「どうして、何もかも奪うの?」恋心を抱いた上司と絶好のチャンス。そこに現れた“魔性の...
翌日の朝は、沈んだ気持ちで出社した。昨夜はさすがに、佳樹と別れた寂しさのせいか、ほとんど眠れなかったのだ。本当にこれで良かったのかという後悔の念すら抱き始めている。 どんよりした気分でオフィスのドアを開けると、いきなり滝沢と遭遇した。 「神崎さん、おはよう!」 暗い気分を吹き飛ばすような笑顔に、心臓がドキンと大きく跳ね上がる。 同時に私は、ハッとした。これは自分で決めたことなんだから、くよくよしてないで...