引き戸を開けると、まだ初々しい木の香りが漂う店内。オープンからわずか4ヵ月。前職がウェブクリエイターだったという店主が、北千住の名店『バードコート』での5年の修業を経て独立したこちら。 奥久慈しゃもを使い、紀州備長炭で焼き上げるのは、小細工なし、地鶏の旨さを引き出すことを追求した焼鳥だ。料理はコースが中心。店主厳選の日本酒やワインとともに名店仕込みの味を!...
寒い時期に食べたくなるのが、濃厚な割下で煮込んだ「すき焼き」。その旨さは言わずもがなだが、ただ美味しいだけでは芸がない。 そんな時は『三田ばさら』の「トマトすき焼き」がおすすめ。そのメニュー名を聞くだけで好奇心をそそるはずだ!...
濃厚な割下で煮込んだすき焼きの旨さは言わずもがなだが、ただ美味しいだけでは芸がない。『三田ばさら』の「トマトすき焼き」は、まず、そのメニュー名を聞くだけで彼女の好奇心をそそるはず。 牛脂の代わりに鍋にオリーブオイルとニンニクを敷き、大玉のトマトと玉ねぎを並べ、そこに甘辛な醤油風味の割下をジュワッと注ぎ込む。鼻腔をくすぐる甘く香ばしい湯気に高鳴る胸。...
夏に食べたくなる野菜のひとつ「トマト」。予約の取れない名店『三田 ばさら』の「トマトすき焼き」は、夏でもビールとともに味わいたい! 牛脂の代わりに鍋にオリーブオイルとニンニクを敷き、大玉のトマトと玉ねぎを並べ、そこに甘辛な割下をジュワッと注ぎ込む。鼻腔をくすぐる甘く香ばしい湯気だけでもビールが進んでしまうだろう。 煮込んでもさっぱりとしたトマトの酸味を楽しめるよう、甘みよりも酸味が強めのトマトを使用...
港区であれば東京の頂点であるという発想は、正しいようで正しくはない。 人口約25万人が生息するこの狭い街の中にも、愕然たる格差が存在する。 港区外の東京都民から見ると一見理解できない世界が、そこでは繰り広げられる。 これはそんな“港区内格差”を、凛子という32歳・港区歴10年の女性の視点から光を当て、その暗部をも浮き立たせる物語である。 港区内で頂点を極めた者に与えられるキングとクイーン...
「酒、いけるよね?」との問いかけに顔を戻すと、こちらをじっと見つめていた。目が合った瞬間、ふわっとほどけたように彼の目尻が下がる。職場では見せない藤田のプライベートな笑顔に隙をつかれ、裕美はその甘い魅力にくらっとした。 『三田ばさら』にはいくつかのコースメニューがあるが、注文すべきはやはり「トマトすき焼き懐石」だろう。まず最初に、手の込んだ八寸が楽しませてくれる。季節ごとに旬の食材がふんだんに使われており...
机の上で携帯電話が鳴っている。慎吾からだった。 「そっか、今日は日曜日か...」 日曜日の20時は、慎吾と電話をする時間だった。 「慎吾、ごめん...」 鳴り続ける携帯電話の画面を見つめながら、着信音が途切れるまで画面を見つめ続ける。 「慎吾、本当にごめん」 ゴロンと横になった瞬間、狭い家の片隅に両親が送ってくれた信州産の野菜が入った段ボール箱が目に入る。両親と慎吾の顔が...
オーディションの翌週、福岡県のテレビ局出身の玲奈とランチをしていると電話が鳴った。 玲奈とはアナウンサー試験時代によく一緒になり、お互いキー局(東京)、準キー局(大阪)もダメで地方局まで回った地方行脚チームだった。苦楽を共にした同志のような存在だ。辞めて東京に戻ってきたタイミングも一緒で、最近よく会っている。 プロデューサーからの話によると、先日受けたオーディションにいたプロデューサーが会いたい...
~リッチだけどヘビーじゃない これぞ進化鍋の代名詞~ 濃厚な割下で煮込んだすき焼きの旨さは言わずもがなだが、ただ美味しいだけでは芸がない。『三田ばさら』の「トマトすき焼き」は、まず、そのメニュー名を聞くだけで彼女の好奇心をそそるはず。 牛脂の代わりに鍋にオリーブオイルとニンニクを敷き、大玉のトマトと玉ねぎを並べ、そこに甘辛な醤油風味の割下をジュワッと注ぎ込む。鼻腔をくすぐる甘く香ばしい湯気に高鳴る胸。...
濃厚な割下で煮込んだすき焼きの旨さは言わずもがなだが、ただ美味しいだけでは芸がない。『三田ばさら』のトマトすき焼きは、まず、そのメニュ ー名を聞くだけで女性の好奇心をそそるはず。 牛脂の代わりに鍋にオリーブオイルとニンニクを敷き、大玉のトマトと玉ねぎを並べ、そこに甘辛な醤油風味の割下をジュワッと注ぎ込む。鼻腔をくすぐる甘く香ばしい湯気に高鳴る胸。主役の肉は、安定した品質を提供するため産地や銘柄は限定せず、...
その日は、会社の友人とヘルシーで美味しいものを食べようと、女3人で麻布十番のビストロ『T'astous』を訪れていた。ここは、無農薬野菜や九州産の魚介をコースで楽しめる、コスパも雰囲気も良いお店だ。...
幸夫から指定されたのは、麻布十番の『タストゥー』。麻布通りの二の橋と三の橋交差点の間にあるレストランで、ネオ・ビストロと呼ばれている店だ。 「あゆみちゃん、やっと会えて嬉しいよ」 向かい合って座る幸夫が爽やかな笑顔を向けてきた。その笑顔を見て、あゆみは考える。 ―この人だったら、幸せにしてあげたいと思える……? そう思いたいと自分に言い聞かせているだけかもしれないが、もし再婚するなら、やはり一番の候補は...
喧騒を離れ落ち着いた雰囲気の中で楽しめるのは、パリと南西部の郷土の味を堀江シェフが再構築したフレンチ。長野県・大島農園の無農薬野菜や長崎を中心とした九州産の魚介など、吟味を重ねて入手した食材は、その味を引き出すため手をかけ過ぎないように調理。 そこに、例えば「キハタのポワレ」はキハタの下に下仁田ねぎ、大根が敷かれ、ソースにゆずを使うなど、「日本の鍋をイメージしています」と遊び心、アイデアをまとわせることも...
真の大人とは何か。自らの価値観を持ち、氾濫する情報に惑わされることなく、本物を見極める審美眼を持つことではないか。 レストラン選びも然り。真の大人が、為すべきこと、それは、数多あるグルメ情報に惑されず、自分のスタンスに合った店を選び抜き、そこを行きつけにすることだ。 そんな慧眼を養うなら、ここ『コート ドール』をおいてほかにない。 黒鉄のランタンが灯しだす「COTE D'OR」の文字もどこか風格を湛える、レジェン...
言わずと知れたフレンチの名店『コート ドール』。オープン以来、グランドメニューを飾る至極の逸品として供されているのが「和牛の尻尾の煮込み赤ワインソース」だ。 威風堂々として皿に横たわる肉塊─。 鳶色のソースに覆われ、黒々とした光沢を放つそれは、立ち昇る香気も豊潤にして軽やか。どこか毅然とした佇まいに、有無を言わせぬ迫力と品格を感じさせる。 斉須政雄シェフが28歳の時から作り続けてきた渾身の力を込めたひと皿だ。...
「レストランの総合力という意味では、町場で一番いいレストランだと思う」 北島シェフがそう言いきるのは、この後ご登壇いただく、斉須シェフ率いる『コート・ドール』。 「斉須さんは、テリーヌや鹿のシヴェがすごく上手い。どこか淡いイメージのある味付けなんだけど、肝心なところがビシッと決まっていて、本当に旨い。サービスもしっかりしているし、本当に素晴らしいレストランだと思うよ」...
小石原さんをはじめ、フードライターやソムリエなど、各界の“美味通”たちが真っ先に推薦する、東京の夏を代表するスープ。フランスで12年間料理を作り続けた斉須政雄シェフが、日本人として何ができるか追求して生まれた、唯一無二の味だ。材料は梅干しとたっぷりの紫蘇、そしてトマトの果汁と少しのアボカド。なにげない食材だが、斉須シェフの手にかかれば、梅の鮮烈な酸味と、トマトの瑞々しさ、紫蘇が醸す溢れるほどの清涼感に、胸がいっ...
たった今、出来上がったばかりの翡翠色をしたスープは、まるで息をしているかのようにプクプクと小さな気泡を立て、静かな吐息を漏らしている。ご覧の目にも涼やかなひと皿が、ここ『コート・ドール』の夏を彩るスペシャリテ“大葉シソ・梅干しの冷製スープ”。孤高の料理人・斉須政雄シェフが生み出した珠玉の逸品だ。 青シソと梅干し。この、日本人の心の奥に潜む夏の原風景を彷彿とさせる食材を使いながらも、斉須政雄という料理人のフィル...
¥5,880。言わずと知れたフレンチの名店『コート ドール』のオープン以来、25年間グランドメニューを飾る至極の逸品。これを食べるために訪れるグルマンたちが多いのもうなずける、深奥にして滋味ゆたかな味わいだ。オックステールという庶民的な食材を一流の味に仕上げる。『ヴィヴアロワ』で初めてこの料理に出合った時の感動を今も胸に秘めながら、変わらず作り続ける斎須政雄シェフ。その料理哲学がこのひと皿には潜んでいるようだ。...
毎日食べても飽きないようにとの配慮から、現地よりややソフトに仕上げるが、この味を信頼するスペイン人シェフのリピーター客も多いとか。注目すべき進化を遂げるのは新店ばかりではない。この店の真摯な姿勢に触れれば「まっとう進化」の真髄が見える。...
「龍平さんが、女性に求めるものは何ですか?」 三田にある『御田町 桃の木』のカウンター席で、美優(みゆう)は瞳をウルウルとさせながら龍平に問いかける。 美優とは以前から知り合いだったものの、こうして二人で食事に行くのは初めてである。 現在27歳、独身でメガバンク勤めの美優。 フェリス女学院出身の育ちの良いお嬢様で、家柄の良さも垣間見られる。 「そうだなぁ。平和な人?太陽みたいに明るい人、とか。あと...
ワタシもカミさんも呑兵衛である。どうしてもワインが飲みたくなったとき、我が家は中華へ行くことが多い。理由はアラカルトで一気に頼めて早いから……。 なかでも『桃の木』は近所ということもあり、ちょくちょくお邪魔する。まず何よりも先に子供用の干し貝のチャーハン(3,500円)を頼み、大人の部スタート。子供が食べきるまでに、ワインと上海よだれどり、スペアリブの唐揚、などスパイシー料理を。 同時に頼んだ本日の直送鮮魚をいただいて...
『桃ノ木』を知ったのは、対談本の書籍の打ち上げで、出版社の編集者が連れて来てくれたのがきっかけだという。 「僕は中華が大好きなんですが、ここのお料理は今までいただいいてきた中華とまったく違った。すぐに家族を連れて再訪したら、みんなも大好きになってしまいました」 一体、今までの中華とは何が違うのか。 「軽いんですよ。とろみのあるような料理がない。ほとんどつないでないんです」 料理人の小林さ...
■プロフィール せがわあずさ 食に特化したリレーションサービスを提供する株式会社食レコ代表取締役。ワインスクール「レコール・デュ・ヴァン」新宿校の主幹講師も務め、食やワインを通じた豊かなライフスタイルを発信中。 オフィシャルブログ...
若林英司(『レストラン タテルヨシノ』総支配人) 「素材の持ち味を最大限に生かした本物の野菜料理が味わえます」...
凛とした所作と快活な人柄が印象的な店主・山本晴彦氏は、全国に名を馳せる岐阜の名店『たか田 八祥』の出身。師である高田晴之氏の元で、12年に渡り腕を磨いた。その真髄は、正統派日本料理の枠にありながら、自在な発想で食材の旨さを引き出す柔軟性。 そんな名人の技は、ゲストの反応が直に伝わるカウンターという舞台で、さらに研ぎ澄まされている。2011年の開店以来、連日大盛況の人気店。本格日本料理のカウンターとしては、絶対に外せない一軒である。...
土鍋の中でつやつやと炊きあがる新米と、愛らしく添えられた銀杏や新イクラを見れば、ここ『晴山』の技術と遊び心がわかる。 10月下旬、通常の新米よりやや遅れて届く熟成米。あえて収穫を遅らせることで、旨みが凝縮されるのだという。この時期は香ばしく焼きあげた秋鮭、新イクラ、銀杏を添えて。土鍋の中で織りなされる秋の味覚の共演は、この時期だけの美味。...
語り口は明朗快活。しかし、ひと度包丁を握れば“実直”のひと言が所作より滲み出る。カウンターで目にする、店主の立ち居振る舞いは実に眩しい。 「料理が美味しいのはもちろんですが、気持ち良く食べていただく空間を作るのも、料理人の大切な仕事。楽しんでいただいてなんぼだと思っています」 山本晴彦氏は岐阜で全国に名を馳せる日本料理店『たか田 八祥』の出身。学んでいたのは東京にある調理師学校だったが、そこで特別講...
凛とした佇まいの中に垣間見える柔和な一面、あるいは遊び心。土鍋の中でキリッと炊きあがる新米と、愛らしく添えられた銀杏や新イクラを見れば、ここ『晴山』に送られるそんな賛辞も腑に落ちる。正統派日本料理の確固たる基盤の上に、柔軟な感性が積み上げられて生まれる美しき一皿。 手がけるのは店主・山本晴彦さん。岐阜の名店『たか田八祥』で12年に亘り腕を磨いた人物だ。師である高田晴之さんの元で学んだのは、日本料理の枠を軽々と...
むかし、むかし、僕はある男性ファッション誌の編集部にいました。同じオフィスには女性ファッション誌の編集部もあり、現在は食メインのフリーライターとして活躍中の小寺慶子さんもそこで編集者として働いていました。当時から食べることが大好きだった小寺さんに僕は尋ねました。 「美味しい餃子屋ってどこ?」 すると、小寺さんは迷いもなく「大宝」と即答。その日から僕は『大宝』の餃子が大好物になりました。 『大宝』は創業昭和33年の東京を代...
麺類のどれも美味しいのですが、二日酔いの日は「タンメン」。酒でやれた胃に野菜ベースのスープが優しく染み渡り、食欲増進に。調子が良い時は「上大盛り(野菜まし)」でオーダーするくらい、好きです。途中でお酢を大量投下して味変して最後まで楽しめる。 タンメンに次いで好きなのが、「タケノコ麺」。素朴な醤油ラーメンなのですが、これはビールを頼んでいただくととんでもなく美味しい。タケノコ(メンマ)をツマミにビールをぐいっと。最強の...
食にうるさい麻布の住民たちから15年以上愛され続けている小料理店。旬の食材はひとつひとつ産地や品種を厳選。 いつ訪れても、「その時期、一番旨いものを食べさせてくれる」と評判だ。なかでも人気なのが「すっぽん鍋」。根の部分を太らせた仙台セリと、炭火で焦げ目をつけた焼き餅、焼きねぎを合わせるのが『あら㐂』流。滋味あふれるすっぽんの上品な味わいが魅力だ。...
マンションの2階にひっそり店を構える、完全予約制の鮨店。生まれも育ちも地元・麻布の主人、鈴木けんじさんが大切にしているのは、昔ながらの江戸前の仕事。 「当たり前のことを、しっかりと。また明日も食べたくなるような味に」をモットーに、毎日築地へ出かけ、自ら見極めた素材を、ていねいな仕事で鮨に仕立てる。旨い鮨を、ゆったりと味わえる居心地のいい店だ。...
男性にしては綺麗な肌に、色素の薄い艶のある髪。アキラは最近人気の若手俳優のような整った甘い顔立ちをしている。 ニコッと微笑む度にくっきりと浮かび上がるエクボには彼の愛嬌の良さが滲んでおり、少し垂れ気味の瞳からは外見への絶大な自信が感じられた。 「あ、ちなみに俺が住んでるのは、あそこに見えるマンションです」 運ばれてきたシャンパンのグラスに早くも口をつけながら、アキラはテラスから見えるほど近い建物を指す。 ...
奈々を食事に誘ったのは、一人で過ごす週末に怯えたからだ。 あの夜以来、美玲から連絡はなく、翔平からもしていない。 ◆ 「高級で、落ち着かないわ…」 南麻布のイタリアン『カーザ ヴィニタリア』。目の前に座る、白いワンピース姿の奈々が、自信なさげに、おどおどとした視線を向けるのを確認し、翔平は心が満たされていくのを感じた。 翔平は昔から、なぜか奈々のこういう表情が好きなのだ。 高校時代の友人との...
「こういうお店、よく来るの?」 約束の週末、慣れた様子で着席するジャケット姿の翔平に、奈々は小声で尋ねた。 翔平がディナーを予約してくれた南麻布の『カーザ ヴィニタリア』は、大人がデートで来るにふさわしい、落ち着いた雰囲気のイタリアンだった。 スマートに行き交うスタッフの横をすり抜けて届く、上品な男女のさざめき。彼の肩越しには、ぼんやりとライトアップされた中庭が見える。 「なんか高級...