それも1つのLOVE Vol.10

それも1つのLOVE:無理はしたくない女と、無理をしてでも逢いたい女

それもまた1つのLOVE。

愛してるとは違うけど、愛していないとも言えない。

あなたの身にも、覚えはないだろうか…?

浜松の公立高校を卒業した翔平は、日吉キャンパスで衣笠美玲と出会い、いつしか“特別”な関係となる。

美玲は突然、婚約を宣言したにも関わらず、翔平を自宅に誘いふたりは一線を超えるが、見えてしまった彼女の弱さや狡さに、翔平は失望する

一方、渋谷で偶然再会した高校の同級生・奈々とも距離を縮める翔平は、ある夜、衝動的に彼女を家に呼ぶのだった。


無理はしたくない女


奈々は、何も言わずに帰った。

何も、というのはつまり、翔平と奈々の関係を問いただすようなセリフを口にせずに、という意味である。

そのことに胸を撫で下ろした自分を軽蔑しないでもない。しかし、「ホッとした」というのが本心なのだから仕方がない。

奈々と過ごした夜は、翔平にとってひどく平和だった。

彼女を抱きしめると安心したし、 呼応する唇や、首筋から立ち上る香りは、翔平の心に愛しさだけを運んだ。

心地よさだけが、そこにあった。

奈々のことは、好きだ。二人で過ごす時間は幸せで、一緒にいたいと思う。

しかしその感情は条件付き、なのだった。

「今夜、逢いに行ってもいい?」

奈々から届いたLINEは、翔平に小さな罪悪感を運ぶ。

今日は同期のあきらと飲みに行く約束をしている。あきらと飲んだ後に会っても良いのだが、明日からのマレーシア出張に備え、できれば早く休みたい。

奈々と、一緒の時間を過ごしたい。ただ、そのために自分が無理をしたり、何かを犠牲にするのは違う。

美玲に対する気持ちとは、そこが決定的に異なるのだった。

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