メニューによります Vol.9

「僕の、最後の女性になってください。」濃厚な中華に酔う、イケメン社長との甘すぎる夜

男性から食事に誘われたら、ひな子は必ずこう答える。

「メニューによります😏最近忙しいので......」

美貌・知性・若さという女の市場価値を決める3大条件、すべてにおいて最高値を誇る女・ひな子。

―中途半端な店に、私を誘わないで―

そのセリフの意図を汲み取った選ばれし男たちは、高飛車に肥えた彼女の舌を唸らせるべく、東京中の美食をめぐり、試行錯誤を繰り返す。

『ペレグリーノ』『Furuta』『ティエリー・マルクス』など、多くのレストランの誘いに満足したが、同い年の裕太に誘われるがワリカン会計という屈辱を受ける。

にもかかわらず、ひな子は裕太のことが気になって仕方がないのだが...?


「僕、ひなちゃん(のためにメニューを考えるの)が、好きだよ」

裕太の告白ともとれるこのセリフは、その後しばらくひな子の耳に残り、離れなかった。

いつ何をしていても、彼のハキハキとした爽やかなその声が、急に耳元に甦る。ひな子はその度にドキマギとし、挙動不審に陥った。

『かわむら』からの帰り道、裕太はひな子の手をぎゅっと握り、しばらく深く見つめ合ってさえいた。それなのに彼は、「じゃあ、またね」と何事もなかったかのように微笑み、呆気なく去って行った。

数多の男たちを手玉にとってきた人生だが、裕太の独特で飄々とした空気感は、何故だかひな子のペースをひどく乱す。

ひな子は夜の銀座のど真ん中に取り残され、様々に入り混じった感情を抱えながら、しばらく身動きがとれずにいた。

【メニューによります】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo