東洋経済・東京鉄道事情 Vol.58

これは乗りたい!日本初となる全席完全個室の夜行バスが熱い!

「ReBorn」の対象とする利用者層は、主に二つあるという。

一つは、今まで夜行バスを利用したことがない層。夜行バスは疲れるからと敬遠していた人には、一度乗ってみて、効率重視のビジネスに活用できることを体験してもらいたいという。

実際、筆者は「ReBorn」に乗った翌日に仕事をしたが、車内で熟睡できたことから、日中の仕事に支障を来すことはなかった。かつての「大垣夜行」とはずいぶん違うことを実感した。特に、座面の体に対するフィット感は素晴らしく、車内の静粛性とともに睡眠のために開発された車両であるということを再認識させられた。

もう一つの利用者層は、10代から20代にかけて、安いからと夜行バスを利用してきた層だ。この層は、20代後半から30代になると就職して懐に余裕が出てくる。夜行バスは使い慣れているものの、疲れるからと新幹線とホテルを組合せて使うようになり、WILLERの顧客層から離れていくパターンが少なくなかったという。その層に、新幹線とさほど価格は変わらないものの、ホテルへの宿泊が不要なうえ、新幹線最終列車の後に乗り込んで、翌朝一番から現地で活動できる効率の良さを思い出して欲しいという。

ビジネス客想定は「当たり」か

実際、「ReBorn」の予約は30代が多く、10-20代が中心の同社の主な顧客層からみると、より上の層が利用しているという。これこそ、かつて寝台急行「銀河」を利用していた層ではないか。一編成の列車で利益をあげられるほどの利用者数はなくとも、一台単位で運行ができるバスであれば、適正利潤を得つつ顧客層を掘り起こすことができるのではないか。

ちなみに、昨年登場させた新車「Luxia」は、やはり3列席だが高級シートをカーテンで仕切るタイプだ。24席でリクライニングは最大146度と、女性をターゲットにした比較的リーズナブルな価格で高級感をもたせた車両だった。

それから約半年で登場した「ReBorn」は、上記のとおりビジネス客を想定していて、実際に他車に比べて男性比率が高いという。筆者が試乗した際にも、男女比はほぼ半々だった。WILLERに乗ると女性が圧倒的で、男性は前方の座席に少しだけというケースがよくあるのに比べて、明らかに客層が違っていた。同社の戦略はたしかなようだ。

安さだけでなく、快適な設備によってビジネス客の利用にも応える効率的な移動手段となってきた夜行バス。今後の業界の発展が注目される。

(*高速バスを運行している「WILLER ALLIANCE株式会社」は、3月1日付で「WILLER株式会社」に社名変更するとともに、関連3社は6月1日付で「WILLER株式会社」に事業統合し、法人は解散することとなった。そこで、本文中では「WILLER」と表記している)

著者
伊藤 博康 :鉄道フォーラム代表

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