20年以上、愛され続けている麻布十番の隠れ家で、
伝統ある和食を新たな解釈で表現するオリジナリティ豊かな料理を堪能

1995年から食の激戦区である麻布十番の地で人気の衰えることがない「暗闇坂 宮下 麻布」。
隠れ家と呼ぶにふさわしいこの店は天然木や和紙をふんだんに使い、4〜5mあろうかという栃の木の一枚板のカウンターは20年経ってもまったく色褪せず重厚感にあふれひときわ目を引く。

現料理長である西 直人氏は先達が築いた“宮下の味”を守りながらも自身の解釈で素材を引き出し、オリジナリティに富んだ料理を創る。
この「鰆の炭火焼き」も上質な鰆のもつポテンシャルを活かすため魚自体は炭で焼くだけ。香りや味わいは「彩々茸柚香霙」と「牛蒡のソース」につけ、スプーンで一緒にいただき、口の中で味を完成させるのである。
「昔は魚の臭みを取るために柚香焼きにしていたが今は冷蔵庫もあるし魚をおいしく食べるには手法自体を変えるべきだと思います。その方が鰆の食感も損なわずに香りも楽しめます」と言う。ホクホクの茹でた落花生も食感の演出に一役買っている。

和食のクライマックスは何と言っても炊きたてのごはんであろう。
「鞍馬御飯」は山椒の産地である鞍馬から名付けた香り高い混ぜごはんのことである。
こちらでは鞍馬産の山椒、だし、みりん、醤油でじゃこを炊き、熱々の山形県置賜産コシヒカリに混ぜ、仕上げに青海苔をふりかけている。
甘辛の醤油味が米粒にやんわりとしみこみ、どうにも箸が止まらない

奥にはプライベートや接待向けに6〜8名用の個室がある。掘りごたつに樫の木のテーブル、板張りに和紙といったクラシックな伝統工芸とモダンさが同居する趣のある空間だ。
この店でふるまわれるコースは厳選した旬の食材で構成した「宮下(7,000円)」と、産直の有機野菜や鮮魚、和牛を堪能する「旬彩(10,000円)」の2種類。
どの皿も和食の新たな可能性を感じさせる逸品ばかりである。様々なシチュエーションに対応できて毎日でも飽きずに通える店、これはいきつけにしたいものである。
お伝えいただければ幸いです。