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  • 中目黒2017 Vol.1

    中目黒2017:パッと見はデキる女。男には「無理してる」ようにしか見えない?

    桜咲き誇る、春の中目黒。

    高架下再開発などもあり、2017年現在、東京で最もupdate感のある街。

    そこで出会った、自意識過剰に見えながらコンプレックスを抱えた26歳の女と、思ったことをズバズバ言う28歳の男。

    二人は、シェアハウスというひとつ屋根の下でぶつかり合いながら、互いに何かに気づいてゆく。


    雑誌にも載るような、華やかなプレスになるのが夢だった


    ―何のために仕事してるんだろう……。

    美奈は、火曜日20時の東急東横線に揺られながら、そんなことをぼんやり考えていた。



    群馬から上京して8年になる美奈。大学卒業後に就職したのは有名アパレル企業。六本木や銀座にも路面店を展開し、知名度は抜群の会社だ。雑誌にでてくるような華やかなプレスになるのが夢で就職活動を乗り越えた。

    昔から美人と言われてきた美奈。プレスこそ、自分の能力を一番発揮できると信じていた。

    だが、最初は販売の経験を積まされ、その後配属されたのは営業部。何度も広報部への異動願いを出したが、それが通ることはなかった。

    そこで、思い切って転職活動を始めた。それも、どうせ転職するならとダメもとで外資系のハイジュエリーに絞った。

    面接では、思った以上に手ごたえが感じられ、トントン拍子で2次面接に進んだ。そうして第一希望だった、銀座にオフィスを構える会社の広報部に内定が決まった。

    広報部といえばブランドの顔だ。雑誌の中で微笑んでいる自分の姿を想像しては、つい笑みがこぼれた。

    ―やっと、私にふさわしい、ピッタリのポジションにいける!

    入社日が待ち遠しくて仕方なかった。だが……。

    そんな張り切りは1日目にしてもろくも崩れ去ることとなった。

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