結婚願望のない男 番外編:見た目プーさん、実は肉食系?一途な昭和男・きんちゃんの秘密

見た目はプーさん。でも実は肉食系。昭和香る男、きんちゃん


「きんちゃんって、見た目は癒し系のプーさんだけど、実はかなり肉食系男子よね」

付き合いの長い女友達・咲子ちゃんには、よくそんな風に言われます。

「あ、悪い意味じゃないわよ。好きな女に一途で、包容力も結婚願望もある男なんて、最近珍しいんだから。なんて言うか......、そう、昭和っぽいのよ」

褒められているのか、けなされているのか。

でも僕は、そんなに大した男じゃないんです。

表面的に男らしい綺麗事を口にして、カッコつけちゃうこと、よくあります。

結婚願望だって、もともと強かったわけじゃありません。男って、馬鹿で単純ですからね。利己的な理由が、ちゃんとあるんです。


実は、学生時代から5年以上、かなり長く付き合った同い年の彼女がいました。

彼女のことは僕なりに大切にしていて、時期が来たら結婚するんだろうなとぼんやり考えていたのに、突然フラれたんです。

当時、自覚はありませんでしたが、原因は完全に僕でした。

社会人になると仕事が忙しく、学生の頃のように頻繁に会わなくなったんです。また、優秀な人材に囲まれて働くのは想像以上のプレッシャーと楽しさがあり、簡単に言えば、彼女のケアを疎かにしたんですね。

でも、言い訳じゃないですけど、彼女も貿易会社で活躍している優秀な子でした。だから仕事に対する熱意はお互い様で、無理に会わずとも、長い時間の中で築いた信頼関係は崩れないと思っていたんです。

「もう、私に興味ないでしょ。別れよう」

何の前触れもなく、突然別れを告げられたときは、ただ驚きました。

もちろん僕はそんなつもりじゃなかったので、必死で引き留めました。でも、彼女はとっくに僕に見切りをつけていて、なんとその翌週には、カナダの海外駐在へと飛び立ってしまったんです。

本当に、ショックでした。絶対に安定だと思っていた足場が突然崩れて、地の底に落ちていくような。

しばらくの間、自分でも情けなさすぎると思うほど、かなり落ち込みました。

熱意を注いでいた仕事も、「一体、僕は何のために頑張ってるんだ?」なんて、ふと考えてしまい、虚無感に襲われることが多くなった。

まるで“がらんどう”になったような、自分が薄っぺらい男に思えて仕方がない。

そんなとき、「嫁が早く帰らないと怒るので」「子どもの夜泣きがひどくて眠れなくて」なんて、愛情を滲ませた愚痴をこぼす男たちが、急に羨ましくなったんです。

何度も言いますが、男って、本当に馬鹿な生き物ですから。

自業自得の失恋を経て、「結婚っていいな...」と思い始めました。

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