男を勘違いさせてしまった、女の言動。高級鮨屋で起きた、男女の惨劇とは

「今日はありがとうございました。良かったらまた、誘ってくださいねって。だって、私にとって林田さんは、仕事を振ってもらえるかもしれない相手なんです。気に入られておきたいという打算は正直ありました」

社交辞令を言ったのは、男女としてではなく、人として良い付き合いをしたかったからだと強調する。ところが静香のお愛想を、林田は完全に勘違いしたようなのだ。

「神楽坂の料亭からおよそ1ヶ月が経った頃です。林田さんからまた誘いのLINEが届いて…しかも今度は、金沢の高級鮨屋の予約を取ったから一緒に行かないかって。金沢まではちょっと…って、は最初やんわり断ったんです。でも林田さんは、もちろん日帰りだし新幹線のチケットも僕がとるからって、なかなか引かなかったんです」

この時点で、さすがの静香も不穏な空気を感じ取ってはいたという。だが前回食事をした際、林田は「もうすぐ某大手食品メーカーの新商品プロモーションが始まる」などと話していたのだ。

「もしかしたら、仕事に繋がる話があるかも...って思うと林田さんの機嫌を損ねるのも得策じゃないかなと思って、断らずに『日帰りなら』ということを強調して、誘いに応じました」

高級鮨屋での大惨事

「そうして行った日帰り金沢ですが、途中までは楽しかったんです。林田さんってさすが広告マンって感じで普通にしている時の話はすごく面白いんです。仕事のアドバイスなんかもくれたりするし。だから私もつい気を許して、軽いボディタッチくらいはしたかもしれない。でも、それだけです。何度も言うけど、女を見せたつもりは全くないんです」

ところがこの日も、高級鮨屋のカウンターに並んで座り、いい感じにお酒が入ったところで、再び林田の猛攻が始まってしまったというのだ。

「私にとって、自分がいかに役に立つ男かを延々語られましたね(笑)鬱陶しいけど、いちいち否定するのも疲れるし、何を言われても適当に流しておこうと決めていたんですけど…。でも、林田さんはそんな私の態度を特に気にするでもなく、ついにどうしても聞き流せないセリフを吐いたんです。『ねぇ静香ちゃん。今夜俺に抱かれてもいいって、何パーセントぐらい思ってる?』って」

勘違い甚だしい林田のセリフに、静香が絶句したのは言うまでもない。

「いや、もうさすがの私もイラっとしてしまって。つい本音をそのまま口にしてしまったんですよね…。無表情でこう言いましたよ。『0%です。最初からそういうつもりは一切ないので』って。そしたら林田さんのの表情が一変しちゃって。みるみる顔を赤くして、怒りのあまり肩を小刻みに震わせ始めたんです。さすがに、しまった、言いすぎた、とは思いました」

すぐに後悔したという静香だが、それも後の祭り。

「その場の空気は凍りついて、せっかくの高級鮨だったのに、その味も雰囲気も楽しめるような状況じゃなかったですね。何よりも、仕事に繋がったかもしれないせっかくの縁まで失う羽目になったのが、一番がっかりしました。本当に、災難と言うしかないです。だって私の方は一切、勘違いさせるような言動なんてしていないですから。そうですよね?私は悪くないですよね?」

そう言って静香は同意を求めてきた。

女は、仕事でメリットを得るために必要最低限の好意を見せただけ。しかし男の方はというと、垣間見えた好意を最大限ポジティブに捉えてしまった。

しかし現実、仕事などの利害関係がある場合、女が男に見せる好意は99%打算である。

世の男性は、その点をもう少し肝に銘じておいた方がいいのかもしれない。

▶NEXT:7月16日 火曜更新予定
「俺が独身だったら…」自意識過剰な既婚男の勘違い報告

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