東京の“今”を切り取る感度の高い人は、高級店の逸品はもちろん、大衆店のグルメも熟知している。
その感覚は腕時計においてもしかり。そこで、トレンドを牽引する一生モノの高級モデルと費用対効果抜群のモデルを一本ずつご紹介。
今回は大人の腕元に相応しい薄型エレガントウォッチを厳選した!
エレガンスと創意工夫が不可欠な〝薄型〟は、いま各社注力するトレンドです
時計界は今、薄型志向にある。1990年代末から見られた大きくて分厚い〝デカ厚〞時計の人気が落ち着き、あえて腕元を強調する必要がなくなったのも一因。〝デカ厚〞からのカウンターといっていいだろう。
実際のところは、何年も前から一部ウォッチメーカーが、高い技術を要する機械式時計の薄型化にしのぎを削っていたが、ここへ来てその土俵に上がるメーカーが増加。
クオーツウォッチに関しては、部品数が少ないためにそもそも薄く、それが大きな魅力でもあった。さらに精度や価格の面で機械式時計を圧倒、それは〝クオーツショック〞と呼ばれるほど’70年代の登場当時は画期的なものだった。
結果、廉価なクオーツウォッチが台頭。後押しをするように1983年、スイスメイドのカジュアルウォッチであるスウォッチがローンチし、世界を席巻。
十数年後の’97年に登場したケース厚3.9ミリの「スウォッチ スキン」は、ピタリと腕元に収まる新感覚で、クオーツ界に弾みをつけた。現代においても変わらぬ佇まいは、大人のハズし時計として申し分ないものとなっている。
一方で時計史に燦然と輝くのがピアジェの超薄型時計にして、今年で誕生60周年を迎える「ピアジェ アルティプラノ」だ。なかでも今作は、ケース厚3.65ミリは手巻き式世界最薄の一本。
搭載するキャリバー「900P」は驚きの作りで、普通なら背面となる面をダイヤルとし、輪列をスケルトナイズしてデザインに落とし込み、かつケースバックに地板の機能を持たせることで余分なパーツを省略したのだ。
類まれな独創的なルックスと、時計界最高峰の技術が詰まった超薄のエレガンスは、いわば星付きレストランの珠玉の一皿に等しい。これをトレンドと呼んでは失礼な気さえしてくる。
ともに4ミリに満たない薄さの中に秘められたストーリー。トレンドとともに時計界の歴史を味わってみるのも悪くない。
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