SPECIAL TALK Vol.17

~食料、エネルギー、環境……。すべての問題をミドリムシが解決する~

金丸恭文氏 フューチャーアーキテクト代表取締役会長CEO

大阪府生まれ、鹿児島県育ち。神戸大学工学部卒業。1989年起業、代表取締役就任。産業競争力会議議員、規制改革会議委員、内閣官房IT本部 本部員、経済同友会副代表幹事、NIRA代表理事を務める。

2020年までにジェット機とエビの事業を成功させる

金丸:創業から10年が経ちますが、以前よりもミドリムシやユーグレナという名前を目にする機会が多くなったと感じています。いま事業としては、どのようなことをされているのですか?

出雲:ヘルスケア領域をはじめ、エネルギーや環境問題など幅広い事業を展開しています。

金丸:私も健康には気をつけているので、栄養素としてのミドリムシに非常に興味があります。

出雲:ミドリムシには59種類の栄養素が入っています。野菜に含まれるビタミンやミネラル、魚に含まれるDHAやEPAといった不飽和脂肪酸なども入っているので、不足しがちな栄養を一気に補うことができます。まさに未来の食材なんです。

金丸:そんなに栄養があるとはすごいですね。エネルギー領域では、どのようなことをお考えですか?

出雲:ジェット機を飛ばそうと計画しています。

金丸:ミドリムシから油もとれるのですか? しかもジェット機向けの?

出雲:そうなんですよ。ミドリムシに超音波を当てると、破れて油が出てきます。ミドリムシの油は非常に軽質なので、サトウキビやトウモロコシなどの作物やほかの微細藻類よりも、ジェット機の燃料に向いているんです。

金丸:近い将来、ミドリムシで空を飛ぶ日が来るのですね。

出雲:一日も早く実現させたいですね。実現したらぜひ乗ってください。ミドリムシフライト!

金丸:下から見てます。

出雲:いやいや、大丈夫です。私も一緒に乗りますから(笑)。もうひとつ力を入れているのは、エビの養殖です。食料自給率が低い国の課題のひとつは、家畜や養魚のエサとなる「飼料」なんですよ。なかでも一番困っているのが魚。魚は地上で育つ大豆のカスをあげても見向きもしません。彼らは案外グルメなんですね。そこで注目されているのが、ミドリムシ。魚の食いつきがよく栄養価も抜群なので、ミドリムシをエサにして育ったエビは元気になるとふんでいます。実は最近、エビの養殖販売会社を買収したのですが、今後はミドリムシからバイオ燃料を取り出し、残った部分をエビのエサとして活用していきたいと考えています。2020年までには、このバイオ燃料とエビの養殖事業を成功させたいですね。

金丸:出雲社長を見ていると、いよいよ日本にも理系出身の社長によるベンチャーの時代が来たな、と思います。アメリカだとベンチャー企業の大半が理系出身者ですが、日本は文系のビジネスモデル型のベンチャーがまだまだ多い。でも理系出身者であれば、自分でビジネスモデルをつくり、自分でプログラムも書くことができます。日本は農業やバイオの分野に発展の余地が大いにあると感じていますし、世界はどの分野でも日本のクオリティを求めています。ぜひ出雲社長に、その先陣を切っていただきたいですね。

出雲:光栄なお言葉、ありがとうございます。

金丸:こちらこそありがとうございました。

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