圧倒的な革新性!今年東京の中華に革命を起こした劇場型カウンターを堪能しよう

本年度の新店から真に行くべき価値のあるお店を決定する、年に一度の東カレの祭典「レストラン・オブ・ザ・イヤー」。

なんの責任もない素人たちが口コミで評価し、レストランの可否をけっしてしまう昨今。この「レストラン・オブ・ザ・イヤー」は、15年間取材を重ねてきた我々プロの目を通して本年度の新店のなかから、真に行くべき価値のあるお店のみを紹介する。

『レストラン・オブ・ザ・イヤー』準グランプリは、『虎峰』(六本木/中華)

劇場型カウンターから供される“ムニュ・デギュスタシオン”(少量多皿料理)。ここ『虎峰』の斬新さはまさにそこにある。大皿中華から少人数対応の中華料理店が増え始めて久しいが、これほどまでの少量多皿コースに挑戦した店は、恐らく同店が初めてだろう。

中華料理をベースとしながらも、和食器を用い、盛りつけはフレンチとグローバルな感覚も賞賛したい。

右上“牡蠣の宮保ソース”香りがよく、爽やかな辛味のある朝天唐辛子を使った四川風の一皿。

右下“ 水タコと青パパイヤの柚子ソース”。中上“牛肉とマコモ茸の炒めもの”A-5 の黒毛和牛のイチボを使用。

左上“フォアグラ ザクロ 老酒風味”。

左下“ヒラメのソテーきのこの上湯ソース”ホワイトマッシユルームのデュクセルを上湯と合わせた一品

劇場型カウンターから供される
ちいさくとも本格的な中華料理

大皿大衆中華からデート仕様のヌーベルシノワ、そしてカウンター中心の気軽なバルスタイルと、さまざまに変化を遂げてきた〝東京チャイニーズ〞。その、最も旬なスタイルが、〝ムニュ・デギュスタシオン〞。この少量多皿構成のコースで、高感度な美食家達の心を揺さぶり続けているのがここ『虎峰』。この4月、六本木の路地裏にオープンした話題の新星だ。

広々としたカウンター席からは、中華ならではの迫力ある調理シーンが楽しめる


さっと湯がいた水タコは青パパイヤと合わせて柚子ソースで。老酒の風味が漂うねっとりと濃厚なフォアグラが、ひと口サイズで登場したかと思えば、四川料理の代表的な調理法“宮保”で仕立てた牡蠣の小皿が目の前に運ばれる。

餃子に叉焼、そして季節の味を忍ばせた春巻など街場中華の王道メニューもあれば、〆には豪華なフカヒレの土鍋煮やリゾットが掉尾を飾る等々。変化に富んだ料理の数々がなんと22〜25皿余り。鮨屋のつまみさながらに、小皿料理で次々とテーブルを賑わせていくおまかせコースは、恐らく中華では初めての試みではなかろうか。

メニューは「シェフのおまかせコース」のみ。¥14,040。オープンキッチンのカウンターは全てがシェフステーブルだ。写真は、手前が“フカヒレの土鍋煮”。残った白湯でリゾットも作ってくれる。奥は、裏メニューの”麻婆豆腐”

「オープンにあたって試作を重ねているうちに、出したい料理が次々と増えてしまって……。こういう形になったんです。僕自身、料理を作るのが大好きで。色々召し上がって頂きたいし、何よりお客様に喜んで貰いたいですからね」そう力強く語るのは、料理長の山本雅さん。

弱冠32歳とはいえ、あのミシュランの一ツ星中華『マサズ・キッチン』では、スーシェフを務めた経験の持ち主だ。修業先で学んだ、〝余計な手間をかけることなく、シンプルに素材の味を引き出す〞を、常に念頭に置きながらも、これは良しと思えば、フレンチや和食の技法もどんどん取り入れる。

その柔軟な考え方は、ガストロ・バック(減圧調理器)やパコジェット(冷凍粉砕調理機)など、最先端の機器を積極的に取りいれる姿勢からも伺えよう。中華料理に基軸を置きつつも、独自のスタンスを探求している。

ガストロバック。器内を低圧状態にするため、沸点が下がり、低温で旨味を逃さずしっとりと火が入る。棒棒鶏の胸肉や鮑に使っているそうだ


また、注目すべきはドリンクペアリングだ。 シャンパンから始まり、牡蠣の料理には全国から厳選した日本酒、餃子や春巻には青島ビールをひと口と、多彩な料理に合わせて、お酒も自由自在に提案してくれる。ワインから紹興酒までバリエーションも実に幅広い。

ペアリング¥8,000に登場するお酒は、約10種類。ワインからシェリー、ビール、日本酒と多種多彩だ。4種の水のペアリングもある


目の前で料理が作られていくシズル感、それでいてレストランの如く黒服のソムリエがサービスする、この一見ミスマッチな要素が巧みに交錯する独特の雰囲気もまた、『虎峰』の魅力のひとつと言えるだろう。

子供の頃から料理が好きだった山本 雅シェフ、TV番組の『料理の鉄人』 で、炎を操る中華のダイナミックさに憧れて中華料理の道を選んだとか

2016年度「レストラン・オブ・ザ・イヤー」、見事準グランプリに輝いた『虎峰』。あくなき進化を続ける東京の食を、貴方の五感で思いっきり楽しんでいただきたい。


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