渋谷が変わる。目下工事中の渋谷駅構内を歩けば、それくらいは想像できるものの、実際の完成図まで把握している人は多くはないはず!
そこで、プロジェクトの立役者である東急電鉄に「渋谷のこれから」を徹底取材。取材を元に未来予想図を作成してみた。若者の街の代表格、渋谷は果たしてどうなっていくのか?
渋谷を“日本一訪れたい街”に
渋谷=東急の街。多くの人がそうイメージする。実際、のちに東急電鉄が吸収合併する玉川電気鉄道渋谷駅が開業して今年で110年。
東急線のターミナル駅としてはもちろん、東急系列の商業施設も数多いこの駅の発展に不可欠な存在である。現に、彼らが主導する再開発が進行中だ。
「再開発が目指すのは、〝日本一訪れたい街〞にするということ。そのためには、渋谷の持つ魅力を強化し、弱みを克服するということです」(開発事業部・亀田麻衣さん)
強みといえば、やはりターミナル駅としての利便性やエンタテインメントの充実などが想像できる。
「加えて、広域性も挙げられます。原宿、代官山、恵比寿など、周辺の至近距離に魅力的な街を抱えていて、広域渋谷圏を形成している点が、他の街との大きな違いです」
弱みといえば、建物の老朽化や豪雨による冠水で知られる谷地形、80年、90年に盛り上がりを見せたエンタテイメントの減衰、オフィスの床不足などが挙がる。渋谷で創業した企業が、床不足ゆえに他の街に移転することも少なくないという。
「そうした渋谷の魅力強化、弱点克服を果たすのが、再開発プロジェクトなのです」
渋谷駅上の渋谷スクランブルスクエアや旧東急プラザ跡地を含む道玄坂一丁目駅前地区再開発によるリニューアルは、新たな安全性、利便性の価値を生むだろう。南平台や桜丘に延びるプロジェクトについては、オフィス増床の一助となる。
また、渋谷キャストなどでは、新たなクリエーター支援の場となる可能性も広がっている。とりわけ、東急が力を入れるのがエンタテインメントの強化だ。
「渋谷駅前エリアマネジメント協議会を立ち上げ、地元や地権者との新たなまちづくりに注力する一方、渋谷文化プロジェクトを発足。新たなカルチャーを発信する街のインフラも整えています」
古きも新しきも混在するカオティックな渋谷という街に、新しいカルチャーが回帰する予感もある。
「カオスこそが、渋谷という街の魅力なんです」
この再開発によってパワーアップする新たな渋谷を楽しみにしたい。
イラストの渋谷の未来予想図に描かれたビルの詳細はコチラ!
❶南平台プロジェクト(2019年開業)
低層部に産業支援施設を設け、クリエイティブコンテンツ産業の充実を図る。3~20階の各階にテラスを設置するなど、快適なワークプレイスに。
❷道玄坂一丁目駅前地区(2019年度開業)
高層部にハイグレードオフィス、中低層部には商業施設を計画。空港リムジンが乗り入れるバスターミナルを整備。渋谷駅西口を「新たな玄関口」に。
❸渋谷駅桜丘口地区(2023年度開業)
多言語対応可能な国際医療施設、サービスアパートメントなども計画。防災機能を高めつつ、ハードとソフトの両面から渋谷の国際競争力を強化。
❹渋谷スクランブルスクエア(2019年度・27年度開業)
渋谷駅再開発の顔。東棟、中央棟、西棟の3棟構成。高層東棟には展望施設を設置。渋谷川移設や地下貯留槽の水害対策などの弱点強化も。
❺渋谷ストリーム(2018年秋開業)
オフィス、ホテル、店舗の入る複合施設として旧東横線渋谷駅跡地に誕生。クリエイティブワーカーの聖地として、多様な働き方にコミット。
❻渋谷ヒカリエ(オープン)
2012年に開業したリーディングプロジェクト。商業施設や飲食店の充実はもちろん、東急シアターオーブなど、すでに確立した人気を持つ。
❼渋谷代官山Rプロジェクト(2018年秋開業)
広域渋谷圏の象徴である並木橋付近の旧線路跡地のR状地形に登場する複合施設。2棟構成でオフィスやホテルのほか、保育所も設置予定。
❽渋谷キャスト(オープン)
キャットストリート入り口に今年オープン。文化とトレンドが交錯するエリアで、クリエーターを支援するシェアオフィスや賃貸住宅を設置。
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