SPECIAL TALK Vol.32

~ディープラーニングでGoogleに勝つ。起業の醍醐味は、小さな組織が大きな組織に勝つこと~

2020年のニューリーダーたちに告ぐ

2006年、東京大学と京都大学の学生が起業したITベンチャー、プリファードインフラストラクチャー。

技術者のみの理系集団として出発した同社は年々成長を遂げ、2014年には新会社、プリファードネットワークスを立ち上げた。AIベンチャーとして世界トップレベルの技術を誇り、国内外の大企業から熱い視線が注がれる。

そんな同社を率いているのが、少年時代からコンピュータとともに歩み、人工知能をさらに進化させることをミッションとする西川 徹社長だ。西川氏の半生から、次世代を牽引するリーダーが生まれるための条件を探る。

西川 徹氏 プリファードネットワークス 代表取締役社長 最高経営責任者

1982年生まれ。東京大学大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻修了。第30回ACM国際大学対抗プログラミングコンテスト世界大会19位。大学院在学中の2006年に、株式会社Preferred Infrastructureを設立。2014年にはIoTにフォーカスしたリアルタイム機械学習技術のビジネス活用を目的とした株式会社PreferredNetworksを設立。

金丸:本日はお越しいただきありがとうございます。

西川:こちらこそ、お招きいただきありがとうございます。

金丸:今日ご用意したのは、西麻布の現代創作日本料理『笄町 濵矢』です。シェフの濵田さんは私と同郷の鹿児島出身でして、アメリカやタイ、バーレーンなど世界でご活躍されたあと、今年2月にこの店をオープンされました。鹿児島の食材も使われるそうなので、お料理を味わいつつ、西川さんの半生を伺いたいと思います。

西川:それは楽しみです。こちらこそよろしくお願いいたします。

金丸:西川さんは、いま日本で最も注目されている人工知能(AI)のベンチャーを率いています。まずは自己紹介も兼ねて、会社の事業内容を教えていただけますか?

西川:私どもの会社は、AIやディープラーニングの技術を提供しています。世界的にも非常に注目されている技術で、日本でもスタートアップから大企業まで、いかにAIを活用するかを模索しています。自動車や産業機械といった製造業やバイオ・ヘルスケアなど、あらゆる分野の企業と共同研究をしていて、より生産性が高く効率的なシステムの開発を目指しています。

金丸:これからはどの業種、業界においてもAIの活用は欠かせません。世界トップレベルの技術を誇り、世界で戦える数少ない日本のベンチャーです。なぜこの事業にたどり着いたのか、いろいろお聞きしたいのですが、まずご出身はどちらですか?

西川:東京の練馬区です。普通に公立の小学校に通っていました。

金丸:西川さんは身長があるから、スポーツ少年だったのでは?

西川:とんでもないです。小学生のとき、水泳とか野球とかいろいろなスポーツを母にやらされたのですが、全部嫌でした。とくに水泳は、スイミングスクールの「級」の仕組みが納得できませんでした。周りの子はみんな進級していくのに、自分は進級できなくて。その基準が泳ぐ速さなのか、フォームなのか、先生も説明してくれない。これじゃあ勝ち目がないな、と思ってやめました。野球はキャッチボールすらできませんでした。

金丸:それだとスポーツが嫌いになりますね(笑)。

西川:それでも周りに流されて、中学のときはテニス部に入ったんです。でもラケットにボールを当てられなくて、これは絶望的にだめだと諦めました(笑)。

金丸:キャッチボールさえできないのに、ラケットを使うテニスなんて、どう考えても無理ですよね(笑)。

西川:ですよね。そんなふうにスポーツで散々嫌な思いをしたのですが、大学でも懲りずに、運動系のオリエンテーリングのサークルに入ったんです。地図とコンパスを使って、山の中に設置されたポイントを通過しながらゴールするまでのタイムを競う競技なんですけど、〝地図を読む〞という要素があるので、体力で負けても知力でカバーできるんじゃないかと思って。でも実際には、体力がないとやっぱりダメで、大学3年でフェードアウトしました。

金丸:じゃあ、スポーツ以外はどうでしたか? パソコンとの出合いはいつだったんですか?

西川:パソコンに興味をもったのは、小学4年生のときです。父はセキュリティ会社の技術者なのですが、父が借りてきたBASICの入門書を読んだらすごく面白くて、はまってしまいました。でもパソコンは高くて買ってもらえなかったので、紙にソースコードを書いて、ずっと遊んでいましたね。それで中1のとき、初めて自分のパソコンを買ったんです。中古の壊れたのを1,000円で買ってきて、割れたキーボードを自分で直して。一日の半分ぐらいはパソコンの前に座って、ひたすらプログラミングをしていました。

金丸:コードを夢中で書いていると、時間なんてあっという間ですからね。

西川:そうですね。中学、高校ではパーソナルコンピュータ研究部という部活に入って、ゲームを作ったり、3Dのプログラムを組んだりしていました。そのうち、プログラミングだけじゃなく、どうしてコンピュータは動くんだろうという根本的な部分が知りたくなって、勝手に勉強していました。

金丸:その頃って、ちょうどマイクロソフトが急成長していく時期じゃないですか。

西川:まさに。子ども心に憧れていましたね。

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