マリッジブルー、29歳 Vol.1

マリッジブルー、29歳:証券会社美人秘書が「あみだくじ」で結婚相手を決めようとした理由

結婚願望がない男に振り回された20代


裕太の前に付き合っていた彼の名前は信二、36歳。リテール営業の中でトップクラスの成績で、抜群に仕事ができる人だった。

仕事ができる男というのは総じて「雄」としてのエネルギーが溢れていて、吸い寄せられるように恋に落ちた。


彼は何度となく「好きだ」「愛してる」と言ってくれたが、付き合う前から「誰とも結婚する気はない」と告げられていた。

「結婚願望はないけれど、純粋に聡子のことが好きなんだ。」

私が少しでも結婚をほのめかすと、彼はそう牽制した。その度にがっかりしたが、こんなに好きだと言ってくれるのだから気が変わるかもしれない、とずるずると関係を続けていた。

また、こんなこともよく言っていた。

「聡子に好きな人ができたら、すぐに引き下がるよ。」

甘い囁きの後、それと同じ重さでこんな残酷なことを言い放つ。

彼から離れようとすると、先回りするかのように甘いアメを与えられ、近づこうとするとぴしゃりとドアを閉められる。

そんな関係が3年目を迎えたある日、彼は私の誕生日に銀座の『うかい亭』を予約してくれた。

食事をしている最中、いつもはオフにしているはずのプライベート用の携帯が鳴った。彼は「ごめん」と言いながら電話に出た。

「うん、うん…。」

ドアに近づきながら、ひたすら相槌を打つ彼。相手が一瞬電話を離れたと思われるとき、私の元へ来て「愛してるよ」と囁き、またすぐに電話に戻った。電話の相手は「会社の子」と言っていたが、恐らく別にいた彼女だったのだろう。

気持ちが凍りついていくのを感じた。

大学生のような5歳年下の男。猛アプローチの末、ついに…?


そのときちょうどアプローチを受けていたのが、5歳下の裕太だった。新入社員として入って来た彼は、まだ学生の雰囲気が抜けきれないような可愛い男の子で、恋愛対象ですらなかった。

しかし、彼は私に一目惚れしたようで、猛アプローチを受けた。食事の誘いを何度断っても、めげずにまた連絡を寄越してくる。

『うかい亭』からの帰り、裕太からのLINEが入っていて、その日初めて裕太の誘いに「Yes」の返事をした。

その後裕太と何度か会い、告白された。「30歳までに結婚したい」と思っていた私は、彼と付き合うことにした。

信二に別れを告げると「約束通り引き下がる」と、あっさり関係が終わった。

裕太との付き合いは順調で、交際1年でプロポーズされた。裕太は若いがしっかりしたタイプで、「30歳までに結婚したい」という私の話を覚えていてくれたのだろう。

この記事へのコメント

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No Name
取り敢えず、信二からプレゼントされた時計は早く捨てた方がいいね⌚ 裕太とお幸せに。
2020/12/09 10:352

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