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  • 嫉妬を買う女 Vol.2

    嫉妬を買う女:嫉妬こそ女の妙薬。何かを差し出してでも嫉妬を買うのが、一流の女

    「菜々香、どうしよう!イケメンから食事に誘われた」

    困った時の菜々香だ。華子は早速彼女を恵比寿の『エカオ』に呼び出し、伊原の事を相談した。

    「だから言ったでしょ?華子はもともと美人なんだから、ちょっと綺麗にすると男たちが寄ってくるのも当たり前よ」
    「どうしよう。でもこれって別にデートじゃないよね?業務内容の意見交換だよね?」
    「やだー何言ってるのよ。そんなの口実で、デートに決まってるじゃない」
    「デート?どうしよう。着てく服がない!」

    華子が身を乗り出して言うと、菜々香は笑いながら言った。

    「だからこの前教えたこのサイトで買いなよ」


    そう言って、華子に突き付けられたスマホに表示されているのは『NOREN NOREN』。華子も、菜々香に教えてもらって以来、雑誌をめくるような感覚で、移動中の電車でも見るようになったサイトだ。

    「で、レストランはどこに行くの?」

    菜々香に聞かれて、西麻布の『サッカパウ』と告げると、彼女は言った。

    「わお、西麻布で人気のレストランじゃない。それはもう完全にデートだよ」

    菜々香は楽しそうに驚くと、華子に顔を近づけさらに続けた。

    「じゃあ、『FOGAL』のストッキングだね。ほど良い透明感があって、脚に陰影をつけてくれるから、華子の美脚をより引き立ててくれるよ」
    「別に美脚じゃないけど……」

    そう言いながらも、結局華子は菜々香の言う通り、ストッキングを買うことに決めた。

    カラーバリエーションが多く、何色にするか散々悩んだ末に選んだのは、濃いベージュに近い「taupe」。他にはないニュアンスの色が、上品で気に入ったのだ。



    伊原とのデートが迫ったある日、会社でショックな出来事が起こった。

    「最近の華子ちゃん、ちょっと調子に乗ってるよね」

    広報部の同僚が、そう言っているのを聞いてしまったのだ。華子がお手洗いの個室に入っていると、彼女たちはヒソヒソと声をひそめていたものの、華子は確実に聞いてしまった。どうやら伊原からデートに誘われた事が原因らしい。

    女からの嫉妬。これほど避けて通りたいものはない。

    これまでADをしていた華子にとって、女からの嫉妬なんて無縁だった。いつも同じような地味な服を着て、ノーメイクで走り回る華子に嫉妬する女なんていなかった。

    だから、初めて経験する女からの嫉妬と陰口に、華子は動揺していた。

    伊勢丹_PC2

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