東洋経済・東京鉄道事情 Vol.32

新幹線出張は「シウマイ弁当一択」な貴方に捧ぐ、紐かけ式と被せ式の蓋が違う謎

昔ながらのシウマイ2個、特製シウマイ1個、横浜月餅とパインキューブを試食

さて、見学途中で弁当の梱包についても説明を受けた。ひもかけスタイルは、ひもの片方を引っ張るだけで、するりと全部取れる。結ぶには、どうやら結構な技術が要るようだ。私もいろいろ試してみたが、未だにどうやって結ばれているのかわからない。

お弁当は、ご飯の部分以外はほぼ手作業で詰められている。シウマイ自体はここ横浜工場で全て製造されているが、ここから運ばれたシウマイで作られるシウマイ弁当は、横浜駅地下にある本社工場と、東京工場の2カ所で製造される。

そして、本社工場で作られるものは「ひもかけスタイル」、東京工場では「かぶせフタ」方式が採用されているとのこと。つまり、本社工場から配達されている店舗(主に神奈川県全域)ではひもかけタイプが、東京工場から配達されている店舗(東京とその他の地域)は、かぶせフタタイプが販売されているのだ(一部を除く)。ローカルブランドとして地元を大切にする心が、そうした違いを生むのであろう。

早い人では1時間に300個もひもかけするそうだが、なかなかそうした技術を身につけるにも時間がかかる。繁忙期には社員総出でひもかけ作業をすることもあるとか。ちなみに社員は入社してまず、このひもかけの方法を学ぶそう。やはりかぶせフタの方が製造する効率は良いようだ。

もちろん中身自体は同じだし、味も食べ比べてみたが全く同じだった。しかしなんとなくひもかけタイプの方が美味しそうに見えるのは不思議である。

――結婚式でシウマイカットも…

ショップ内のボックスシートは3つ。テーブルは当時の再現のためか小さい

一通り見学が終わった後は、ホールに戻っていよいよ試食。冷めても美味しいシウマイだが、出来立てもやはり美味しかった。しかも出来立てが食べられるのはここだけ。ちなみに「ひょうちゃん」の醤油入れは持ち帰ることができる。そしてこの工場見学、ここまで全部無料なのだ。人気があるのも頷ける。

工場見学を終えた後、再び1階に戻り、プチミュージアムショップに入ってみた。店内奥にはボックスシートがあり、店内でも出来立てのシウマイなどが工場直販の値段で食べられる。窓にはタッチパネルの画面がはめこまれていて、崎陽軒クイズや昔の写真など、いろいろな画像が出てくる工夫がなされていた。ここは予約なしでも入ることができる。

ところで、横浜の崎陽軒本店では結婚式もあげることができる。ここで結婚式をあげると、ケーキカットならぬ「ジャンボシウマイカット」のサービスがあるとのこと。切ると中から小さいシウマイがコロコロと出てくるらしい。そして当日の箸置きとして、オリジナルの「ひょうちゃん」も作れるらしい。なんだか楽しげだ。万が一、横浜の人と結婚することがあればここで結婚式をあげるのもいいかもしれない、とふと思った。

著者
YASCORN(やすこーん):漫画家

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