけれど、子育てだけだと息詰まってしまう自分がいて。とはいえ、子どももまだまだ手がかかるし、両立は大変ですね。
“ちょっとの出演でOKです”と言われたら言われたで、今度は女優の性がムクムクと顔を出して、もっと出たい!って思っちゃう。結果、ハードな役をお受けして首を締める。綱渡り状態です(笑)」
自嘲気味に言うが、もはや走り続けることがアイデンティティだ。
「ゆっくりするとろくなことはない。結局は作品と向き合って夢中になっている時間が好きなんでしょうね。完全にオフにするのは難しいですね」
この先90歳まで現役では?最後に声をかけると、「大病しないよう、祈ってて!」と笑って現場を後にした。しなやかで軽やかな足取りで。
■プロフィール
寺島しのぶ 1972年生まれ。京都市出身。2000年に映画デビュー。『ヤクザと家族 The Family』『空白』『キネマの神様』で、第46回報知映画賞・助演女優賞を受賞。
■衣装
シャツ 33,000円、パンツ 41,800円〈ともにテラ/ティースクエア プレスルーム TEL:03-5770-7068〉、コート 480,000円〈メゾン・ディセット TEL:03-3470-2100〉、ピアス 69,300円〈コールムーン/hello@call-moon.com〉その他〈スタイリスト私物〉
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東京カレンダー最新号では、寺島しのぶさんのインタビュー全文をお読みいただけます。
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