男の到達点『メガヨット』 Vol.7

船上パーティーからこんなベッドルームに移動して愛を語らう、男の到達点『メガヨット』

curated by
ナイジェル・ビーティー

そしてこのヨットの大きな特徴の一つが、両サイドにあるウイングステーションだ。湾曲した美しいラインが外観にアクセントを加え、機能性とデザイン、ラインの美しさを融合させている。

「ムーンサンド」のデザインは空間の使い方も非常に巧い。広大な後方デッキに、ゆったりと座れるメインデッキとブリッジデッキ。空間を最大限に活かすために、階段は右舷ぎりぎりのところに配置されている。

風よけだけではなくプライバシーも守ってくれるスタイリッシュなガラス製のウインドスクリーンは、ファミリーのためのヨットを希望するオーナーにとって重要な要素の一つだ。

インテリアデザインもかなり印象的だ。オーナーのスイートは書斎だけでなく、広大なステートルームに2つのバスルームとこれまた2つのウォークインドレッシングルームがついている。

6名のゲストが3室のゲストスイートに宿まることができ、そのうち2室はシングルステートルームと座席エリアに変えることも可能だ。そして前方には、ビームいっぱいにとられたVIPステートルームがある。

サンデッキも非常に広く作られている。青空の下、朝食を楽しんだり、エンターテイメントゾーンに変えることもできる。

また、他のメガヨットだとガレージに格納されているテンダーが、このヨットの場合、サンデッキに置かれている。

これによって、メインデッキ後方プールの床を上げ下げすることでプールの深さを自在に変えることができるのだ。子供用プールとして水深を浅くしたり、「コントラフロー・システム」を導入してスイムトレーニングを行うこともできる。

そういえばまだエンジニアリングやクルーエリア、ギャレー、ブリッジのことを話していない。クルーの業務スペースに休養スペース。スタビライザーやバウスラスター、燃料に関することもまだ話していない。

だがこれらに関しては、話をする必要がないのだ。クルーが世界中を航海するオーナーやゲストに最高のものをお届けできるよう、デザインやエンジニアリングなどすべてにおいて完璧に作られている最高傑作というのがフェドシップなのだ。

「ムーンサンド」はそこらへんにあるヨットとは違う。これはフェドシップが作り上げた一つの芸術品だ。フェドシップはただ単に設計して建造するビルダーとは違う。オーナーの心を真に理解し、その心をデザイン、建造、エンジニアリングに埋め込み、最高のヨットを作り上げる。

オーナーにとってはどんなに小さくても重要なディテールを見逃すことなく、フェドシップはしっかりとヨットを作り上げる。最高のヨットを作り上げる鍵は、目に見えるものだけではなく、目には見えないオーナーの「心」であることをフェドシップは十分に理解しているのだ。

スペック

全長:44.20 m / 145' 0"
全幅:9.10 m / 29' 10"
喫水:2.75 m / 9' 0"
構造:Steel hull / Aluminium superstructure
エンジン:2 × CATERPILLAR C32B
出力:2 × 1,200 HP(896 kW)
スピード:Max 15 kt
燃料容量:44,062 L
清水容量:13,710 L
アコモデーション:4 Staterooms, 8 Guests
クルー:8
テンダー:Main tender 6.2m, Rescue tender, Jet bike
ナーバルアーキテクト:Feadship De Voogt Naval Architects
エクステリア:Feadship De Voogt Design
インテリア:Bannenberg & Rowell Design

■プロフィール
ナイジェル・ビーティー:1969年、英国ベッドフォード生まれ。これまでにメガヨットのキャプテンとして、米国東海岸、バハマ、タークス・アンド・ケイコス、カリブ海、日本、中南米、地中海、インド洋、ペルシャ湾を航海し、航海経歴は30万海里以上におよぶ。現在、ヨットセールス、チャーター、コンサルティング、マリンパーツ販売を手がけるスーパーヨット・ロジスティックス(SYL)を日本人妻と運営。

今回ご紹介したメガヨットは、「Perfect BOAT」2016年7月号に掲載されています。

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