SPECIAL TALK Vol.5

~囲碁の盤面には経営の縮図がある。リーダーを目指す方こそ、挑戦して欲しい~

自分の進む道との出会いは5歳。小学校時代は囲碁に没頭

金丸:最初に囲碁を始めたのは、お姉様だったのでしょうか?

万波:そうです。姉とは2歳違いなのですが、姉も私も5歳のときに囲碁を始めました。

金丸:それはすごい。5歳といったら、ほかに女の子らしい遊びがたくさんあるのではないですか?

万波:リカちゃん人形とか、バレエとかですよね……。やっぱり小学校に入って同級生がピアノや女の子らしい習い事をしているのを見ると、はじめはすごく羨ましかったです。

金丸:その頃は、どのような生活を送っていたのですか?

万波:小学校から帰ってきて部屋にランドセルを置いた後は、すべてスケジュールが決まっていました。

金丸:それは囲碁の勉強ですか?

万波:はい。週に2回、囲碁教室に通って、あとは家で囲碁の勉強をしていました。

金丸:5歳から陣地取りをやっていたとは……本当に驚きます。

万波:その頃から緻密な計算をしていましたね(笑)。

金丸:放課後のカリキュラムは、誰が考えたのでしょうか?

万波:母です。とにかくスパルタな母親だったので……。母自身は囲碁のルールも知らないのにとても熱心で、たとえば、詰碁(※)とかも本だとわかりづらいので、見やすいように拡大コピーして渡してくれていました。

金丸:当時、万波さんは囲碁をやること自体は楽しかったのですか?

万波:囲碁が楽しいというよりも、囲碁教室にいる友達に会いに行くのが楽しいと思っていました。それに、みんなで食べる おやつの時間も楽しみにしていましたね。

金丸:非常に興味深いのは、お母様はなぜ、普通の勉強ではなく囲碁の勉強をさせたか、ということです。

万波:両親は学校の勉強をしろ、というよりも、手に職をつけろというタイプで、最低限、学校の宿題さえやっていればいいという考え方だったようです。

金丸:エピソードを聞いていると、お母様の話が非常に印象的ですね。

万波:そうですね(笑)。以前、テレビの取材を受けた際にも、あまりに私と姉の会話に母が出てくるので、母がテレビ局に取材をされたことがありました。

金丸:名物ママなんですね(笑)。ぜひ、直接、なぜ囲碁をお選びになったのか? というお話を伺ってみたいものです。しかし、それだけ囲碁中心の生活をしていると、当然強くなっていくわけですよね。

万波:子ども向けの囲碁大会がたくさんあって、3年生ぐらいから入賞したり、ベスト16に入ったりするようになりました。翌年にはベスト8になったりと、どんどん自分が強くなっていくのが感じられて、のめり込んでいきました。

金丸:囲碁を始めた頃は負けることが多いと思います。勝つ喜びを知るというのは、少し時間が経ってからではないでしょうか。当時の自分を振り返ってみて、勝つ喜びと、負ける悔しさというのは、どちらが大きかったのですか?

万波:子どもの頃は、勝ったときの記憶はほとんどありません。負けて大泣きした記憶ばかりです。

金丸:毎回、大泣きしていたのですか(笑)。

万波:はい。教室中に響き渡るような大声で、ウワーッと大泣きしていました。あまりにも大きな声なので、違うフロアにいる姉が駆けつけてきて、いつもなだめてくれました。

金丸:周囲の(囲碁の)お友達で、同じように負けて大泣きする人はいましたか?

万波:いや、あまりいませんでしたね。

金丸:きっと、万波さんは小さい頃からたくさん悔しい思いをしたからこそ、強くなられたんでしょうね。

万波:やはり、勝負の世界は、負けず嫌いの方が強くなると思います。悔しさから、相手のことを研究しますからね。

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