妻の“離婚願望”にまったく気付かぬ夫。20歳年下の美女を嫁にした、男の自惚れ

贅沢させてやっているから、妻には何の不満もないはず


不満もあえて口にするほどでもないし、不安もないと言い切った秀俊。

しかし彼の妻・茜は、散々不満を訴えていた。そのすれ違いについて、彼は一体どういう認識でいるのだろうか。

「いやいや、茜も不満なんか抱いていないはずですよ。何不自由ないどころか、僕の力がなければ到底無理な贅沢をさせてやっていますからね。30歳の誕生日にはパリへ旅行に行き、僕のラッキカラーであるブルーのバーキンを買ってあげました。彼女はミニケリー?とかいうのを欲しがっていたけど、それはブルーがなかったし、そもそもバッグなんだから物がたくさん入る方がいいでしょう」

妻へのギフトに、夫のラッキーカラーが関係あるのだろうか…?

誰しもが引っかかるポイントだと思うが、当の本人・秀俊にとっては至極当然のことのようだ。何の疑問も持っていない様子。

それどころか、20歳下で世間知らずな妻・茜を、自分がいかに支え、守り、正しい方向に導いているかについて語り出した。

「茜は年の割に感覚が大人びていて、対等に話をできる女性です。そういうところが良いと思って結婚を決めたわけですが、それでもやはり年相応だと思うことも多々あって…たとえば、予約困難店に食事に連れて行くとすぐにSNSに載せようとするんですよね。最近は止めるのも面倒になって好きにさせていますが、理解に苦しみますね。

理解できないといえば、もう一つ。SNSで見つけたという話題の新店に行きたいと騒ぐことです。見た目ばかりにこだわったような店は、僕の価値観に合わない。そんな店に行く必要ないと言ったら、ふくれっ面をしていましたけど…まあそのうち、僕の言っていることが正しいとわかるでしょう」

茜の“足りなさ”を饒舌に語る秀俊。しかしその表情に嫌悪の感情はなく、逆に愛おしさすら感じられた。

「さっきも言いましたが、不満はあっても別に本気で苛立ったりはしませんよ。茜はきちんと話せば、僕の言っていることが理解できる女性です。家のこともそう。最初は前妻と住んでいた家を建て替えて欲しいだなんてワガママを言ってきましたが、今すぐは無理だと宥めたらわかってくれた。

僕はね、最初からわかっていたんです。茜も実際に暮らしてみれば、この家がどんなに優れているかがわかる。建て替えなんて必要ないと理解するはずだって」

そう言って、秀俊は満足げな笑みを浮かべている。

どうやら秀俊の方は、結婚3年目の現在、まさか自分たち夫婦に危機が忍び寄っているなど、露ほども思っていないらしい。

「正直なところ、僕は別に一人だって十分に生きていけるんだ。30代で一度結婚生活を経験しているから、結婚に変な夢も幻想も抱いていない。事業も順調だ。昨今の美容ブームもあってクリニックも拡大の一途で、この波はしばらく続くでしょう。

そんな中、僕が茜と再婚を決めたのは…そうですね、僕の隣でどんどん磨かれ、成長していく彼女を見てみたかったから、でしょうか」

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