東京カレンダー | グルメ・レストラン、ライフスタイル情報
扱うのは、天然のトラフグのみ。プリプリとした食感の“ふぐちり鍋”が絶品の老舗店
冬の味覚の王者といえば“ふぐ”。稀代の美食家北大路魯山人をして「ふぐのうまさというものは、実に断然たるものだ…」とまで言わしめた、その魔味とも言われるふぐの底力を教えてくれるのが、ここ赤坂『鴨川』だ。 創業から半世紀。先代の大菅正孝氏は、古き佳き向島の一流料亭で料理長を務めた技量の持ち主。その名残りは、ふぐと鱧のスリ身を合わせた“金箔新女”やふぐだしで作る“ふぐのだし巻卵”などコースを彩る趣向を凝らした前菜の数々からも伺える。...
ふぐをして、天下唯一の美味、摩訶不思議の絶味――こう評しているのは、かの北大路魯山人。著書『料理王國』では、鯛や松茸、フォアグラといった数ある美味も、ふぐの旨さには叶わないとまで絶賛している。体に毒を秘め、死のリスクを持ちながらもその味を愛でたのは、古の日本人も同様だったようで、縄文時代の貝塚からもふぐの骨が出土されている。 世界中で約120種棲息するフグ科の魚のうち、食用とされるのは僅かに22種。中でも、美食家をも魅了したのが...