東京・ホテルストーリー Vol.2

東京・ホテルストーリー:恋人に裏切られた夜。知らない男に、驚くほど無防備になった私

東京の女には、ホテルの数だけ物語がある。

「ホテル」という優雅な別世界での、非日常的な体験。それは、時に甘く、時にほろ苦く、女の人生を彩っていく。

そんな上質な大人の空間に魅了され続けた、ひとりの女性がいた。

彼女の名は、皐月(さつき)。

これは、東京の名だたるホテルを舞台に、1人の女の人生をリアルに描いたストーリー。

埼玉出身のごく普通の女子大生だった彼女の人生は、少しずつ東京色に染まっていく。


「誰にも引け目を感じることのない、上質な都会の女になりたい」

私はいつからか、こんな目標を強くかかげて生きてきたように思う。もちろん、心の中でだけ、こっそりと。

大学1年生のときに経験したアフタヌーンティーでの洗礼をはじめ、東京という街は、煌びやかな場所に近づこうとすればするほど、己の未熟さを思い知らされ、敗北感を味わうことだらけだ。

都心で過ごした学生時代の4年間で、私は多くのことを学んだ。

一流企業に勤める社会人の彼に恋をしたときは、心ときめくロマンチックなデートや豪華なプレゼントと引き換えに、愛する男に裏切られるという痛みを知った。

我が物顔で港区を闊歩し、芸能人や経営者と毎晩のように宴を繰り広げる女子大生のグループの仲間入りを果たしたときは、上限が果てしなく続くマウンティングの世界を目の当たりにし、途方に暮れた。

それでも、都会の魅力からは離れられない。

一体どうすれば、東京のど真ん中で、胸を張って立っていられるのか。

必要なのは、職業という肩書なのか、自慢できる恋人なのか、どう頑張っても手に入らない、家柄なのか。

答えが分からぬまま走り続け、私は社会人になった。

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