夜は刺身や酒肴をメインに供する水天宮の『よね家』。昼に訪れるお客の目当ては、あたたかい白米のうえに鶏肉がたっぷりと盛られた、名物のとりわさ丼だ。 築地の鶏専門食肉店から仕入れる新鮮な鶏の胸肉を、沸騰した湯に1分ほどくぐらせてから冷水につける。すると身が引き締まり、弾力が出るのだ。肉本来の柔らかさに加え、細かい皮やスジを取りのぞいてから、さらに包丁を入れるため、想像を絶するほどのむっちりした食感が生まれる。 火の通し加減...
夜は刺身や酒肴をメインに供する水天宮の『よね家』。昼に訪れるお客の目当ては、あたたかい白米のうえに鶏肉がたっぷりと盛られた、名物のとりわさ丼だ。 築地の鶏専門食肉店から仕入れる新鮮な鶏の胸肉を、沸騰した湯に1分ほどくぐらせてから冷水につける。すると身が引き締まり、弾力が出るのだと女将の米山としえさんは言う。 肉本来の柔らかさに加え、細かい皮やスジを取りのぞいてから、さらに包丁を入れるため、想像を絶するほどのむっちりした...
鏡のように磨き込まれた鉄板の上に、オリーブオイルをひと吹き。やがて目が、耳が、無意識のうちに美食への期待に打ち震えゆくディナーの幕開けだ。 『ロイヤルパークホテル』最上階にあるこの店は、奇を衒わぬクラシカルな鉄板焼で勝負する。食材は産地指定、旬の味覚を吟味。オリーブオイルと香り付けのゴマ油、芳醇なバターで素材の持ち味を引き出していく。街場で噂になる鉄板焼店のように、ゲストの目を引く派手なパフォーマンスは敢えて封印。 そ...
潤いを帯びた光沢を放つ見事な霜降り肉を一枚。少量の割下を入れただけの浅鍋に、広げるように投入するや、じゅわっという快音とともに和牛ならではの芳しい香りが立ち上る。 肉の色がサッと変わったところで、溶き卵にくぐらせ頬張れば、豊潤な脂肪の甘みに卵のまろやかなとろみが絡みあい、渾然一体となって口中でとろける。だが、後口は思いの外、軽やか。霜降り肉にありがちな嫌な脂っこさは皆無だ。ここ『人形町今半』のすき焼きの真の凄さはそこにある。...
~噛めば“じゅわっ”と肉汁が溢れる~ 人形町今半の目利きが選んだ黒毛和牛を、秘伝のすき焼割下に漬け込んだジャーキー。甘辛な味わいで、一般のビーフジャーキーとは一線を画す味わい。しっとり柔らかい食感とジューシーさ、香りや個性の強いワイルドタイプのお酒と好相性。一口飲んで、一口かじる。あえてチビチビと楽しみたい。 ● 株式会社人形町今半/TEL 03-5652-5738...
潤いを帯びた光沢を放つ見事な霜降り肉を一枚。少量の割下を入れただけの浅鍋に、広げるように投入するや、じゅわっという快音とともに黒毛和牛ならではの芳しい香りが立ち上る。 肉の色がサッと変わったところで、溶き卵にくぐらせ頬張れば、豊潤な脂肪の甘みに卵のまろやかなとろみが絡みあい、渾然一体となって口中でとろける。 だが、後口は思いの外、軽やか。霜降り肉にありがちな嫌な脂っこさは皆無だ。ここ『人形町今半』の...
結婚して家を買い、そして子どもを授かる。 今まで「幸せ」だと信じて疑わなかったもの。 しかしそれを信じて突き進んでいくことが、果たして幸せなのだろうか? 外資系化粧品会社でPRとして働く祐実、29歳。 結婚後豊洲に移り住んだ彼女は、水天宮に参拝した帰りに人形町に立ち寄り、ある思いに駆られ、悩み始める。 これは東京でもがき苦しむ女性の、人形町を舞台にしたある物語―。 その日は5月な...
焼肉店、焼鳥店、ステーキ店……、様々な肉料理の店が急増している昨今。選択肢が増えるのは嬉しいことだが、その半面ハズレ店に当たる可能性も増えてきた。 そんな今、肉好きたちは絶対にハズさない肉料理を求め、肉職人の元へ集まっているという。 今回は都内最強の肉超人と呼び声が高い5名を選出。レジェンドたちと同じ時代に生まれたことを感謝したくなる逸品の数々をご覧あれ。1954年生まれ。63歳。28歳で渡伊。3年...
明治28年創業。下町風情が懐かしい数寄屋造りがどこかホッと心和む『人形町今半 人形町本店』。人形町今半黒毛和牛を使ったすき焼き、しゃぶしゃぶを供する超有名店。中でもすき焼きは創業120年余の伝統が続く同店ならではの名品だ。 艶と潤いを帯びた見事な霜降り肉を少量の割下の入った浅鍋に広がるやいなや、じゅわっという快音と共に芳ばしい薫りが立ち込める。豊潤な肉の甘味に卵のまろやかさが絡み合い、口の中ですっと儚くと...
潤いを帯びた光沢を放つ見事な霜降り肉を一枚。少量の割下を入れただけの浅鍋に、広げるように投入するや、じゅわっという快音とともに和牛ならではの芳しい香りが立ち上る。 肉の色がサッと変わったところで、溶き卵にくぐらせ頬張れば、豊潤な脂肪の甘みに卵のまろやかなとろみが絡みあい、渾然一体となって口中でとろける。だが、後口は思いの外、軽やか。霜降り肉にありがちな嫌な脂っこさは皆無だ。ここ『人形町今半 人形町本店』の...
4月も深まりそろそろ5月の母の日も近づいています。東京カレンダー読者に、思い出深いレストランの緊急アンケートを取った結果、2位に輝いたのは『人形町今半 人形町本店』でした。...
「お蕎麦は昔から大好き!最近のお気に入りは、『蕎ノ字』さんです。天ぷら屋さんなのですが、コースの〆のお蕎麦がすごく美味しいの! 甘みがあって、細切りなのにコシもしっかり。おなかいっぱいのはずなのにおかわりしたいほどでした」...
「結婚は人生の墓場って、本当よね...。吾郎はいいなぁ。独身は勝ち組よ。」 久しぶりに再会した美加は、才巻海老の天ぷらを一口齧り、生気のない顔で言った。今夜は彼女の自宅からほど近い、人形町の『蕎ノ字』に来ている。 人妻と二人で会って良いものかと吾郎は少し考えたが、今日は「話を聞いて欲しい」と、彼女に呼び出されたのだ。 「なんだよ急に。新婚生活は楽しくないのか?」 「結婚して1年も経てば、もう新婚じゃない...
「蕎麦屋が始めた天ぷら屋です」と話すのは、この道30年の店主・鈴木利幸氏。地元のみならず全国の食通が足を運んだ静岡県島田市に構えていた店を、日本橋人形町に移転した。 天種は、駿河湾から直送する桜えびや太刀魚といった地魚や、島田人参、玉取茸など、静岡食材を多用。2種の油でカラリと揚げたら、蕎麦のかえしでいただくのが『蕎ノ字』流だ。 〆の蕎麦は、エレガントな粗挽きの二八。蕎麦粉は、栃木の益子町産をメイン...
芝浦食肉市場から仕入れるA5雌牛の、さっぱりとした赤身の塊肉。炭火の上で表面に網目模様の焼き色が付き始めると、七輪から煙とともに香ばしい匂いが立ち上る。肉汁と肉の旨みがギュッと閉じ込められ、じわじわと届く炭火の熱に美味しさを増す。焼肉というよりステーキかと思われるそれは、名物・俺の肉だ。 『トウカ ハナレ』は、近隣の焼肉店・燈花がプロデュースした、ホルモンとワインがメインのバルスタイルという新業態。認可取得により提供できるユ...
焼肉店『燈花』がプロデュースした、芝浦市場から直接仕入れた極上肉が楽しめるバルスタイルのお店。認可取得により提供できるユッケやビストロ風ホルモン料理などがそろう。豪快な赤身の塊肉は、肉マニア垂涎の逸品だ。...
宝暦10(1760)年、今から250年以上も前に創業した軍鶏料理専門店『玉ひで』発祥の親子丼。 明治24(1891)年ごろ、鍋のシメに卵でとじた軍鶏肉をごはんのおかずにして提供したものが、その原型とされる。 朝びきの新鮮な東京軍鶏を使用し、固めの白米にトロトロの卵が合うのなんのって……軍鶏ならではのたくましい弾力と卵のコクにも注目。 剛柔併せ持つ食感、甘みを控えた仕上がり、すべてにおいてひとときも口を飽きさせない。...
過去に付き合ったり、関係を持った男たちは、なぜか皆、日比谷線沿線に住んでいた。 そんな、日比谷線の男たちと浮名を流してきた香織は、上京後立て続けにタワーマンションに住む篤志や弁護士の孝太郎と付き合うがどちらもあっけなく終わる。初めてのワンナイトや社内恋愛も経験したが、恵比寿に住んでいた涼とは恵比寿での半同棲を経て中目黒アトラスタワーで同棲したが、その恋も終わってしまい……? 日比谷線の女 vol.8...
人形町は、昔ながらのお店が多いイメージだが、カジュアルなビストロも少なくない。この店は恵比寿から移転したフレンチビストロの店で、平日から賑わっていることが多い。 赤ワインをゆっくり飲みながら、野菜のテリーヌをつまんでいると、祐実の隣に男がやってきた。 「また、会いましたね」 その男は、『芳味亭』で会った男だった。 「今日はお一人ですか?」 「えぇ、実は昇進が決まったもので。一人で前祝いしているんです」...
―引っ越し終わった?独りは気楽で、いいでしょう。 母親である亜矢子からのメッセージに、祐実は複雑な気持ちになった。 彼女なりの励ましとは分かっているが、別居を決めた娘にかける言葉として、適切とは言い難い。 「他に好きな人ができたの」と言って家を出て行った亜矢子の奔放な性格に、祐実は昔からどうしても馴染めなかった。 母親なら母親らしくして欲しいのに、いつだって亜矢子は“女”なのだ。 そんな母...
『イレール 人形町』で再会した男は、寛と言った。 濃い眉毛に彫の深い顔立ちで、体は大きいがとても繊細そうな男だ、と祐実は思った。 「へぇ、最近人形町に引っ越されたんですか。でも何でまた、突然?」 その問いかけに、祐実は何も返すことができなかった。すると、寛はすぐに話を変えてくれた。 「……いろいろありますよね。僕は妻と別居してちょうど1年。前は中目黒に住んでいたんですけど、気分転換に、東京の東側に住んで...
祐実の会社には産休から復帰してキャリアを積む女性もいるが、それはほんの一握りだ。時短で働く女性のほとんどはいつもイライラして余裕がないか、女性として諦めているか。どちらかだ。 正直、どれにもなりたくない。 かと言って子どもがいない人生というのも、想像ができなかった。 全て欲しいのに、何も欲しくない。そんな気分だった。 麗子は結婚しているが、子どもはいない。こんな話をするのは、初めてだった。すると麗子...
フランスの星付きレストランで研鑽を積んだ島田哲也シェフ。彼が恵比寿にてオープンした名店『イレール』が、ビストロスタイルで人形町に移転。 「コスパの良さに加え、カジュアルで酒のツマミも揃っているので、お腹の具合と相談して、適度にバランスを調整できるのがいいですね。肉はもちろん旨いですが、女性には季節野菜のテリーヌがおすすめ。彩りよくヘルシーなので喜ばれますよ」。...
水天宮前駅から程近いビジネス街の一角に、2015年8月にオープン。店名からもわかる通り、牛・豚・鶏、そして野菜まで、オーナーの故郷である鹿児島の食材に特化している。 看板メニューは何と言っても牛。A5ランクの鹿児島県産黒毛和牛「黒牛」の中でも、何度もグランドチャンピオンに輝いている薬師農場(鹿屋市)と専属契約し、一頭買いしている。 大隅半島の豊かな環境で、こだわりの水と餌で育てられた「黒牛」はサシがきめ細かく、甘い脂が...
アルザス地方の郷土料理であるタルトフランベ専門店が、バージョンアップして広尾から水天宮前に移転。 フランス風ピッツァのようで、軽やかな組み合わせから、鴨ローストや赤牛を合わせたメインディッシュのような一枚、さらにデザートまで実に多彩。...
店主の谷和幸氏は香川県高松市出身。讃岐うどんの名店『もり家』にて8年間研鑽を積んだ後、2010年東京の日本橋人形町に進出、讃岐の伝統的な製法にこだわった専門店をオープン。 生地は気温・天候・湿度に合わせて塩分濃度や加水率を調整。その日の生地の様子を見ながら、6〜7時間かけて踏んでは寝かせる作業を繰り返し、独特の強いコシを生み出す。 毎日4時間以上かけて作る出汁も、香川県伊吹島産「伊吹いりこ」など厳選された天然素材のみを...