オトナな男 Vol.9

社内恋愛で、三角関係にもつれた男女。修羅場と化した男の家での、オトナな女の言動とは

女には少なからず人生に一度、“大人の男”に恋する瞬間がある。

特に20代前半、社会人になりたての頃。

だが場合によっては、その先にはとんでもない闇が待っている場合も…なくはないのだ。

◆これまでのあらすじ

圭太への思いを抱えたまま、大阪へと帰省した咲希は友人たちとの飲み会で圭太に遊ばれていたことを自覚し、圭太と別れることを決意した

そして実は、圭太と咲希の関係が始まった当初から、圭太の彼女の梨江子は浮気に気づいていた…。


「東京に戻ったら、圭太さんと別れる」

そう啖呵を切ったのは良いものの、咲希はどこか暗い気持ちを抱えていた。夏休み最終日、新大阪のホームで新幹線を待っていた。

3月末、悠といた場所だった。

―もし、悠と別れていなければどうなっていたのだろう。

ふとそんな思いが咲希の心を締め付ける。途端に、後悔の念が押し寄せてきた。圭太に出会っていなければ…。もっと早く圭太の本性に気付けていれば…。

しかし今更そんなことを考えてももう遅い。咲希は、圭太との関係は終わりにするという意志をさらに固くした。

そして新幹線は東京に向けて出発した。新幹線の窓から景色を眺めていると、圭太からメッセージが来た。

「咲希ちゃん今日帰ってくるの?」

夏休み前なら心踊っていたはずの圭太からのメッセージ。

しかし今は、何の感情も芽生えなかった。咲希自身も自分の感情の変化に驚いていた。

友人たちに話してから、大人だと思っていた圭太の存在が急に子どものように思えてきた。本当の大人は人をこんな気持ちにさせたりしない…。

そう思うと連絡を返す気になれず、そのままカバンにスマホをしまった。

しかし新幹線が東京に近づくにつれて、固く決意したはずの意志が揺らぎ始めてくるのがわかる。

東京に戻ったら、また一人暮らしの寂しい毎日が始まるー。そう思うと、どうしても心が圭太を求めてしまうのだ。

「今夜、会えますか?」

咲希は無意識のうちに文字を打っていた。

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