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  • 目黒女子、27歳 Vol.1

    目黒女子、27歳:尽くす恋はもう、おしまい。これからは自分の手で幸せを掴む

    妹の結婚、オフィスの移転。結衣の家探しは、一体どうなる?


    大学は地元の逗子から東海道線で通っていたし、社会人になってからはマリがすぐに転がり込んできたので、結衣には一人暮らしの経験がない。

    ―三軒茶屋は住みやすいし、このまま近くで一人用のマンションを探そうかな…。

    そう思っていた矢先、新たなニュースが飛び込んできた。新卒から丸4年、PRとして働いている会社のオフィスの移転だ。事業拡大のため、今ある表参道から品川へ移るらしい。噂には聞いていたが、決定事項として社内の回覧文書で知らされたとき、結衣はがっかりした。

    表参道のオフィスは少し古いが、周辺の街並みが大好きだった。朝の品川は混雑してそうで、通勤を考えると今から少し思いやられる。

    ―重なるときは、重なるなぁ…。

    今日は三軒茶屋の不動産屋さんのところに行こうと思っていたが、ひとまず家に帰り、自分で探し直すことにした。


    家に着き、パソコンの検索サイトで品川から20分以内の賃貸物件を早速調べ始めた。品川だと選択肢は広い。JRに京急線、モノレールだって通っている。

    「お姉ちゃん、どこら辺に住むの?」

    風呂上がりのマリが聞いてきた。マリは女子大を出た後、大手生命保険会社で役員秘書をしている。普段は定時帰りで遊びまわっているが、最近は大人しく家にいるようだ。

    「仕事忙しいし、品川付近がいいかなって。」
    「本当、仕事人間だね。」

    マリの言葉を無視し、黙々と検索を続けた。そう言えば、マリたちの新居はどこになるのだろう。

    「マリたちはどこに住むの?」
    「白金台。渉君の住んでいるマンションに、そのまま転がり込むの」

    婚約相手の「渉君」は、大手商社勤務だ。海外赴任も近いらしく、ひとまず彼のマンションで新生活をスタートするらしい。

    「白金台ねぇ…。」

    ネットの路線図を見ながら、溜息をついた。白金台での新婚生活、商社マンの夫、海外赴任。かたやこちらはネットで一人寂しく家探しだ。

    ―せめていい家が見つかりますように。

    そう願いながら、いくつかの物件を候補にあげ、不動産屋にメールを送った。

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