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  • いい女の条件 Vol.3

    いい女の条件:気になる同期の元カノは、憧れの先輩!?社内恋愛の思わぬ罠

    料理は、1時間もかからないうちに完成した。見た目は可愛く、でも 毎日食べたくなるような家庭的な味だ。

    「ハンバーグ嫌いな男の人っていないよね」

    葵が言うと他の受講者たちも同意し、場は一気に恋愛話で盛り上がる。

    確かにハンバーグは、剛も大好きだった。杏奈も何回か作ったことはあるが、生焼けだったり火を通し過ぎたり、うまくいったためしがない。それでも今日習った通りにやれば、美味しくできそうだ。


    ―剛に、作ってあげたいな…。

    イベントに行く前は光司のことが気になっていたのに、気づけばまた剛のことを思い出す。女とはゲンキンなものだ。でも、私が勝手に考えているだけだからまぁいいか…。



    できあがった料理を皆で食べ、葵が運転するG’s AQUAで帰路に着く。今日のイベントを通して、改めて葵との距離も近づいた。

    今日のイベントに誘ってくれた礼を述べ、楽しかったねという話で盛り上がる。

    「これで女子力、少しは上がったかな。バレンタインに久々に料理したら、パスタ茹で過ぎちゃってすごくまずくて」

    自虐的に言う杏奈に、葵はこう言った。

    「今日の杏奈、すごく楽しそうだったよ。こうやって色んな世界見て、肩の力抜いて楽しめばいいよ」
    「そうですよね…」

    毎日家と会社の往復で、失恋の傷さえ仕事で癒そうと思っていた。それでも気持ちの奥底はどこかどんよりしていて、晴れることはなかった。

    落ち込み気味の後輩を思いやって外に連れ出してくれる葵さんは、やっぱり私の憧れの先輩だ。

    「剛君と、やり直したい?」

    いたずらっ子のような笑顔で葵が聞いてきた。

    気になっていた彼からのLINE。知らぬ間に絡み合う2人の女心


    その質問と同時くらいに、一通のLINEが届く。「剛君?」そう言われ、まさか、と答えながらスマホの画面をタップする。そのLINEは、剛ではなく光司からだった。

    ―来週の水曜、ヒマ?今日から出張なんだけど、忙しくてロクなもの食べられなさそう…。ご飯付き合ってくれない?

    そのLINEに気を取られていると、運転していた葵は真っ直ぐ前を見ながらぽつりと言った。

    「私も、やり直したいな」

    光司のLINEに慌てて“空いてるよ”と返し、葵の話に耳を傾ける。葵の珍しく感傷的な口調に、杏奈は「誰と付き合っていたんですか?」と聞いた。すると、葵の口からは、意外な名前がでた。

    「実はね、社内なの。しかも2個下、杏奈の同期」
    「え…!?」

    まさか、と心臓がどくりと鳴る。

    「光司君。石油事業部にいる、彼。知ってるよね?付き合ってたのは、1年くらいかな」

    葵のその言葉に、思わずスマホをぎゅっと握りしめる。

    同期会の帰り道、光司が言っていた「忘れられない人」、それは間違いなく葵のことだ。

    杏奈は、呆然とした。


    ▶︎NEXT:3.10金曜更新
    ついに最終回!女性としての輝きを取り戻しつつある杏奈。彼女が選ぶのは、光司?それとも剛?

    杏奈も体験した、葉山の料理教室イベントの詳細は こちら

    本当の“いい女”を目指す、杏奈のInstagramは こちら

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