青山ナイトストーリー:商社に入って7年、遊びも一周回った独身男が直面した決断のとき

ラグジュアリーブランドや話題のカフェが立ち並ぶ青山。

昼のイメージが強い青山だが、もちろん夜だってこの街に集う人々による様々なドラマが繰り広げられている。

この物語の主人公、祐介もこの街に生きる独身男だ。生まれの長崎で一浪を経て、東京大学に入学。大手商社に勤めて7年目になる。

仕事も遊びもこなれてきた30歳男が立たされた、人生の岐路とは――?


商社に入って7年、遊びはもう一周まわった


「モテることに慣れていそう」

6月中旬、2対2で飲んだOLに、そんな言葉をかけられた。調子にのっていると言われているのか、褒められているのか。

色白な子でボディラインが出るサマーニットを着ていた。その曲線のマジックに流され、ついLINEを交換。誘いを待っている圧をじわじわ感じながらメッセージを受け取っていた。

俺がサッカー好きという話をしたから、ワールドカップについてのLINEを何度か交わした。

具体的な選手の名前を出してのメッセージがいくつか来たけど、たいして関心がないことは伝わる。

午前0時からの日本戦を「どこで見るの?」と聞かれ、ちょっとした詮索に引きながらも、「家」と一言で回答。

それから「同点ゴ〜ル!!」という興奮のLINEが入ったけれど、翌日返事をしたから何か察しただろう。正直、顔はいまいち覚えていない。

商社に入って7年め。LINEを自然消滅させる術を知ったのは、モテることに慣れていると言えるのかもしれない。

東大生だったころの自分が就職後の遊びをみたら、ネット小説のような世界だと思うだろう。でも、現実に商社マンにはそれなりに女性たちが寄ってくるのだ。

会社に入って3〜4年は、見境なく口説いたし成功率も高くて、まあひどかった。

受付嬢に他社の一般職、歯科助手とかが多かったけれど、なんといってもダントツはCAだ。

歩けばCAにあたる状態。CAは元気でノリがよくてかわいいから、飲む相手としては最高なのだ。もちろん、口説きたくもなる。

当時は寮に住んでいたけど、ノリと勢いで女性と夜を過ごし、寮に帰らないことも多かった。

相手と恋愛ともいえない、あいまいな男女関係ばかり。そんな数年を過ごし、飲み代に給料を消費しながら、寮住まいで愛社精神を育んだというわけだ。

寮を出たあとは、代々木上原でひとり暮らしをスタート。それからも夜遊びは続いたけれど、省エネ型だ。

まず、合コンを開くのではなく男飲みから女の子を呼ぶパターンが増えた。

相棒はシンガポール赴任になったばかりのプレイボーイTだ。向こうではSQと飲み会ばかりしているらしくて、そのうち飛行機に乗れなくなるんじゃないかと懸念している。

呼んだ女の子と飲んでも、また改めて会うのは面倒だ。二軒目のときにLINEしたりして、もしふたりで抜け出せそうならいく。ダメでも追うことはない。

そんな風に会社に入ってから出会いは多いけれど、「彼女がいるけどね」と早々に伝えるからグダグダにはならなかった。

そう、実は3年間つき合っている彼女がいるのだ。

しかも超美人で、そのうえ社内恋愛。彼女はひとつ上の31歳、一般職で同じフロアにいる。

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