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  • いい女の条件 Vol.2

    いい女の条件:同期会の帰り道。「もっと甘えたらいいのに…」の一言に、揺れる想い

    「お前見てると、何か疲れる」

    30歳のバレンタイン、結婚を考えていた彼から言われた一言だった。

    丸の内にある大手商社で総合職として勤める杏奈は、仕事に邁進するあまり彼とのすれ違いが続いてしまう。

    整ったルックスと冷静沈着で隙を見せない仕事ぶりに、いつも「いい女」と言われる杏奈だが、失恋を機にふと立ち止まる。

    ―本当の「いい女」って…?

    杏奈は、バレンタインデーに8年付き合った彼・剛にフラれてしまう。失恋の傷を癒そうと同期会に出席すると、思いもよらぬことが…?


    久しぶりの同期会。盛り上げ隊長・光司が見せた優しさ


    杏奈は剛と別れた後、少しでもリフレッシュしようと会社の同期会に参加。二次会のカラオケも久しぶりだった。

    いつも率先して場を盛り上げてくれるのは、大阪出身の光司だった。トップバッターで三代目J Soul Brothersの『R.Y.U.S.E.I.』を ノリノリで歌っている。

    光司は、相変わらず歌がうまい。少し酔いの回った状態で聞く男の美声は、何とも心地良かった。

    遊び慣れている光司は、プライベートだったら絶対仲良くなっていないタイプだ。皆で騒ぐのは嫌いではなかったが、杏奈は大人数のカラオケで中心になって歌うキャラじゃない。元彼の剛も端っこの方で静かにしているタイプだった。


    「杏奈、歌わないの?」


    『R.Y.U.S.E.I.』を歌い終わった光司が、デンモクを持ってやって来た。光司とはもう長い付き合いだ。杏奈が率先して歌わないことは知っている。それでもこうやって端っこの方で座っていると、いつも声をかけてくれるのだ。


    「今日は歌っちゃおうかな」


    そう言って立ち上がり、テイラー・スウィフトの『We Are Never Ever Getting Back Together』を入れる。「杏奈いいぞー!」と、同期の野次が飛び、光司は目をぱちくりさせていた。

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