東京マザー Vol.4

東京マザー:仲良し夫婦のはずが。育休明けに生じた、夫婦関係の亀裂

子を産み、子を育て、家を守る。

昔からあるべき女性の姿とされてきた、“良妻賢母”。

しかしその価値観は、現代においてはもう古い。

結婚して子どもを産んでも、男性と同等に働く女性が増えた今こそ、良妻賢母の定義を見直す時だ。

家庭も、仕事も、子育ても、完璧を目指すことで苦しむ東京マザーたちが模索する、“現代の良妻賢母”とは、果たしてどんな姿だろうか。

育休から復職し、時短勤務がスタートしたレコード会社勤務の佳乃。上司であるゆり子過酷な現実に立ち向かう佳乃の復職を快く思っていなかった。今回は佳乃の夫である紀之の、妻への想いに迫る。


紀之と佳乃は恋人同士だった時も、結婚してからも、大きなケンカをしたことがなかった。

だから佳乃がこんなに険しい顔ができることも、こんなに低い声を出せることも、紀之はつい最近まで知らなかった。



佳乃はいつも可憐で凛としている。紀之が彼女を初めて見た時からそうだった。

「今度入って来る人、なかなかの美人らしいぞ」

佳乃が転職してくる前、そんな噂を数人から聞いた。

当時、好きだった女性に振られて傷心中だった紀之は、そんな噂に興味がなかった。

だが初めて見た佳乃は透き通るように白い肌と、ふわりと顔を覆う艶のある髪を持ち、横から見た時のおでこから顎までラインも美しかった。

何より、柔らかく落ち着いた佇まいが、より一層彼女を特別に見せた。

その姿に、紀之は雷に打たれたような衝撃を覚えたのだった。

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