「美咲、つまり研二さんといい感じ?」 食事会の前に、美咲は真千子と早めに待ち合わせをし、『ルコント 広尾本店』で、コーヒータイムを楽しんでいた。 「そうなの。研二さん、お仕事忙しいはずなのにすごくマメに連絡くれるの。返信も早いし、これって脈ありだよね?」 真千子に同意を求めながら、昨夜もスマホで「男性の脈ありサインまとめ」のサイトを閲覧し、一喜一憂していたことを思い出した。 まとめサイトによると、「LI...
1968年にフランス人パティシエのアンドレ・ルコントさんが、六本木にお店をオープン。これが、日本で本格的なフランス菓子が広まるきっかけとなった。 その後、2010年に一旦は幕を下ろした『ルコント』が、2013年に広尾で復活。かつて親しんだ味との再会を喜んだ人も多いはず!...
“日本で初めて誕生したフランス菓子店”として長らく愛されていたパティスリーが『ルコント』だ。アンドレ・ルコントさんが1968年に六本木に開いたその店の歴史は、2010年まで続いた。 私の『ルコント』にまつわる記憶をひもとくと、1978年に六本木から移転した青山本店の光景が思い出される。小学生の頃、青山ツインタワーの中にある病院に通っており、その行き帰りに同じビルの地下にある『ルコント』に立ち寄ることが多かった...
「真由子ちゃん、こっちよ」 待ち合わせ場所の『ル・クラビエール有栖川』で、妙子がこちらに手を振っている。...
「デートのおすすめは?」という質問に「パークハイアットの『ニューヨークバー』は、医学生時代に女性を落とす定番スポットでした」と笑う、大岩さんも現在は3児の父。 ...
オーナーの吉田正俊氏は『カンテサンス』など名店でサービスに従事してきた美食のプロ。 その経験を生かし、ここでは20種のお酒を少しずつと、それぞれに合...
【今週の港区おじさん】 名前:秀樹 年齢:38歳 職業:IT関連会社経営 好きな店:『ジ イノセント カーベリー』『ル・クラビエール 有栖...
まるで時間の感覚がなくなる店である。めくるめく20のマリアージュが、面白い舞台をみているかのようにエンターテイメント性があるのだ。オーナーの吉田正俊氏は『...
カンテサンスで初代支配人を務めた吉田正俊さんが、自分の店を開け、腰を据えたと耳にした。旧テレ朝通り沿いの古いマンション地下。「こんな場所に?」と惑いながら...
打ちっ放しの後は、一度車を置きに帰ってから、囲炉裏が印象的な、『然(sabi)』に再集合することになった。ディナーのため、健太が先に店の予約を済ませておいてくれたのだ。 美味しい料理と共に、会話も弾む。...
美波との初デートは、ゴルフの打ちっ放しに行った後、一度車を置いてから夜ご飯へ行くというプランにした。 車で迎えに行くと、褒め上手な美波は乗り込むやいなや僕の愛車を褒めてくれる。 「健太さんって、素敵な車に乗っているんですね!」 昨年買ったばかりの新車で、自分の中でちょっと背伸びをしたものの、前から乗りたかった高級外車だ。 「そう?ありがとう。ちょっと頑張ったけど、やっぱり男も30歳になる前に良い車くらい...
ゆう君が指定してきたお店『然(sabi)』は、ゆう君らしいセレクトだった。ちょっと艶やかさもありつつ、でも囲炉裏があって落ち着く店内。 魚介のブイヤベースを囲炉裏で食べられたり、出てくる料理もしっかり楽しめた。...
久しぶりの再会にふさわしい店はどこだろうかと散々考えた挙句、広尾にある『然(sabi)』にした。 この店なら雰囲気も良く、カウンター席の目の前にある囲炉裏で料理を楽しみながら、ゆっくりと会話ができる。 いきなり個室よりも、オープンに会話を楽しめつつも、且つそこまで席数が多くない、半個室のような店が最適だと思った。...
広尾から徒歩10分程の静かな場所に佇む『sabi』は、イタリアンをベースにした本格的な創作料理が味わえる。 木目を基調とした落ち着いた雰囲気の店内には、カウンター12席、テーブル4席のほか、個室を完備しているからデートはもちろん、接待利用も可能だ。 この店の注目はなんと言っても、カウンターの目の前の囲炉裏。この囲炉裏を使っていただくのは、ヨーロッパの技法をベースにイタリアンの要素を取り入れた「創作囲...
「結婚なんかしない」 そう、言い張っていた。 今の生活を手放すなんて考えられない。自由で気まぐれな独身貴族、それでいいと思っていた。 仕事が何より大事だと自分に言い聞かせ、次々にキャリア戦線を離脱してゆく女たちを尻目に、私はただひたすら一人で生きてゆくことを決意していたのに―。 ”想定外妊娠”に戸惑っていたのもつかの間、千華ははじめてのエコーで心を揺さぶられ、たとえ独身だろうと産む決意を固める。 元カ...
3大商社で順調にキャリアを歩んでいる彼らは、間違いなくエリートだ。 だが、20代の商社マンの給料は、年下である24歳の楓のそれを遥かに下回る。 楓は、高給取りが偉いなどと思ったことはこれっぽっちも無い。 確かに外銀でのハードワークは高給によって報われているとも言えるが、必ずしも人の仕事ぶりや努力と給料は比例しない。 金融という業界が高いマージンで回っているだけだし、その会社の構造だって関係してくる。 ...
薫と亜里抄と女子会をした翌週金曜日。 百合はずっと目標にしている女性とともに、有栖川公園近くの『クリオーゾ』にいた。...
「『クリオーゾ』は、オシャレをして、大人っぽい気分で出かけたくなる素敵なイタリアンです」 広尾駅からすぐの便利なアクセスだが、階段を下った地下に広がる店内には、ゆったりとした時間が流れる。食事の時間帯にコース料理を満喫するもよし、少し遅い時間に訪れてアラカルトとワインで過ごすもよしと知っていると重宝するレストランだ。 「実は私、トマトが苦手なのですが、こちらのお料理ならペロリといただけちゃうんです。...
フルオープンキッチンに面するカウンターの一角には旬の魚介を収めたショーケースが鎮座。この店内で、ゲストとの距離感と、扱う素材の状態に徹底してこだわるシェフの姿勢を明確に示している。その志はパスタも然り。食べて旨いのは当たり前。ときには大胆な発想から生まれる、主役が明確なパスタは美味の、その先にある楽しさまで伝えている。...
ANA・ひらまつ・自治体3者の熱い想いから実現したこの企画。納税者は「返礼食事券」を通じて、ふるさとに眠る美味しい食材と巡り会える絶好のチャンスが得られる。さらに一度ファンになれば、指名買いをしてくれる可能性も高く、地方自治体にとっては願ったり叶ったり! そんな両者の橋渡し役を担うのが、ひらまつグループのシェフたちだ。シェフ自らがその土地に直接出向き、生産者と語らい、味わった素晴らしい食材を厳選。その食材を使用した期間限定の...
小川大樹氏が料理長に就任した際、自らのセンスで「総合芸術としての料理」を追求するために意識したのは、「(お出しした時に)お客様の顔が明るくなるような盛りつけ」。ソースは味だけでなく、視覚的な華やかさを出すためにも不可欠だ。 コンソメを含ませた聖護院大根にフォアグラのソテを合わせた写真の前菜(ランチコースより)には、やわらかな酸味とコクのあるベアルネーズソースをたっぷりと添え、赤ワインとポルト酒で煮込んだ山椒を細い線のように配...
レストランウエディングの草分けである『レストランひらまつ』。「美味しい料理でもてなしたいから」と選ばれることも多い。 「美味しいことはもちろん、心まで満たされる祝宴となるように」と、常に期待される以上を目指し、スタッフの持つ力を最大限に発揮して婚礼を支えていく。 抜群のチームワークが強みだが、それは仕入れ先も含んでのこと。小川大樹料理長自らが信頼を寄せる産地から、安心できる良質な食材を直接仕入れている。...
広尾の『エピキュール』というレストランがお勧めです。 低糖質のみのレストランではないので、ダイエッターと通常食の人が一緒にテーブルを囲み、お互いに気にせず食べられるのも嬉しい店です。 満腹になるくらい食べても、低糖質メニューだから、ダイエット効果がある。昼にランチでたらふく食べても眠くならないし、味も美味しいです。 芸能人やアスリートもよく訪れているようですよ。...
室内に漂う、凛としつつも温もりのある空気感は無駄な装飾を削ぎ落とした成果か。あるいは店主・中田昇氏の穏やかな人柄ゆえか。 座ればすぐに根の生えてしまいそうな居心地の良い椅子があって、目の前には奥行きも十分なカウンター。マンションの1室にあって完全紹介制。1日1回転の料理屋である。 開店は2009年。故郷の富山で10年間、フレンチレストランを営み、本国での修業経験もある中田氏が、ふと思ったのだ。...
クアラルンプールの街並みが、どんどんと小さくなる。 離陸時の小刻みな揺れに包まれながら、南美は飛行機の窓から五日間を過ごした街を見下ろしていた。 上空から俯瞰することで、散策時には洗練された都会だと思っていた街にも、少し離れれば退廃した地区があると分かる。 ―どんなに綺麗な場所でも暗部はある。 それはまるで、南美の心の内のようだ。 数也を愛し信じる心。そこに生じた、ほんのわずかな疑念。 「本...
名前:竹内美樹さん(仮名) 職業:看護師 年齢:31歳 「一人暮らしの女性がペットを飼うと婚期を逃す」 まことしやかにささやかれるジンクスを打ち破り、幸せになった女性がいる。 その女性の名前は、竹内美樹さん(仮名)。彼女は、60万円かけてチワワのチョコを手に入れた。 愛犬と一緒に現れたのは、広尾の『ボンダイ カフェ』。大きな目が印象的で色が白く、人目を引く美人だ。そして不思議なことに、犬のチョコも飼...
「ごめん、舞子。私、全然気づいてなかった。」 私は『ボンダイカフェ』で、舞子と向き合って座っていた。 舞子とは、さっき偶然近所のスーパーで再会した。そして彼女は、切羽詰まった表情で小さく、けれど確かに「うらやましい」と言ったのだ。 その様子は、私が知っている舞子とは遠くかけ離れた弱々しい姿で、そんな彼女を放っておくこともできず、私は近くにあるこの店に連れてきたのだった。 最初は他愛の...
「…20代の頃は、六本木ヒルズに住んでたんですけどね」 午後1時、広尾の『ボンダイカフェ』。 慣れた様子でソファにくつろぐ梨華は、こちらからは何も聞いていないのに、あえてそう付け加えた。 彼女はこの近くにオフィスを構える、WEB系の広告会社で働いているらしい。 しかしほぼノーメイクに近い薄化粧に、谷間がくっきり見えるほど胸元の開いたニットワンピース、表に“BALEN”と大きくデザイン...
天然木をふんだんにあしらい、贅沢に配置されたテーブルは、まるでビーチサイドのカフェを訪れたよう。開放感のあるテラス席には気持ちよい風が流れ込み、静かでゆったりとした空気が流れる。犬の同伴も可能。...
昼下がりの広尾。 駅前の『ボンダイカフェ』に現れたエミさんは、意外にもデニムとボーダーTというラフな装いだった。 とは言っても、どれもこだわり抜かれた上質感漂うアイテムであり、バッグにはHマークが輝いていたが。 教育熱心なお受験ママは、一律コンサバファッションに身を包んでいるものだと思い込んでいたが、どうやらそういうワケではないらしい。 エミさんは、7歳の男の子と4歳の女の子をもつ2児の...
「Dating(デーティング)」という英単語をご存知だろうか。 海外、特に米国の若い男女の間でよく使用される言葉だ。正式な恋人関係ではなく、カジュアルにデートやそれ以上の行為を楽しむ。いわば「検討期間中」が「デーティング期間」にあたり、米国では文化として成り立っている。 そこから真剣交際、結婚に発展することも少なくはないが、そこであっさり離れてもお互いに責任は負わない。彼氏がいる訳ではないので、複数...
「公園」を軸に東京の魅力を探る「東京パークライフ」。 初回は、東京で最も芸能人遭遇率が高いと言われる「駒沢公園周辺で週末を過ごすという選択」をお送りしたが、第2回は、東京カレンダー読者におなじみの港区、有栖川宮記念公園(以下、有栖川公園)を紹介する。 麻布が坂の多い土地であることは、よく知られているが、その地形を生かした有栖川公園は、丘陵あり渓谷あり、大小2つの滝もあり、という起伏に富んだ日本庭園だ。耳...
西麻布から少し足を伸ばして、訪れたいのがこちらのカフェ。店内はオーストラリアの高級リゾート・ボンダイビーチをテーマに仕上げている。 朝食はアサイーボウルにエッグベネディクト、ブレッドサンドにパンケーキとオールスターの様相。ヘルシー派には美容効果も高い「アサイーボウル」を。 グラノーラとスーパーフルーツ、アサイーピューレをザクザク混ぜれば、食感楽しく気分もアガる。...
数日後、ユウスケから、ワインが美味しく飲めるお店に二人で食事に行かないかと、誘いがあった。 —通い始めたばかりのワインスクールで、早速、ハイスペ・イケメンと仲良くなれるなんて、ラッキーだわ! ユウスケが予約をしてくれたのは、広尾にある『ボン ピナール』だ。以前ワイン好きの友人から勧められたこともあり、特にブルゴーニュワインが豊富に揃っている店だと聞いていた。瑠璃子は、店のチョイスにも大満足だった。 はじめはた...
美女が愛するのは癒しと満足度!場所は旧テレ朝通りを進み中国大使館の少し手前のビル地下1階。 ソムリエのご主人が厳選した圧巻のブルゴーニュワインのラインナップと奥様シェフの温かみのある料理…夫婦ならではの温もりと優しさを目当てに毎夜常連たちが吸い寄せられるワインバーだ。 コースは豊富なメニューから前菜2品とメイン1品、メインの後にはチーズ、デザート、〆ご飯から選べてボリュームもしっかりあるから男性も確実に満たされる。...
いつもより大分早めに店を出た麗子は、何となく家で自炊をする気になれず、足を伸ばして『ボン ピナール』に入った。...
CPの高いワインを目当てに、毎夜常連たちが吸い寄せられるワインバー。カウンターにはワインが並び、ひと通りのワインを経験した手練れが馥郁たる空間で身を酔わせる。 そんなワインラバーの最高のバックアップが、厨房の奥の聡子シェフが作り出す料理の数々。彼女自ら富士宮は豚博士がいるという「富士農場サービス」へ出向き、半頭買いしているというLYB豚で作ったシャルキュトリーはここでしか味わえない。 〆のカレーにL...
CPの高いワインを目当てに、毎夜常連たちが吸い寄せられるワインバー。カウンターにはワインが並び、ひと通りのワインを経験した手練れが馥郁たる空間で身を酔わせる。 そんなワインラバーの最高のバックアップが、この店の料理の数々。富士宮は豚博士がいるという「富士農場サービス」へ出向き、半頭買いしているというLYB豚で作ったシャルキュトリーはここでしか味わえない。 〆のカレーにLYBソーセージをのっけてもらえ...
彼女も大学の同級生で、私と同じような浮ついた学生時代を過ごしてきた友人だ。卒業からしばらくの時間が経っても、こうして二人で定期的に会うのは唯一の未祐だけだ。 もっとも彼女は未だ独身で、楽しそうに港区の最前線で活躍しているが。 「3歳も年上だって。ねぇ、30歳越えてるんだよ。それであの廉くん捕まえるなんて、やり手だよね。あー、結婚式楽しみ」 その画面に映っていたのは、おそらく以前『茶禅華』で見たのと同じ女だった...
「いってらっしゃい。気をつけてね」 朝8時。夫の直哉を見送ったあとは、長い自由時間が待っている。 専業主婦になることへの不安もあったが、広尾に購入した新居での穏やかな生活に、私はすぐに順応した。 ブランド物の家具や食器を買い揃え、バルコニーではハーブを育てた。家事がひと段落すると、料理やテーブルコーディネート、ワインについて学ぶ教室に日替わりで通う。 そんな優雅な生活に慣れてしまうと、会社勤めをしていた...
その数日後 、私はメインMCの矢崎と私、そして花凛の三人で広尾にある『茶禅華』で食事をすることになった。 平日は毎日肩を並べて番組をやっているのに、矢崎から食事に誘われたのは今回が二度目だった。 しかも、私は花凛からこの食事に誘われた。 「今度、矢崎さんが食事に行こうって言ってくれたから、レミちゃんも来てね♡」 “安全牌”として私を誘ったのか、それとも普通に、私の顔を立ててくれたのか...
かつては武家屋敷が立ち並び、現在はドイツやフランスなどの大使館が点在。そんな南麻布の閑静な住宅街に、「食通」と「港区女子」から支持を集める中国料理店がある。今年2月にオープンした『茶禅華』だ。 もともと大使館員の住まいだった一軒家を改装して作ったという店内はグレーを基調とし、それが、ところどころに配されている李朝の調度品や景徳鎮の器などと相まって、独特のオーラを纏っている。 「ドラマティックですよね...
キャリアも幸せな結婚も、そして美貌も。 女が望む全てのものを手にし、したたかに生きる女たちがいる。 それは、東京の恋愛市場においてトップクラスに君臨する女子アナたちだ。 清純という仮面をかぶりながら、密かに野心を燃やす彼女たちは、現代における最強の“カマトト女”。 これは某キー局のアナウンス室で繰り広げられる、“カマトト狂騒曲”である。計算高い彼女たちはどうやって、全てのモノを手にしよう...
「今晩は楽しかったです。次いつ空いてるかな?『茶禅華』って行ったことある?気になってるんだけど一緒に行かない?」 LINEに届いたメッセージを開き、楓はため息をついた。 ー『茶禅華』は興味あるけど・・・彼とじゃなくていいかな。 ディナーを終え2軒目に誘われた時、楓はどうも気が進まず、「明日早くて・・・」とありきたりな言い訳をして別れてしまった。 そして今、そのまま近所の馴染みのワイン...
―ないないないない。 ひな子は、麻布十番の自宅マンションの前を去って行くタクシーを見送りながら、激しく頭を振る。 今晩は初めてマッスーとの『アピシウス』デートを試みたが、これが意外にも、なかなか楽しかった。 「ひな子専属の港区おじさん」という発言は胸にじんわりと響いたし、徹底して下手に振る舞い続けるM気質な彼の姿勢は、知らぬ間にひな子の警戒心を溶かしていた。 自分の吐く毒舌や高飛車発...
『茶禅華』での2on2の会食以来、慶子カップルに紹介された慎太郎からの連絡は、うんざりするほどしつこかった。 「この男、嫌いじゃない」 そう直感した自分の勘は、果たして鈍っていたのだろうか。 朝昼晩と毎日のように鳴りやまない、慎太郎からのどうでもいい内容のLINE通知。ひな子はそれを、綺麗に整えたフレンチネイルでサッとスライドして非表示にする。 こちらの空気も読まずに何度も連絡をよこ...
-同年代の男と食事会なんて、久しぶりだわ...。 ひな子にとって、“普通”の男との食事ほど気を遣うことはない。何を着て行こうか、もう1時間も服に悩んでいる。 相手が経営者や年上の男であれば、ブランド物のワンピースにクラッチバッグとエルメスのバングルを合わせ、ルブタンを履くのが定番だ。 しかし、相手が30歳のサラリーマンの場合、恐らく“やりすぎ”となってしまう。慶子の本命彼氏の手前、清楚さも...
◆ 最初は少量ずつ、食事の後半に進むにつれてボリュームが増える計16品ほどのコースをゆっくり堪能しているあいだに、時間はゆっくりと、優雅に過ぎていく。 料理を更に引き立てるペアリングを心ゆくまで楽しむうちに、彼女の緊張も徐々にほぐれ、警戒心はすっかり和らいでいるだろう。...
年上なのに可愛らしい男の人、というのがイノッチの第一印象であった。 何と表現したら良いのだろうか。今夜もイノッチは、相手に警戒心を与えない気張らない出で立ちをしている。 ただ、南麻布の住宅街に佇む話題のガストロノミック・チャイニーズ、『茶禅華』に来ている割には、あまりにもラフ過ぎるかもしれない。...
ここ1~2年、食の世界で最も面白い動きを見せている料理のジャンルは? といえば、それはまさしく中華料理だろう。マニアックな地方郷土料理や少数民族料理に目を向ける料理人もいれば、フレンチよろしく少量多皿料理の新しいスタイルで勝負をかける店、そして、伝統料理を踏襲しつつも独自のアレンジを加味、現代人の嗜好に合わせたモダンな料理に昇華させている実力派シェフなどなどまさに百花繚乱! 30代の中華料理人たちの活躍ぶ...
「僕ははじめて由梨ちゃんに会ったとき、まるで稲妻に打たれたみたいに恋に落ちたんだ」 夫は、シモンズのキングサイズベッドの上でいつものように私を抱き寄せ、2年も前の出来事をまるで昨日のことみたいに語る。 「進次郎さん、その話、何度目?もう聞き飽きたよ。ずっと昔の話じゃない」 これまでだったら子守唄のように心地よく耳に響くエピソードも、今の私には鬱陶しいだけ。 それどころか、私を優しく包むふかふかした体も、...
「公園」を軸に東京の魅力を探る「東京パークライフ」。 初回は、東京で最も芸能人遭遇率が高いと言われる「駒沢公園周辺で週末を過ごすという選択」をお送りしたが、第2回は、東京カレンダー読者におなじみの港区、有栖川宮記念公園(以下、有栖川公園)を紹介する。 麻布が坂の多い土地であることは、よく知られているが、その地形を生かした有栖川公園は、丘陵あり渓谷あり、大小2つの滝もあり、という起伏に富んだ日本庭園だ。耳を澄ませば、渓流が池...