SPECIAL TALK Vol.30

~経営者はよそ見をせずに突き進むべき事業への想いの強さが結果に繋がる~

サービスで差別化を図り、大繁盛。評判のカレーで勝負に出る

金丸:喫茶店の経営は、うまくいったのですか?

宗次:最初は苦労しましたよ。名古屋といえば、ドリンク代だけでトーストや卵、サラダがつく「モーニング」が定番ですが、うちでは一切やりませんでしたから。「安さよりも真心のサービスをしよう」と接客に力を入れました。お客様に気持ちよく過ごしてもらうため店内の掃除は徹底してやりましたし、たとえばサンドイッチならマスタードの量、ウインナコーヒーなら砂糖の量をお客様に直接伺ってつくっていました。それを地道に続けていたら、3年後には繁盛店になっていたんです。

金丸:そこから「ココイチ」をはじめたのは、何がきっかけだったのですか?

宗次:さらに売上げを伸ばすために、出前をはじめたことですね。ご飯もののメニューがなかったので、何かないかなと考えたとき、すぐ思い浮かんだのが、妻が家でつくるカレーでした。缶詰でもレトルトでもない、妻がつくる皿カレー。あれが美味しかったので、みなさんにも食べてもらいたいと。それで出前をはじめたら、あっという間に人気メニューになってしまって。次にお店を出すときは、カレーの専門店にしようと心に決めました。

金丸:でもカレー一本に絞るというのは、かなり勇気が入りますよね。

宗次:確かにカレーだけというのは、不安でしたね。だから、当時流行りだした牛丼とカレーの店にしようかと思い、『C&G』という屋号まで考えたんですよ(笑)。名古屋には牛丼の専門店がなかったので東京まで行って、JR神田駅の高架下にあった牛丼のお店に入ったんですけど、ドアを開けると、おじさんたちがみんな丼を抱えて、一心不乱に食べている。その光景を見て、自分が描いていたイメージとはかなり違うなと。それで牛丼はやめました。

金丸:いまでこそ女性も利用していますが、当時は男性客しか入れない雰囲気でしたからね。

宗次:そのとき東京で有名なカレーのお店を10軒ぐらい食べ歩いたんですが、やっぱり自分たちのカレーが一番美味しい、と確信しまして。帰りの新幹線の中で〝カレーならココが一番や!〞という思いから、店名を『カレーハウスCoCo壱番屋』にしました。

一日に15時間働いた年も一心不乱に打ち込んだ社長時代

金丸:そうして1978年に、第1号店をオープンしたのですね。

宗次:29歳のときです。’82年には株式会社壱番屋を設立して、社長に就任したのですが、とにかく働きました。毎朝4時10分に起きて、4時55分に出社。お客様のアンケートに目を通すことから一日がはじまり、会議や店舗巡回などをして会社に戻ってくるのは、夜の遅い時間。休日もほとんどとらず、一日に平均すると15時間半働いていた年もありました。

金丸:まさに仕事一筋ですが、店舗巡回のときは、やはりどの店でもカレーを食べていたのですか?

宗次:もちろんです(笑)。店のカウンターに座って、小盛りのカレーを一日に4〜6皿食べていました。

金丸:イチローも真っ青ですね(笑)。

宗次:イチローさんもトレーニング中は、よく「ココイチ」に来てくれていました。バッティングセンターの目の前に店舗があったので。

金丸:社長時代には、20年連続で増収増益を達成されていますが、会社が成長していくなかで、大きな飛躍を感じたターニングポイントはありましたか?

宗次:それは、東京にはじめて進出したときですね。1987年に荻窪に出店したんですが、まだ60〜70店舗しかなかったのが、そこから一気に全国展開を加速させ、11年後の’98年には500店舗を達成しました。あとは、いまでは当たり前ですけど、メニューを文字だけから写真入りに切り替えたときの反響も凄かったですね。既存店の売上げが60ヵ月、つまり5年間ずっと2桁成長が続きました。特別なことは何もしていない。ただ実直に商売をしていただけでこうなるのだから、商売って面白いなあと思いました。

金丸:海外にも積極的に展開されていますよね。

宗次:1994年にハワイにはじめて進出し、いまではアメリカ西海岸、台湾、中国、韓国、タイ、シンガポールと、アジアを中心に約160店舗あります。

金丸:国によって、味を変えたりしているのですか?

宗次:基本的には変えていません。スパイスも日本と全く同じでどこでも美味しい。でも、現地の肉や野菜、水を使うので、微妙な違いが出てきます。中国、韓国、台湾などは日本よりも具材が多く、ハワイのビーフカレーは、大きい肉がゴロゴロ入っていて美味しいですよ(笑)。

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