日本の出汁で炊き込んだ白トリュフのリゾットもあれば、イベリコ豚を揚げて九条葱をたっぷりのせたイタリア風のカツレツもある。こうした和洋混在のメニューを見ると、「いったい何料理なの?」と不思議に思いつつも、その面白さや懐の深さにワクワクしている自分に気付く。 割烹やワインバーで修業を積んだ宮川シェフは、ほかでは味わえない独特な料理を提供。ジャンルの垣根を軽々と飛び越え、素材が美味しくなるためのあらゆるエッセンスを、絶妙に溶け込ま...
オーナーシェフの宮川修一氏は、割烹料理店を経て、銀座のワインバーで腕を磨いた経歴の持ち主。和食の伝統や欧州帰りのシェフから学んだ技術は、自身が開いたこの店に結実している。 例えば冷たいトマトうどんなら、上質な出汁を利かせ、ワインは旨み深いピノ・ノワールを推す。イベリコ豚は意表をついた豚カツに仕立て、九条葱を添える。上質な素材を自在に操り、またとない逸品に。訪れる全ての人を虜にする、類稀な実力派である。...
一度は食べてみたいと憧れるスイーツが誰にでもひとつはあるもの。チーズケーキならば超人気店『レゾルカ』の「贅沢チーズケーキ」がそのひとつではないだろうか。 手土産はもちろん、自分へのご褒美スイーツとして購入する人も多く、予約は必須。一度食べたらクセになる美味しさの訳を伺った。 ひと口味わってみると、まず感じるのはゴルゴンゾーラの力強い味わいと香り。 ゴルゴンゾーラの味わいをより楽しめるように、ベースとなっているチー...
オフィスビル内の一角でひっそりと営業している...
“究極のチーズケーキ”と呼ぶにふさわしい濃厚な逸品。 まずはそのまま、ゴルゴンゾーラチーズのコクのある味わいを堪能してほしい。その後、希少なマルタ島のゴゾはちみつを添えれば、優しい甘さをまとったデザートに変化する。1本¥2,300。...
ブルーマウンテン。メニューは一例元JAという経歴のバーテンダーが作るフルーツカクテルで人気のバー。農林水産省認定の有機JAS 規格以上で旬の果物&野菜のみ使用する。 「フルーツカクテルはもちろん、同様にこだわった豆で淹れてくれるスペシャリティコーヒーが美味しいんですよ」。...
漆塗りの広々としたカウンターに座ると、調理人の手元がすべて見て取れる。次の皿には何が供されるのか、おのずと期待が高まる。 そしてまるで舞台のように浮かび上がる厨房の中心に、竈がどっしりと構える。窯元から譲り受けたという煉瓦で作った竈では、焼き物や煮物、蒸し物などが豊かな香りを放ちつつ仕上げられ、その光景を見ているだけでも気持ちがほっこり満たされる。 京都『草喰なかひがし』の中東久雄さんを師と仰ぐ店主の阿部さん。 ...
もち粉と米粉を使用した、もっちりとした食感のロールケーキが有名な『銀座マルキーズ』。しかしその人気の高さから、スイーツ好きな女子であれば一度は口にしたことのある定番品でもある。 贈る相手を「こんなのあったんだ」と驚かせたいのなら、選ぶべきはこちら。艶やかな真っ赤なボックスを開けると、お行儀よく直径およそ3㎝ほどのハイヒール型ショコラが並ぶ。 小ぶりなサイズながらも、人気パティスリーならではの上質な味わいが記憶に残る。深...
販売店: 国内直営店舗 銀座本店 住所:中央区銀座7丁目8-9 営業時間:【月曜~金曜】10:00~21:00 【土曜・日曜・祝日】10:00~19:00 電話番号:03-5537-5457 その他、店舗情報は下記URLからご確認ください。 URL:http://www.kitchoan.co.jp/site/shops/index.html オンラインショップ:https://www.kitchoan....
日曜日。 悩みに悩んだ挙句、濃紺のAライン膝丈スカートに、白色の半袖シャツ、そこに小ぶりのパールのイヤリングにした。派手過ぎず、地味過ぎずちょうど良いだろう。手土産は、銀座にある『宗家 源 吉兆庵 』で購入した果実菓子。中に果物が入っていて美味しいし、見た目も涼し気で最適だと思った。 車で家まで迎えに来てくれた貴幸と共に実家へ向かう。緊張しちゃうなぁとつぶやくと、「祥子ならうちの親も気に入ってくれるよ。」と貴幸が優...
デートや会食の帰りに「これ、美味しいから自宅で食べてね」と男性から渡されたら、キュンとしてしまう手土産がこちら。 マスカットはクレオパトラが好んだことから“果実の女王”と呼ばれる。そのマスカットの旬の味を存分に味わう逸品が「陸乃宝珠」だ。姿・形・味わいをそのまま生かした気品溢れる風味と上品な甘さが魅力の和菓子。 食事の後なので食べ物?!となるかもしれないが、フルーツなら帰宅後ちょっと小腹が減った...
多くの飲食店が軒を連ねる銀座に、1990年にオープンして創業25年以上の元祖しゃぶしゃぶ食べ放題『銀座しゃぶ通』。 ディナータイムのしゃぶしゃぶ食べ放題が人気だが、それに劣らず人気なのがしゃぶしゃぶランチ。お昼時ともなれば、銀座OLやサラリーマンが行列を作る。...
多くの飲食店が軒を連ねる銀座に、1990年にオープンして創業25年以上の元祖しゃぶしゃぶ食べ放題『銀座しゃぶ通』。 ディナータイムのしゃぶしゃぶ食べ放題が人気だが、それに劣らず人気なのがしゃぶしゃぶランチ。お昼時ともなれば、銀座OLやサラリーマンが行列を作る。 活気のある厨房を眺めながらカウンターへ座ると、目の前には一人一鍋が用意されているから、他の人に気を遣うことなく、自分だけのしゃぶしゃぶタイムを堪能できるぞ。...
1人の港区男子と繋がれば、100人の港区男子と繋がる。 人間は、同じステータスの者同士で一緒にいるのが一番気遣わずにいられるのだから、港区男子が港区男子と交流を深めるのは当然だ。 友人同士の何気ない会話から、ビジネスに発展することも少なくないと聞く。 では彼らは実際の所、どんな交友関係を持っているのだろうか? その華麗なる交友関係の実態に迫ってみよう。 前回は6億円のヴァイオリンを所有する港区男子を紹...
初めて見る「キラキラ」した世界。常にエスコートを忘れない優しくて紳士的な年上の男性。それが、私にとってのあの頃の夫だった。 デートを重ねれば重ねるほど、私は彼が見せてくれる世界におどおどしながらもときめき、彼に夢中になっていった。 知らなかったこと、もの、人。私にとって、それはカルチャーショックに近いものだったと思う。 「女の子をこんなに守ってあげたいと思ったのは初めてなんだ」 つき合い始めてすぐにプロ...
昔からスペイン随一の美食エリアとして知られるバスク地方。サン・セバスティアンには食に貪欲なバスク人らしく、数多のバルが集まる通りもある。そんなバル街の虜になった日本...
山田朋仙シェフはスペイン・バスクの三ツ星『マルティン ベラサテギ』で腕を磨いた実力派。 そんな本格バスク料理が評判を呼び、奥まった場所にもかかわらず美味しいも...
バル好きの巡礼地、サン・セバスチャンを擁し、独自の言語や食文化を持つ、バスク地方。本店は、現地の三ツ星レストラン『マルティンベラサテギ』の看板メニューを再...
銀座7丁目の路地裏に佇む、バスク料理のお店。バルのような外観が期待感を抱かせる。 バスクの三ツ星レストランでも腕を磨いた山田朋仙シェフが作り出す料理...
「優作さん、今日は何時に帰ってくる?ご飯いるかどうか連絡してね」 結婚して早半年。夕方、新妻の由美からメールが入っていた。真っ直ぐ家に帰ろうと思...
前回までのあらすじ 北岡涼子、30歳、元女優。社会人経験なし、資格なし、貯金なし。芸能界で活躍したが、徐々に干されて今に至る。就職活動をしようにも、...
気軽に寄れるが、ガツンと満足できる美味しい料理をいただけるのがこちら。 こちらの山田朋仙シェフはスペインの名店『マルティン・ベラサテギ』出身。その在...
昔からスペイン随一の美食エリアとして知られるバスク地方には、数多のバルが集まる通りがある。そんなバル街の虜になった日本人が2012年9月、銀座の地でバスク...
1階はオープンキッチンのバル使いができるカウンターで、1杯からふらりと立ち寄れるスタイル。一皿のポーションが小さいので、一人でも数種類味わえるところも魅力...
鉄板焼きレストランが多く見られる銀座に、『ステーキ トミナガ』が誕生したの2013年のこと。 石垣島のきたうち牧場直営の『ステーキ トミナガ』で扱うのは、深い...
鉄板焼きレストランが多く見られる銀座に、石垣島のきたうち牧場直営の『ステーキ トミナガ』が誕生したのが2013年。ここで扱うのは、深い香りと濃厚な味わいを持つ石垣島...
3週間前、特に予定のない金曜の夜のことだった。 この日は週明けが楽になるよう、事務仕事を片付けていた。数年前までは予定のない金曜日など考えられなかったけれど、...
ちょっと贅沢なランチタイムを過ごしたいならば『春秋ツギハギ』のランチコースを楽しんでみてはいかがだろう。 バリ島の古材を使ったエキゾチックなパーテーションのテ...
【今週の就活男子】 ・名前:佑樹 ・勤務先:外務省 アフリカ北西部の某国日本大使館 ・出身大学:東京大学 ・就職時の内定企業:外務省のみ ...
店舗名:春秋ツギハギ 住所:千代田区有楽町1-1-1 日本生命日比谷ビル(日生劇場) B1F 営業時間: 平日ランチタイム 11:30~14:30(...
昨日、レストランを出た後… 「ディナー、とっても美味しかったです。ごちそうさまでした。」 「こちらこそ、久しぶりに会えてよかった。今日はわざわ...
天ぷらの常識をことごとく打ち破り、ひたすらに自身の道を邁進する近藤文夫氏。50余年もの研鑽の果てに生まれた名作たちは、東京で食せる天ぷらの中でもひときわ目映い輝きを...
『てんぷら近藤』のメニューは、海老や海鮮も入るが、多彩な野菜によって構成されている。 現在でこそこの構成が一般的になったが、近藤氏が「山の上ホテル」に就職した...
日本で一、二を争う天ぷら名人の近藤文夫が「天ぷらは蒸し料理」とこだわるコース料理。そのなかに同じくイタリアンの道を極めんとする料理人が愛してやまない「小エ...
「二回目のデートで何を食べたい?と女性に聞いた時、真っ先に“天ぷら”と答える女性って少ないですよね?(笑)」 確かに、イタリアンやフレンチ、和食...
ごま油のなかでみごとな“作品”を作る『てんぷら近藤』の近藤文夫さん。出てくる天ぷらは、こんな組み合わせまで! と驚くようなものもある。それと同時に感心する...
天ぷらの常識をことごとく打ち破り、ひたすらに自身の道を邁進する近藤文夫氏。50余年もの研鑽の果てに生まれた名作たちは、東京で食せる天ぷらの中でもひときわ目...
『山の上ホテル』の時代から、揚げ手としての才覚を発揮していた主人の近藤文夫氏が目指したのは、「誰にでも来てもらえ、食べてもらえる天ぷら屋」。名店だが、誰に...
北は北海道、南は沖縄まで。店主の近藤文夫氏は、全国の産地に直接赴き、その時期、最も美味しい状態の素材が手に入るよう労を惜しまない。そうして出会ったものであ...
『山の上ホテル』の時代から、揚げ手としての才覚を発揮していた主人の近藤文夫氏が目指したのは、「誰にでも来てもらえ、食べてもらえる天ぷら屋」。ごま油のみで香...
名前:稔(35歳) 職業:大手メーカー勤務 推定年収:900万 水曜18時半。待ち合わせの『インペリアルラウンジ アクア』に稔さんは、5分前に現れ...
17F『インペリアルラウンジ アクア』では、なんとL.O.24時のミッドナイトハイティーを提供。 乾杯用シャンパンに、三段スタンドには和牛イチボ肉の赤ワイ...
メールを送ってから15分ほど経った頃、期待していなかった彼女から返信がきた。 「今、『インペリアルラウンジ アクア』にいるの」 ー帝国ホテルな...
私、まだいけるよね?まだ、大丈夫だよね? 俊哉さんに背を向け、瞼を閉じた。 ◆ 「満理奈、この間の雑誌も見たよ!新しいミニ財布、可愛...
「帝国ホテル 東京」本館最上階に位置するバーラウンジ『インペリアルラウンジ アクア』でも、フリーフローが開催中だ。 この通称「アクア」は、夕方は落ち...
銀座7丁目の中でも異彩を放つ「第2新橋会館」。2014年、その6階にオープンしたのが『銀座芳園』だ。こちらを率いるのが、広東料理一筋20年以上の横尾博志氏。前任のウ...
2014年の1月にオープンした『銀座芳園』は、ウェスティンホテル東京『龍天門』出身の横尾博志氏の味が楽しめる。広東料理一筋23年。トップシェフ陳啓明氏の秘蔵っ子とも...
2014年の1月にオープンした『銀座芳園』は、ウェスティンホテル東京『龍天門』出身の横尾博志氏の味が楽しめる。広東料理一筋23年。トップシェフ陳啓明氏の秘...
~入手困難な希少部位をオンザライスで堪能!~ 「ステーキ丼(¥2,500)」の肉は、黒毛和牛の肩芯という希少部位。口溶けのよい脂の甘さが特徴で、銀座茶寮特製の...
筋金入りの日本酒好きは、秋の到来を待ち望む。なぜか。ひやおろしが発売されるからである。ひやおろしとは、秋から春に醸した酒を蔵で静かに寝かせ、ひと夏越えたところで出荷...
同期会も後半は環奈と離れ、僕らはお互いに別々の輪の中にいた。 「すごく雰囲気変わったよな、大人っぽくなって」 同意を求められるように囁かれ、遠目に環奈をもう一度見る。 学生時代、ともにロボット研究に勤しんでいた彼女は桜蔭出身だった。熾烈な中学受験を戦い抜いた共通点があるせいか、よく話したわけでないが、どことなく馬が合ったのを思い出す。 「うーん。そうなのかなぁ」 僕は曖昧に言葉を濁す。 ―環奈も...
「夏希。ちゃんとお付き合いしてる人、いないの?」 ひと月ぶりに顔を合わせた母は、『鮨 竜介』で最後の一貫を食べ終わると早々にため息をついた。 毎月定例の、母とのランチ。 毎回母のご機嫌を損ねないよう細心の注意を払っているものの、ここ最近は不機嫌そうに「結婚」をほのめかすことが増えていた。 「仕事もいいけど、このままじゃあひとりぼっちよ?お母さん、心配だわ。」 そう言った母の目には、はっきりと失望の...
『鮨 竜介』へと下りる階段は狭く、まるでトンネルのよう。だが、下りきった先に品格のある白木の扉が待つ。 そして扉の奥には7席だけの小さな空間。そこにあしらわれた檜のカウンターが、凛とした高級感を漂わせる。 とはいえ、大将の山根竜介さんは39歳と同世代。共通の話題も多く、すぐに打ち解け、会話が弾む。...
「へぇ。その彼氏とは長いの?喧嘩でもしたのか?」 —なんだ、恋愛相談か。 龍平はいつものことだと思い、ぷっくりとした厚みのある『鮨 竜介』の大トロの握りに視線を戻す。 龍平は何故か昔から、女性の恋愛相談に乗ることが多かった。 話しやすいのか、男として見られていないのかは分からないが、“的確なアドバイスをくれる”と、女性陣からの信頼は厚いのだ。 —はぁ...なんて美味しいんだ。 ...
銀座で食事ならこのジャンルは外せない。今夜は鮨で決まりだ。 ところで多くの鮨店は18時〜と20時〜という2回転での営業が多い。会社帰りのデートは必然的に2回転目、20時からの食事となった。 待ち合わせは19時。つかの間の〝銀ブラ〞を今、断然人気の『ギンザ シックス』でしているうちに、いつしか時間は20時近くに。『銀座久兵衛』などで腕を磨いた若き大将・山根氏は銀座の店ながら“楽しく食べられる店”を心が...
記念すべき初デートは、今一番好きだと言っても過言ではない『鮨 竜介』にした。 ここ数ヶ月の間、毎月欠かさず通っている店で、かなりお気に入りだった。 よく通っているうちに大将にも顔を覚えてもらっており、下手な女性は連れて行きたくない。瑠里子こそ、この店がふさわしいように思った。 凛として、美しい彼女との初デート。中途半端な店に連れて行き、“この程度か”と思われるのは嫌だ。 初デートで鮨...
「お待たせしました。」 待ち合わせ時間に5分くらい遅れて登場した瞬間、航平さんが眩しそうに私を見つめる。 私は、男性からのこの視線が大好きだ。 毎回、ちょっと気合いを入れて身体のラインが分かる服装をしていると、男性は嬉しそうに私を見つめてくる。 —今日は、どの角度から見られても大丈夫。 お寿司屋さんのちょっと明るめの照明にも耐えられるよう、毛穴のカバーは完璧にしてきた。...
塩昆布かと思いきや、香り高いトリュフが散らされたヒラメのつまみ。『鮨 竜介』では、鮨屋ではあまり見かけない食材も登場する。 「お客様が喜んでくれるなら、もっと自由でいいと思います」と語るのは、36歳で独立を果たした山根竜介氏。 トリュフのほか、キャビアやフォアグラといった食材もおまかせのコースのなかで、違和感なく供される。もちろん握りも秀逸。赤酢と米酢の酢飯を種によって使い分けている。...
塩昆布かと思いきや、香り高いトリュフが散らされたヒラメのつまみ。『鮨 竜介』では、鮨屋ではあまり見かけない食材も登場する。 「お客様が喜んでくれるなら、もっと自由でいいと思います」と語るのは、36歳で独立を果たした山根竜介氏。...
「へぇ......結局、ひな子はあの若者が好きだったのね」 久しぶりに会った慶子は感心するように頷きながら、琥珀色のシャンパンに口を付ける。 先日は女子会に突然恋人の俊介を連れてこられたため、二人は険悪ムードに突入していたが、今日は思い切ってひな子から銀座のシャネル屋上の『ル・ジャルダン・ドゥ・ツイード』に誘った。 とにかく、親友の慶子に裕太の話を聞いて欲しかったのだ。 以前は「同...
指定された銀座の『鮨 竜介』に到着すると、直樹はすでに清潔感のある白木のカウンターに座っていた。 若かりし頃にやんちゃな恋に落ちた直樹と品の良い鮨屋で肩を並べているなんて、随分と大人になった気がしてしまう。...
「え?何よ急に...」 「ひな子、『たきや』以来、例の若者には会ってないわよね?」 不意打ちで探りを入れられ、ひな子はぎくっとする。裕太のことは黙っておきたかったが、勘の良い彼女に隠し事をするのは難しそうだった。 「何よ、若者って......裕太くんは同い年よ。あのあと『竜介』と『かわむら』にも一緒に行ったけど......」 「うそでしょ?まさか、それもワリカンだったんじゃ........
―私の好きなメニュー、考えてくれるんじゃなかったの...! ひな子の密かな期待とは裏腹に、『竜介』の誘い以来、裕太からの連絡はしばらく途絶えていた。 LINEの通知が来るたびに、ひな子はどうしても裕太の顔を思い浮かべてしまうのだが、相手は星の数ほどいる男友達(通称“おしょくじがかり”)ばかりである。 日に日に苛立ちが募り、ひな子はスマホが鳴る度に、舌打ちしたいほどの感情に駆られていた。 ...
柄にもなく、ひな子は前回よりもさらに緊張した足取りで『鮨 竜介』に向かっていた。裕太の提案する店は、やはり同い年とは思えないセンスの良さだ。 銀座でも指折りの鮨屋に向かう高揚感もさることながら、自分でも信じられないが、ひな子は裕太に会うこと自体に、説明のつかない気恥ずかしさを覚えている。 それが割り勘に対する恐れなのか、慶子に指摘されたような感情のためなのか、ひな子は判断できない。 ―もう...
「今朝は最高の鮪が仕入れられました」大間で釣れたという立派なハラカミを前に、柔らかく微笑む店主の山根竜介氏。銀座という激戦地に店を構えて早一年。巡る四季を経てますます充実のときを迎えている。 握りは王道。ネタの旨みの濃淡に応じて、シャリは2種類を使い分ける。鮪なら赤。「鮨屋ですから、しっかり食べてほしい」。そんな思いを込め、夜のおまかせで13貫は握る。口に運べば、ネタとシャリの一体感が圧倒的。真っ直ぐな旨...