充電完了! あの名店が復活 Vol.1

ロウガイロウハンテン

樓外樓飯店

充電期間を経ても変わらぬ味。忘れえぬあの名店が帰ってきた

料理はコース¥14,700より。特選 前菜五点盛り、名物 ふかひれの姿煮、活きまき海老の揚げもの

中国料理が他ジャンルに比べて最も秀でているもの、それは絢爛たる乾物に尽きると言っていいだろう。干すことで旨みを増やし、かつ濃縮させるという知恵。4千年の時が生み出した美食の宝を巧みに扱う者こそが皇帝の料理を制するのだ。

昭和33(1958)年に創業し、昨年2月に一旦クローズ。同年7月に徒歩1分の場所に移転したこの店はプロの料理人の間で「乾物の扱いにかけては右に出る者なし」と囁かれている。その噂は海を越え、なんと香港からわざわざ足を運ぶゲストも少なくないという。

名物 ふかひれの姿煮には乾燥させた気仙沼産ヨシキリザメのひれを用いる。まず2時間、たっぷりのお湯で炊いてから戻し、骨や余分な部位をきれいに除いた後、葱、生姜を入れたお湯で4時間炊き、翌日、蒸籠で8時間蒸し上げる。下処理にこれだけの手間をかける店は高級店でもそうはない。そして、中国醤油や紹興酒入りの鶏ガラスープで味を入れるのはオーダーが入ってから。プルンプルンであると同時にサクサクとキレのある歯ごたえ、フワッと香り立つ鮮やかな風味には、それだけの理由があるのだ。

また、秋から2月末にかけてのメニュー、紹興酒にメスの上海蟹を漬け込んだ「酔蟹」はこちらがオリジナル。ほかにも当日仕入れた新鮮な豚臓物や鶏臓物で作るモツ料理など、ここでしか食べられない逸品も多い。メニューをめくるほどに、その奥深さに圧倒されることだろう。

16歳で『樓外樓飯店』に入って以来、料理人歴44年。五月女常雄チーフはこの店の味の守り神

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