この店を目指して歩かなければ、見落としてしまいそうなほどの小さな間口で、店先にも控えめな看板があるのみ。 カウンター8席の店構えでありながらも、不思議と開店から閉店近くまでグルメな客で賑わっている。 何がそこまで人を惹きつけるのか……それはこの雰囲気からは想像もつかないほど極上料理が味わえるからである。...
指定された麻布十番の『あそこ』に麻里が到着して数分後に、和也は外気の寒さを連れてやってきた。...
麻布十番の、一の橋交差点を芝公園方面へと曲がったところに、ひっそりと佇むのが『あそこ』である。 たたずまいは肩ひじ張らない酒場、でも出てくる料理は超一流ぞろい。遊びなれた大人なら、覚えておきたい名店なのだ。「ちょっと『あそこ』に行こうよ」を合い言葉に、夜ごと遊び慣れた大人が通う名店。 時には自分の飲みたいワインや日本酒を片手に、好きな料理を注文し、豪快に飲み明かす人もいるそうだ(持ちこみは自由、無料...
居酒屋のような定食屋のような、そんな雰囲気ながら料理は一流。刺身の素材は銀座の一流鮨店と同レベル。 海老フライには天然の車海老を使うなど、食通も納得する料理が揃う。岩手おがた牧場直送の「前沢牛」も、必ず食べておきたい。女将と店主の雰囲気が、心地よさの秘密。...
約束の時間を10分過ぎて到着すると、雅彦は既に席に着いていた。 ビールで乾杯し、早速今の仕事について聞いてみる。今はクライアントのオフィスがある六本木に常駐していそようだ。長身の体にスーツをびしっと着こなし、心なしか頬がそげて大人っぽくなった。 「何か雰囲気、変わったな。痩せた?」 「少しね」 雅彦は今、毎週の経営会議で役員が使う資料を作っているらしい。自分で作成したデータが、一部上場企...
ひとりで切り盛りできるように8席の店にしたのだが、「いろんなものを食べてほしい」(店主・佐藤修一さん)と海鮮を刺し身、焼く、揚げるなど様々な料理で楽しませようとメニューは豊富。 それらはちょうどふたりで食べきれる程度の量が出る。とはいえ、量は半量にも倍にも応じてくれ、メニューにない料理も可能な範囲で作ってくれるなど、わがままが叶うのが嬉しい。 使い勝手のよさ、居心地のよさは抜群で、開店から閉店近くま...
いかにも遊び人好み。『あそこ』をひと言で表現するとそうなってしまう。店の雰囲気は定食屋、よくて居酒屋。そんな構えであるというのに取り扱う素材や味は銀座の一流鮨店と同レベル。こんな店にパートナーを連れて行ったら、「この人、デキル……」と食通として株があがることは間違いない。 さて、この店で肉といえば岩手おがた牧場直送「前沢牛ざぶとんの炙りわさびしょうゆ」となる。串を打って炭床で20~30分焼く。このとき塩は...
いかにも遊び人好み。『あそこ』をひと言で表現するとそうなってしまう。決してきれいとは言い難い。ここが食べもの屋だというならば、定食屋。よくて居酒屋。そんな構えであるというのに刺身の素材は銀座の一流鮨店と同レベル。 海老フライを頼もうものなら車海老、それもその時期に良い産地の天然ものを揚げてくる。このギャップを楽しめるのはこなれた遊び人に限られるだろう。それもとびきり食いしん坊の。魚が良いのは親の代まで築地でマ...
智美が「そうそう、それ」と言いながら、麻里子のスマホを覗き込んでくる。 小さく音を出すと、イントロの音楽が流れスマホ画面には赤ちゃんが映った。 ちょ...
もし夏バテでも、この店のカッペリーニならするすると入ってしまう。麻布十番で30年近く愛されるイタリアンの名店『クチーナ ヒラタ』。 現在は町田武十(たけじゅう...
約束の日、待ち合わせ場所に指定されたのは麻布十番の『クチーナヒラタ』。 敦子は何度か来たことがある店だったため、久しぶりに会うスタッフに挨拶しな...
今夜のデート先は、お決まりですか? 大好きなあの人の笑顔が見たい!しかし…。 「どこに行ったらいいのだろう?」 「何をしたら喜んでくれる?」...
人間、本当にショックな出来事があると、記憶が飛ぶようだ。 その夜。杏子はふと気づくと、白ワインを片手に、『クチーナ ヒラタ』にて、知樹に熱心に口...
「初回は絶対に外さない、誰もが知っている大定番で攻めます」 まだ相手のことをそこまでよく知らないうちは、何を食べても美味しいことが明確な、定番の...
埼玉県出身のユリ、27歳。大手損害保険会社でエリア総合職として勤務。強い自立心を持った彼女が、彼氏と同棲していた港区を抜け出し、代々木上原という地で、迷い...
「私最近、彼氏ができたんですけど、彼の結婚願望がすごいんですよ。育休とって子育てしたいとか言ってって。今時っぽいですよね(笑)」 そう優子が話出...
昼はプリフィクスコースが4種類、夜はアラカルトを自由に組み合わせて楽しむ気軽なスタイルの『クチーナヒラタ』。 シェフの町田氏は、仕事の厳しさ、調理の...
もし夏バテでも、この店のカッペリーニならするすると入ってしまう。麻布十番で30年近く愛されるイタリアンの名店『クチーナ ヒラタ』。現在は町田武十(たけじゅ...
先代の薫陶を受けた町田武十氏が麻布十番で23年の歴史を誇る名店の味を守る。今回のパスタのように素材の持ち味と食感を活かしつつも一体感ある仕上がりにするため...
新宿の大手百貨店の新システム構築案件を受注し、先方の社長への御礼会食も実施した。これからチームを組成してプロジェクトに入る。私は全体を統轄する事業部長とし...
いまや、世界中で関心を集める和食。そのエッセンスは、料理、お酒、お皿、そして精神にも表れる。多様化する和食の新たなプレゼンテーションに迫る。...
「で?本日の一番人気はどなただったの?」 皆を見送った後、ルナは健太と二人で『プレゴ』でお茶をしながらプチ反省会を開く。 「男性陣の一番人気は麻里ちゃんかな。でも小林さんは美緒ちゃんもいいって言っていたけど」 自己紹介の後、美緒は小林に狙いを定め、妙にボディタッチしながらずっと彼の隣をキープしていた。 他己紹介は、その女性の本性が露骨に出る。 きちんと相手を立てた紹介ができる人は、人としても魅力的...
「お笑い芸人じゃあるまいし、今更そんなニューヨークに行って挑戦とかウケるね。」 俊平が隣で笑っている。 たしかに、私も同じことを思った。それに今でも、夢に描くようなお城住まいではなくても、まぁまぁ良い暮らしはできているはずだ。 年上の嫌な彼氏・リュウジと別れた後も、彼に紹介してもらったWEBエディターの仕事は続けており、どちらかというと順調だと聞いた。 何故このタイミングで、急に真理亜はそんなことを言い...
はい、もちろんお菓子の名前ではありません。フランス・アルザス地方発祥の煮込み料理のこと。 ザウアークラウトと同様の意味で使われることもあるが、料理としてはザウアークラウトをソーセージやベーコン、豚のすね肉などとともに煮て、ゆでたジャガイモをつけ合わせた、フランス東部アルザス地方の料理。 ビールがとまらなくなること請け合いの逸品である。...
5年間、パリの星付きレストランで修業をした須藤亮祐シェフのビストロ料理が味わえる。 肉々しい郷土料理をはじめ、扱いにくい内臓系も「丁寧」が身上。魚や野菜もいいがパワーと緻密さが同居する肉料理でコースを楽しもう。...
「ここ、私のモデルのお友達がみんな通ってるんですよね。」 2回目に来店し、麗子を指名したカナは自分の友達だと言って、今活躍中のモデルやタレントなど、この店に通ってくれている客の名前を挙げた。 大半は麗子が担当している客だが、彼らからカナの話が出たことは一度もない。 どうやらカナの、一方的な片思いのようだ。 カナは、「モデルのみんなと同じ」セラピスト・麗子の元に通っていることで、自分も...
熾烈を極める東京婚活市場。 その中で「結婚したいのに結婚できない」と嘆く女には、いくつかの共通点がある。 ある行動により自分の市場価値を無駄に下げる女、逆に実態なく価値を上げ過ぎて機会損失している女……。 これまで、24時の誘いに乗る女、〆のラーメンに行く女、花嫁修業する女、港区女子、2番手の女、理想は父親、イケメン好き、などの事例を紹介してきた。 今回は、とにかくいつ会っても完璧、な結...
生粋のパリジャンであるフローラン・ダバディ氏が足繁く通う麻布十番の『ビストロコティディアン』。 須藤亮祐シェフが作る骨太なビストロ料理のなかでも、とくに豚肉を使ったメニューがお気に入りで、「フロマージュ・ド・テット ラビゴットソース(豚の頭のカリカリ焼き)」は、あれば必ずオーダーするのだとか。...
『ビストロ・コティディアン』で供されるのは、ビストロ料理に間違いないが、クオリティは高級店に匹敵すると言っていいだろう。須藤亮祐シェフは5年間、パリの星付きレストランで修業をした人物。「ビストロの醍醐味を味わってもらいたいので、素材そのものをシンプルに、素直に『旨い!』と思えるものを安く食べてもらいたいと思っていますが、プロセスはグランメゾンでやることと変わりませんね(笑)」。 肉々しい郷土料理をはじめ、扱い...
フランス各地の定番郷土料理を、そのままのスタイルで提供するビストロ。フランスの星付きレストランを渡り歩いた須藤亮祐シェフの技が活きている。...
恵比寿『ル・ビストロ』で須藤亮祐氏がシェフを務めた当時、別のフレンチで働く北野勝也氏は、その味に心惹かれ足繁く通った。 その後、須藤氏が自店を開くにあたり、縁あってふたりは共に働くことに。それが現店である。 須藤氏はガストロノミーに憧れて渡仏するも、パリの日常に溶け込み、愛されるビストロを体感して、自身の方向性を決めた。 「長い日々を経て残る定番には、それだけの理由と意味がある」と須藤氏。フランス各地の定...
鮨屋のようなカウンターに松の盆栽。麻布十番でも『中目黒 いぐち』らしさは健在だ。 柔らかさと味のバランスが秀逸な大山鶏のもも正肉を使った「ねぎま」(基本コース¥4,800からの1串)は、火の入れ方がすべてを決める。 ウバメガシの備長炭を使用し、絶妙な返しを重ねて丁寧に焼き上げていく。...
今年9月、串揚げと天ぷらがメインの4号店目『中目黒いぐち 上ル』を恵比寿にオープンしたことでも話題の『中目黒 いぐち』。中目黒はピンチョススタイルの焼鳥、2号店の恵比寿ではスポイトに入った調味料で味の変化を楽しませる焼肉など、ユニークなメニューが評判だ。 こちらはその3号店目にあたり、黒を基調とした空間はしっとりと艶っぽく“デートで肉”なシチュエーションにぴたりとハマる。 冬の看板メニューは、炭火で焼いた鶏と旬の野菜、...
気軽に美味しい&お酒が進むB級グルメといえば焼き鳥!デート向けの艶系焼き鳥店の先駆けとして確固たる地位を築いているのが『中目黒 いぐち』だ。 ピンチョススタイルの独特のプレゼンテーションで楽しめるが、今では焼き鳥の他、スポイトに入った調味料で味の変化を楽しませる焼肉、串揚げ、天麩羅など多彩なバリエーションで魅了する看板もドアサインも全くない隠れ家グループだ。...
いま、まさに“飛ぶ鳥を落とす勢い”の人気を誇る『中目黒 いぐち』の3号店目が美食の街、麻布十番にオープンした。 中目黒はピンチョススタイルの焼鳥、2号店の恵比寿ではスポイトに入った調味料で味の変化を楽しませる焼肉など、ユニークなメニューが評判だ。 黒を基調とした空間はしっとりと艶っぽく“デートで肉”なシチュエーションにぴたりとハマる。新店の冬の看板メニューとして、登場したのが、炭火で焼いた鶏と旬の...
『トロワグロ』をはじめ、フランスの名だたるレストランで研鑽を積んだ武田健志シェフ。 「表現はあくまで自由でありたい」と語る氏。日本各地から届けられる旬の味を用い“武田流”と評される独創的なフレンチを作り上げる。...
翌朝起きると早速、河村からLINEが入っていた。 「おはようございます。昨夜は突然すみませんでした。良かったら今度お食事に行きませんか?」 河村とは、先週同僚の優香と行ったバルで知り合った。席が空くまでの間、相席になり10分程度話しただけに過ぎないが、麗子が店を出る間際、わざわざ追いかけて連絡先を教えてほしいと言ってきたのだ。 ストレートな誘い文句は、河村の人柄を表しているようだ。河村は色気をふりまき、女を惹...
夜には真っ暗になってしまう裏路地のビルの2階。この店のカウンターには、男性も女性もひとりで晩酌する姿がよく似合う。 「いぶりがっこポテサラ」「真鯛の玉子とじ」などそそられる小鉢メニューはリーズナブルに提供。 看板料理の「炊き込みいか飯」は、丸ごと揚げたいかを土鍋で炊いた逸品。蓋を開け、いかをカットすると中からとろりと肝が出て、身やご飯に絡まり合う。〆のはずが、その光景に再び酒が進んでしまう。...
「香奈ちゃん、男関係激しいらしいよ?噂じゃ友だちの彼氏でも不倫でも、手段を選ばないらしい。仕事も見た目もちゃんとしているから、皆騙されるらしいけど。」 初め、亮介は片瀬が誰のことを言っているのか分からなかった。しかし、香奈に対して何となく引っかかっていたことを思い出した。 「本当にあの香奈ちゃんが?人違いじゃなくて・・・?」 「どうやらそうらしいんだ。パーティーに来ていた2、3人の女の子が香奈ちゃんのことを、一部...
涼子と誠は、カウンター席に並んで座った。 ひとまずビールで乾杯し、当たり障りのない会話で場を繋ぐ。涼子は必死に誠との距離を推し量っているのだが、彼はそんな涼子の駆け引きなど素知らぬ顔だ。 ―一体どういうつもりなんだろう? 麻美は涼子を彼女候補、として紹介しているはずだが、彼からは初対面の女性に対する遠慮や気遣いを一切感じない。涼子の存在は空気か何かのように、誠はただ気ままに食事を楽しんでい...
数日後、瑛太は信太郎を、『東麻布 不風流』に誘った。...
料理はコースのみ。和食の伝統を忠実になぞらえながらも、長年培った知恵と知識を駆使し、美食を探求することにより生まれる、洗練された味を堪能できる。 この日は12,000円コースをセレクト。先付からはじまりデザートまで全11品を味わえる。 ※今回紹介する内容は2018年2月中旬までの内容...
ビルの谷間にひっそりと門を構える一軒家の懐石料理店。この地で15年営業していた『万歴龍呼堂』が店名と料理人を一新し、2016年1月オープンしたのが『東麻布 不風流』。 一流の左官職人が仕上げた土壁や、8mもある赤松の一枚板を使ったカウンターなど、風情ある内装はそのままに、新感覚の懐石料理店として生まれ変わった。...
私の家は恵比寿で、そして職場は、丸の内だ。仕事終わりの麻布十番は、正直に言うとアクセスが悪い。 時間のある土日ならば全く構わないのだけれど、平日のデートは、仕事後に行きやすい場所の方が助かる。 1日中働いた後で何度も電車を乗り継ぐのは、正直疲れる。 —せめて一言、聞いてくれれば... 結局、その日は仕事が終わると、慌てて電車へ飛び乗り、お店へと向かった。 ◆ 洋介が指定してくれた『La Ru...
「ごめんね、待った?」 デート当日。約束の時間に店に着くと、既に佳奈は『La Ruée vers l’or』のカウンター席にちょこんと座っていた。...
店名はフランス語でゴールドラッシュの意。その時代の熱気を再現したいと、名を冠した。店内には約7メートルのカウンター。開放感もあり、BARというよりレストランの趣。とはいえ、堅苦しさは皆無。「カジュアルよりもフレンドリーなサービスを」と、緩すぎず、適度な緊張感が心地よい。 ソムリエの千葉和外氏はナパヴァレーでワインを学び、現地の人気レストランでソムリエを勤めた経歴を持つ。かたや、総料理長の中井慎太郎氏は山田...
エネルギッシュでインターナショナルな雰囲気の店づくりを目指した同店は、大人の賑わいをみせる。 カリフォルニアで修業したソムリエの千葉氏と、スペインほか3カ国の名店で修業した料理長の中井氏がオープンさせた。 カリフォルニア産をはじめ、170種類前後のワインが揃う。屋台飯に飽きたらワインとモダンフレンチでお口直しを。...