東京・ホテルストーリー Vol.8

東京・ホテルストーリー:30代花嫁のプレッシャー。自意識過剰な女を救った、婚約者の愛

東京の女には、ホテルの数だけ物語がある。

「ホテル」という優雅な別世界での、非日常的な体験。それは、時に甘く、時にほろ苦く、女の人生を彩っていく。

そんな上質な大人の空間に魅了され続けた、ひとりの女性がいた。

彼女の名は、皐月(さつき)。

これは、東京の名だたるホテルを舞台に、1人の女の人生をリアルに描いたストーリー。

埼玉出身のごく普通の女子大生だった皐月は、社会人になり東京生活を謳歌していた。27歳での結婚願望見事に砕け散った彼女だが、30歳の誕生日には、思いがけずプロポーズを受ける。そして、結婚式の準備に四苦八苦するが...?


「結婚式が自己満足だなんて、そんなこと言い始めたら、何もできなくなっちゃうじゃない」

学生時代からの友人・優子は、私が結婚式の準備で少々ノイローゼ気味になっていると打ち明けると、呆れたように笑った。

「結婚式の粗さがしなんて、しようと思えばいくらでもできるのよ。だから、予算内で皐月の好きにすればいいじゃない。花嫁の自己満足なんて、みんなお互い様なんだから」

『オーク ドア』のハンバーガーにかぶりつきながら、優子は冷静に私を慰める。

ランチの後には、桂由美とHatsuko Endoのウェディングドレス選びに付き合ってもらう予定だ。

すでに一人で何度も試着に行ったし、一度は母に付き添ってもらったのだが、なかなかドレスを絞り込むことができずにいた。

膨大なデザインの中から自分ひとりで1着に決めるのは難しく、母はただの試着なのに、娘のドレス姿にいちいち目を潤ませ、とてもゲスト目線でドレスの見栄えを評価できる状態ではなかった。

そして、先日のちょっとしたケンカ以来、気まずい空気が流れている春斗には、ドレス選びを手伝ってもらうのは気が引けた。

私が声を荒げたとき、「じゃあ、もう何も言わないから、好きにしなよ」と渇いた声で言った彼に、自分からうまく歩み寄ることもできなかった。

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