靴と東京と私 Vol.7

お受験戦争と共に勃発する女同士のマウンティング。どこにも属せぬ、妻の葛藤

いつの時代も、靴が女性を素敵な場所へと誘う。

どんな靴を履くのか。そこに女性の今後の人生に対する、強い意思が宿る。

2017年の東京を歩きゆく女たち。

彼女たちは、人生のパートナーとして、どのブランドの靴を選ぶのか。

靴と東京と私。靴なしでは、女の人生は語れない。


【フェラガモを履く女】

名前:真由美
年齢:34歳
職業:専業主婦
住まい:紀尾井町
好きな店:『No.4』『ル・ファヴォリ 紀尾井町』

お受験ママのマウンティング戦争


「真由美さん、今度ハワイへ行かれるんですって?ご宿泊はどちらなの?」

息子・潤のお受験のために3ヶ月前から塾通いを始めた。その塾のママ友である多加子から話しかけられ、嫌な予感がした。

「そうなんですよ〜。我が家はそんな大層な所には泊まれないのですが...」

「あら、やだわ。そんなことじゃ潤くんが可愛そうよ。やっぱりカハラかハレクラニ?それか最近できたリッツも良いらしくてよ。」

そうですか、と小声で頷きながら乾いた愛想笑いを浮かべてみる。

—また始まった...

ふぅ、と心の中で大きく溜息をつく。この塾は有名私学への合格率が非常に高い。しかしそれと同時に、通わせている母親たちが非常に強いことでも有名である。

「そう言えば、真由美さん見ました?鈴木さん、また新しい車に買い変えていて、しかもカイエンの最新型だったのよ...」

真由美にとって、人の車種などどうでも良い話だ。しかしこの狭い世界では、車を買い替えるだけで大ニュースになる。

そして必ず批判に曝される。

「本当、あの奥さん浪費家よね...常識知らずと言うか、何というか。」

“女三人寄ればかしましい”と言うが、多加子は一人で三人分喋っていた。

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