2020.06.24
お酒を選ぶ時間は楽しい。
でも、歴史や作り手の想いや歴史など、裏側を知ることによって、その時間はもっと充実したものになる。
なにより、秘められたストーリーを理解したうえで飲んだお酒は、より一層美味しく感じられるだろう。
今回は、それぞれのお酒に精通する方々に、今夜のお酒時間を豊かにする「ちょっといい話」を教えてもらった。
―田代 格の「日本酒」のちょっといい話―
日本酒で身体が火照るのは、若き作り手の情熱が宿るから
思わずジャケ買いしたくなる、このエイリアンのラベルが日本酒だと聞いたら驚くかもしれない。日本酒は今、新時代に突入している。トレンドを牽引するのは全国にある酒蔵の若き後継者や蔵人たち。
20代も多い彼らは伝統を重んじてきた日本酒業界にあって、先人に敬意を払いつつも柔軟に、そして、何より自分たちが楽しみながら独自の酒造りに勤しむ。
たとえば、このエイリアンラベルは高知県土佐市『高木酒造』で20代の六代目が造った日本酒。
「ALIENS」とそのものズバリの名にした理由は約10日間、宇宙ステーションに滞在(!)した米と酵母を使っているから。斬新な企画力と行動力は敬服に値する。
女性の活躍にも目覚ましいものがある。そのひとりが茨城県古河市『青木酒造』の青木知佐氏。
「米作りから瓶詰め、ラベル製作まで必要なプロセスすべてを20代の若者だけで担う」という縛りで、日本酒「二才の醸」を、さまざまな酒蔵がリレー形式で造るというプロジェクトに参加。
埼玉『石井酒造』、新潟『宝山酒造』から20代のバトンが繋がれてきたが、女性の参加者はこの『青木酒造』が初であった。
ほかにも「陸奥八仙」で知られる青森県『八戸酒造』も20代を中心に若手蔵人が活躍。各々がテーマを設け、月替わりで次々に新作を発表していく〝Mix seed Series〞を始動。酒造りに前のめりな姿から、学ぶものは多い。
「日本酒はどの銘柄にもストーリーがある」。これは地元で愛される地酒を長く造る酒蔵の当主が呟いた独り言だが、ストーリーを紡ぐのはいつの時代も人。
こだわりと情熱を持ち、丹誠込めてすべてを手で造る酒蔵が歴史を積み重ねてきたから今がある。
そうした日本人の勤勉さ、実直さ、高みを目指す胆力が、20代の作り手にも継承されていると知ったら、ますます日本酒が愛おしく思えてくる。
だから、今夜の家飲みも日本酒で。ラベルに味わいに、若い情熱を体感すれば、夜は一段と有意義なものになる。
■プロフィール
田代 格
雑誌編集者からフリーランスのライターに。レストランから生産の現場まで、主に飲食に関わる人や情報を取材し、雑誌に寄稿する。酒蔵をめぐることも多く、日本酒作りにも造詣が深い。
―葉山考太郎氏の「シャンパン」のちょっといい話―
とどのつまり、大人は黙ってシャンパンでいい
意中の相手とのデートがフレンチに決まった。恥をかくのも嫌味なのも避けたいが、意外にもこの関門は、格式高いと思われがちなシャンパン一本で、乗り越えることができる。
第一の関門は「食前酒をお飲みになりますか?」。ここは「シャンパンをグラスでください」と言えばいい。泡の音、香り、色、何をとっても乾杯に華を添えてくれる鉄板なのだ。
シャンパンをダラダラ飲みながら、オーダーを決める。第二関門が「ワインをお飲みになりますか?」で、ソムリエが分厚いワインリストを持ってくる。ワインと食事のペアリングは難しい。
彼女が魚料理、こっちは肉だと、魚には白、肉には赤で、2本もオーダー?そんなときもシャンパンにおまかせ。
ビールが、和食、タイ料理、フレンチのすべてに合うように、シャンパンのストライク・ゾーンはめちゃくちゃ広く、一塁への牽制球もホームランにするほど。
ビールは、フレンチではオシャレ感に欠けるが、シャンパンは「伯爵夫人のビール」。超スタイリッシュだ。
中でもおすすめは「ヴーヴ・クリコ」。LVMHグループ傘下の名門で、バランス感のある飲みやすい一本。ラベルは鮮やかなイエローで、テーブルを格段に華やかにする。
これは、〝クリコイエロー〞と呼ばれており、「ヴーヴ・クリコ」のブランドの象徴ともされている、特別な色なのだ。
最後の第三関門が、ソムリエの「味見されますか?」。変質していないことをホストが確認する、ホストテイスティングだが、一口飲んで何か言うのが大事。
ここでは「あまり冷たくなりすぎないようにしておいて」と味の感想ではなく温度の話をすれば、嫌味がなくていい。
レストランの本格コースにおいてはこの通りだが、シャンパンの万能性は、家飲みでだって同じことが言える。前述の通り和洋折衷どんな肴にも合うから気軽だし、なにせシャンパンは価格もエラい。
世界のどんな三ツ星レストランでも、1本100ドル、100ユーロ、1万円以下。ワインだと2倍以上する。家用に自分で選ぶ際も心強い。
さらに、ワインなら数百種類にもおよび頭を悩ませるが、シャンパンは五種類ほどと、選択肢が少ない点も嬉しい。あれこれと中途半端に手を出すと逆にうまく回らなくなるもの。
今夜は何を飲もう……なんて迷ったら「困った時の泡頼み」で行けばいい。
■プロフィール
葉山考太郎
年間400L超のシャンパンとブルゴーニュを飲むワインライターで、専門誌にも寄稿。最新書は『オレンジワイン』(美術出版社)
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