夏に食べるべき寿司講座:今こそ旨い、必食の寿司ダネとは?

寿司を握りながら、カウンター越しに色々と話してくれる戸川氏。江戸前について知らなくても、丁寧に解説してもらえるのがうれしい。

“鮮度のよさ=美味しさ”に留まらない、江戸前寿司の技

さて、一般的にネタの新鮮さが求められる寿司だが、そうなったのは冷蔵庫が世に普及した、ここ数十年ほどのことだとご存じだろうか。

高度経済成長以前、冷蔵庫も、ましてや氷もない時代は、鮮魚は熟成させることで寿司として提供されていた。それこそが本当の江戸前寿司である。

ここ『鮨 からく』では、戸川氏が長年追及してきた江戸前の技を駆使し、ほとんどすべてのネタに熟成のための仕事が施されている。塩や酢で締めたり、醤油に漬けることで保存性と味を高める技は、昔の日本人の知恵そのもの。

戸川氏が江戸前寿司を目指したのも、そこに新鮮さとおもしろさを感じたからだそうだ。

醤油や酒、みりん、出汁などで作る汁にマグロを漬け込む“漬け”は代表的な江戸前の1品。独特のねっとりした食感と豊かな風味は、熟成のなせる技。

「昔はよく、こんな黒いマグロ出したらだめだって怒られていましたよ」と笑う戸川氏だが、近年では自身の功績もあり、次第に江戸前寿司の知名度も上がってきた。

しかし常連客の世代替わりもあり、若い客層にももっと江戸前寿司を知ってもらいたいと、現在は毎週土曜日に「銀座江戸前寿司研究会」なる会を開く。

ワインの充実ぶりも必見。一般的に寿司には白ワインが合うと思われがちだが、醤油やみりん、出汁を多用する江戸前寿司は赤いワインとも相性がいい。

最近打ち出しているのは、江戸前寿司とワインのマリアージュ。「たとえば、新子にはすっきりとしたシャンパン。穴子だったら赤ワインが合いますね。カベルネソーヴィニヨンのような複雑味のあるタイプは、煮汁の甘さや香ばしさを引き立てますよ」。

夏が旬の寿司、キリッと冷やした日本酒もいいが、ワインを合わせた変化球もまた心躍るもの。

蒸し暑さも吹き飛ぶ、至福の時間を過ごしてみてはいかが? もう食べたくてたまらなくなってきたでしょ?

※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。

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