樫井雄介さん(食コラムニスト) 「もともと店主が修行していた赤坂の津やまによく行っていて、彼が独立することを知ったので、足を運んだのが通いはじめたきっかけ。津やまで学んだ技術を昇華させ、コストパフォーマンスの高い料理を供する店主の姿勢に感動させられます。冷やしトマト煮を冷酒と一緒にいただくと夏の到来を感じます」...
風情ある街並みが残る人形町。その一角に佇む、築80年以上の古民家に新たな息吹が吹き込まれた。かつてこの場所にあった老舗足袋店の名前をそのままに受け継ぎ、フレンチ料理店として生まれ変わったのである。 店のコンセプトは、「フレンチシェフ」と「唎酒師」とのコラボレーション。本場フランスで修業をした経験を持つシェフと、唎酒師の資格を持つ店主が「お互いの個性を活かして、何かコラボレーションできないか」と話し合い、『伊勢利』をオープンさ...
『イレール 人形町』で再会した男は、寛と言った。 濃い眉毛に彫の深い顔立ちで、体は大きいがとても繊細そうな男だ、と祐実は思った。 「へぇ、最近人形町に引っ越されたんですか。でも何でまた、突然?」 その問いかけに、祐実は何も返すことができなかった。すると、寛はすぐに話を変えてくれた。 「……いろいろありますよね。僕は妻と別居してちょうど1年。前は中目黒に住んでいたんですけど、気分転換に、東京の東側に住んで...
祐実の会社には産休から復帰してキャリアを積む女性もいるが、それはほんの一握りだ。時短で働く女性のほとんどはいつもイライラして余裕がないか、女性として諦めているか。どちらかだ。 正直、どれにもなりたくない。 かと言って子どもがいない人生というのも、想像ができなかった。 全て欲しいのに、何も欲しくない。そんな気分だった。 麗子は結婚しているが、子どもはいない。こんな話をするのは、初めてだった。すると麗子...
フランスの星付きレストランで研鑽を積んだ島田哲也シェフ。彼が恵比寿にてオープンした名店『イレール』が、ビストロスタイルで人形町に移転。 「コスパの良さに加え、カジュアルで酒のツマミも揃っているので、お腹の具合と相談して、適度にバランスを調整できるのがいいですね。肉はもちろん旨いですが、女性には季節野菜のテリーヌがおすすめ。彩りよくヘルシーなので喜ばれますよ」。...
人形町で人気のイタリアン。築80年の古民家をリノベーションした和みの空間で、こだわり満載の料理とワインが楽しめる。 看板メニューの熟成肉はプロの管理の元、40日間ドライエイジングされた国産A5ランクの和牛。その柔らかさと深い旨味は折り紙付き。野菜は箱根の杉正農園から旬の朝採れが毎日店に届く。ソムリエの資格を持つシェフが厳選した60種のワインと味わいたい。...
イタリアンを中心にフレンチ、スペインなどのワインに合う料理をリーズナブルに楽しませてくれる。実力派バルとして定評のあるメニューには創造力を駆使したメニューが盛りだくさん。大勢で来てたっぷり注文して、ワイワイ食べたい。 大きな窓から見えるのは八重桜。ソメイヨシノに比べ、開花時期が遅いので、4月1週目あたりにきれいに咲くそうだ。お花見シーズンの〆にどうぞ!...
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潤いを帯びた光沢を放つ見事な霜降り肉を一枚。少量の割下を入れただけの浅鍋に、広げるように投入するや、じゅわっという快音とともに和牛ならではの芳しい香りが立ち上る。 肉の色がサッと変わったところで、溶き卵にくぐらせ頬張れば、豊潤な脂肪の甘みに卵のまろやかなとろみが絡みあい、渾然一体となって口中でとろける。だが、後口は思いの外、軽やか。霜降り肉にありがちな嫌な脂っこさは皆無だ。ここ『人形町今半』のすき焼きの真の凄さはそこにある。...
~噛めば“じゅわっ”と肉汁が溢れる~ 人形町今半の目利きが選んだ黒毛和牛を、秘伝のすき焼割下に漬け込んだジャーキー。甘辛な味わいで、一般のビーフジャーキーとは一線を画す味わい。しっとり柔らかい食感とジューシーさ、香りや個性の強いワイルドタイプのお酒と好相性。一口飲んで、一口かじる。あえてチビチビと楽しみたい。 ● 株式会社人形町今半/TEL 03-5652-5738...
潤いを帯びた光沢を放つ見事な霜降り肉を一枚。少量の割下を入れただけの浅鍋に、広げるように投入するや、じゅわっという快音とともに黒毛和牛ならではの芳しい香りが立ち上る。 肉の色がサッと変わったところで、溶き卵にくぐらせ頬張れば、豊潤な脂肪の甘みに卵のまろやかなとろみが絡みあい、渾然一体となって口中でとろける。 だが、後口は思いの外、軽やか。霜降り肉にありがちな嫌な脂っこさは皆無だ。ここ『人形町今半』の...
結婚して家を買い、そして子どもを授かる。 今まで「幸せ」だと信じて疑わなかったもの。 しかしそれを信じて突き進んでいくことが、果たして幸せなのだろうか? 外資系化粧品会社でPRとして働く祐実、29歳。 結婚後豊洲に移り住んだ彼女は、水天宮に参拝した帰りに人形町に立ち寄り、ある思いに駆られ、悩み始める。 これは東京でもがき苦しむ女性の、人形町を舞台にしたある物語―。 その日は5月な...
焼肉店、焼鳥店、ステーキ店……、様々な肉料理の店が急増している昨今。選択肢が増えるのは嬉しいことだが、その半面ハズレ店に当たる可能性も増えてきた。 そんな今、肉好きたちは絶対にハズさない肉料理を求め、肉職人の元へ集まっているという。 今回は都内最強の肉超人と呼び声が高い5名を選出。レジェンドたちと同じ時代に生まれたことを感謝したくなる逸品の数々をご覧あれ。1954年生まれ。63歳。28歳で渡伊。3年...
明治28年創業。下町風情が懐かしい数寄屋造りがどこかホッと心和む『人形町今半 人形町本店』。人形町今半黒毛和牛を使ったすき焼き、しゃぶしゃぶを供する超有名店。中でもすき焼きは創業120年余の伝統が続く同店ならではの名品だ。 艶と潤いを帯びた見事な霜降り肉を少量の割下の入った浅鍋に広がるやいなや、じゅわっという快音と共に芳ばしい薫りが立ち込める。豊潤な肉の甘味に卵のまろやかさが絡み合い、口の中ですっと儚くと...
潤いを帯びた光沢を放つ見事な霜降り肉を一枚。少量の割下を入れただけの浅鍋に、広げるように投入するや、じゅわっという快音とともに和牛ならではの芳しい香りが立ち上る。 肉の色がサッと変わったところで、溶き卵にくぐらせ頬張れば、豊潤な脂肪の甘みに卵のまろやかなとろみが絡みあい、渾然一体となって口中でとろける。だが、後口は思いの外、軽やか。霜降り肉にありがちな嫌な脂っこさは皆無だ。ここ『人形町今半 人形町本店』の...
4月も深まりそろそろ5月の母の日も近づいています。東京カレンダー読者に、思い出深いレストランの緊急アンケートを取った結果、2位に輝いたのは『人形町今半 人形町本店』でした。...
大正12年創業。江戸前鮨の開祖と言われる両国『興兵衛ずし』の流れを汲む、東京きっての老舗、『㐂寿司』。この正統派鮨の名店で“あんこう鍋”が頂けるのをご存知だろうか――。 「祖母が昔、よく作っていた鍋で、お座敷での宴会コースに組み入れている」とは三代目主人の油井隆一さん。 具はあんこうとウドのみ、の潔さがいかにも江戸風だ。が、そのシンプルさに反し、下ごしらえの丹念さは半端ではない。あんこうは胃、皮、ひれなどと骨以外は余す...
江戸前鮨の由緒正しき系譜に名を連ねる店のひとつだ。初代は華屋与兵衛の流れをくむ店で修業し、現店主の油井隆一氏が3代目。木造一軒家の風情あるたたずまいが、言わずして店の歴史を物語る。 時折見せる独特の握りも伝統の中から生まれたもの。例えばゆで玉子をネタにしたような「ひよっこ」は、黄身の部分に仕事を施す。古くて新しい握りが、ここにはある。...
江戸前鮨の開祖と言われる両国『興兵衛ずし』の流れを汲む、東京きっての老舗、『喜寿司』。大正12年創業。木造一軒家の風情ある佇まいが、言わずして店の歴史を物語る。 すべてのネタに丁寧な仕事と技が感じられ、白酢、赤酢、塩のみを使用したさっぱりとした味わいのシャリと合わさり、口の中でホロリと崩れる繊細さと共に見事な調和と余韻を生み出す。 例えば玉子をネタにしたような「ひよっこ」は、黄身の部分に仕事を施す江...
「予約しないと食べられない裏メニューを食べに行かない?」。そんな誘い文句が使える『やましょう』のジンジャーもつ鍋。人形町店限定の鍋で、本来は春夏限定のメニュー。 それ以外の季節は裏メニューとして、事前の予約がないと食せない幻のメニューとして知る人ぞ知る存在となっている。...
~事前予約必須の裏メニュー 美肌効果抜群の鍋で誘う~ 「予約しないと食べられない裏メニューを食べに行かない?」。そんな誘い文句が使える『やましょう』のジンジャーもつ鍋。人形町店限定の鍋で、本来は春夏限定のメニュー。 それ以外の季節は裏メニューとして、事前の予約がないと食せない幻のメニューとして知る人ぞ知る存在となっている。...
ー素敵な今井ご夫妻。どのような食生活を送っているのでしょうかー 旦那さま:お互い、辛い物、タイ料理が好きなど、食の好みが似ているので、レストラン選びなどでは、行きたいお店が一致しますね。肩肘張ったレストランというよりは、お互い素でいられるようなリラックスできるお店が好きです。 —お気に入りの日常使いレストランを教えてください!— 旦那さま:レストラン、ではないかもしれませんが(笑)タイ料理...
事前予約必須、人形町店限定の人気鍋「ジンジャーもつ鍋」。本来は春夏限定のメニューとして登場するが、それ以外の季節は裏メニューとして、事前の予約がないと食せない幻のメニューとして知る人ぞ知る存在。 「さっぱりともつ鍋を食べて貰いたい」と、生姜をふんだんに使用したスープは、牛テールと豚足をじっくりと煮込んだ濃厚な塩味ベース。たっぷりコラーゲンが抽出されているため、煮込む前はゼリー状。グツグツと煮込むうちに融け...
宝暦10(1760)年、今から250年以上も前に創業した軍鶏料理専門店『玉ひで』発祥の親子丼。 明治24(1891)年ごろ、鍋のシメに卵でとじた軍鶏肉をごはんのおかずにして提供したものが、その原型とされる。 朝びきの新鮮な東京軍鶏を使用し、固めの白米にトロトロの卵が合うのなんのって……軍鶏ならではのたくましい弾力と卵のコクにも注目。 剛柔併せ持つ食感、甘みを控えた仕上がり、すべてにおいてひとときも口を飽きさせない。...
過去に付き合ったり、関係を持った男たちは、なぜか皆、日比谷線沿線に住んでいた。 そんな、日比谷線の男たちと浮名を流してきた香織は、上京後立て続けにタワーマンションに住む篤志や弁護士の孝太郎と付き合うがどちらもあっけなく終わる。初めてのワンナイトや社内恋愛も経験したが、恵比寿に住んでいた涼とは恵比寿での半同棲を経て中目黒アトラスタワーで同棲したが、その恋も終わってしまい……? 日比谷線の女 vol.8...
人形町は、昔ながらのお店が多いイメージだが、カジュアルなビストロも少なくない。この店は恵比寿から移転したフレンチビストロの店で、平日から賑わっていることが多い。 赤ワインをゆっくり飲みながら、野菜のテリーヌをつまんでいると、祐実の隣に男がやってきた。 「また、会いましたね」 その男は、『芳味亭』で会った男だった。 「今日はお一人ですか?」 「えぇ、実は昇進が決まったもので。一人で前祝いしているんです」...
―引っ越し終わった?独りは気楽で、いいでしょう。 母親である亜矢子からのメッセージに、祐実は複雑な気持ちになった。 彼女なりの励ましとは分かっているが、別居を決めた娘にかける言葉として、適切とは言い難い。 「他に好きな人ができたの」と言って家を出て行った亜矢子の奔放な性格に、祐実は昔からどうしても馴染めなかった。 母親なら母親らしくして欲しいのに、いつだって亜矢子は“女”なのだ。 そんな母...
その店は、小伝馬町の『パーラー305』という店だった。...
男女問わずに好かれるキャラクターの持ち主、天真爛漫な笑顔が魅力的な久保ゆかりさんが「人が楽しく集える場所」としてこの店をオープンさせたのは2013年のことだ。たとえば、意中の彼女と食事をして2軒目に誘うとき、下心を感じさせない心地良い空気感の酒場を知っていると重宝するはず。 自然な造りのワインを飲みながら他愛もない会話をするうちにハッピーな気分に満たされ、いつのまにか親密な雰囲気に……。アンチョビ大根やレンコンミートなど、ヘ...