無難戦隊MARCHマン Vol.1

無難戦隊MARCHマン: 東大卒の上司が斬る!MARCHマン、大学別の傾向とは?

自己紹介後の挨拶で分かる、MARCH5人の特色


挨拶が一通り済んだあと、東出はデスクに座り、部下となるMARCH卒の5人の男たちを見回した。

人によっては、「MARCHだって高学歴だ。それで充分」と言うかもしれない。

しかし、この第一営業部の5人に限って、それはなさそうだ。どこか悲壮感が漂っている。「キャリアナビ」は急成長を遂げている人気ベンチャー企業だが、5人とも第一志望の企業に落ちてここに来た、と小日向から聞いている。

東出にとって、MARCH卒の部下というのは非常に有難かった。所詮、皆一つの“駒”なのだ。東大や早慶のやつらだったら、無駄なプライドがあるので衝突することもあるが、MARCH卒の男たちにそれはない。組織の一兵卒として、非常に扱いやすい人材だ。

「東出部長、今日からお願いします。」

デスクに戻った東出に、真っ先に声をかけてきたのは明治大卒の福田蒼汰だった。最近、明治はMARCHの中でも人気が高く、優秀な人材も多いと聞く。

かつては体育会系のバンカラな雰囲気で、早稲田に憧れたが行けなかった学生が集うイメージだったが、そんな時代はとっくに終わっている。

この福田蒼汰を見れば、一目瞭然だ。


スーツをびしっと着こなし、爽やかな笑顔で早速上司の懐に入りこもうとしている。垂れ目で少し八重歯の見える口元には愛嬌があり、スマートな印象で女性にもモテそうだ。

東出は福田蒼汰と軽く雑談を交わしながら、他の4人を見渡した。

青学出身の男は、少しニヒルな笑顔を浮かべ、遠目から頭を下げた。

立教出身の男は、周囲の様子を窺いながら、福田蒼汰に続き、おずおずと挨拶に来た。

中央出身の男は、その様子に気付いているのかいないのか、淡々と仕事をこなしている。

法政出身の男は、皆が挨拶に来る様子を見て、慌ててやってきた。体育会出身なのか、「うっす!」と言い、直角の90度でお辞儀してきた。

―これは、なかなか面白いかもな。自己紹介だけでも、こんなに特徴が出るとは…。

東出はデスクで、部下である5人の履歴書を改めて読み返すことにした。

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