男の到達点『メガヨット』 Vol.6

男の到達点『メガヨット』:ここで口説かれたら逃げようの無い究極ヨットが登場

curated by
ナイジェル・ビーティー

下部デッキにはゲスト用ジム。ダークな色使いの石やスムーズでフラットな岩やガラスに木の表面を使い、独特の雰囲気を醸し出している。冷水プールにスチームシャワー、サウナにマッサージ室もあり、リラクゼーションには最適の部屋だ。

美しくてエキゾチックな趣きのオーナーとゲストのエリアの裏側は、このヨットの心臓とも云うべきスペースとなっている。ここはただのエンジンルームではない。ルーセンが誇るエンジニアリングの芸術品が2階層にわたって設けられている。

クルーが無駄なく効率的に乗務できるよう、十分考えられて設計されているのも嬉しい。アンダーデッキ・クルーパッセージには膨大な量のリネン類を保管できる倉庫があり、その隣にあるランドリーも同じデッキにある。このヨットの全てに通じることだが、空間の使い方が非常にうまく考えられて、レイアウトされている。これは、経験豊富なプロジェクトチームだからできるものなのだ。

「クルーエリア、クルーキャビンにクルージム、そしてパッセージウェイにワークスペースは、クルーが乗務するにあたって非常に重要なだけではなく、チャーター運営や転売する上でも非常に重要だ」とオーナーは言う。

「クルーにはベストの状態で、ハッピーで、いつまでも私のヨットで乗務してほしい。そのためには、最高の勤務環境と生活環境が必要だ」と。

「Kismet(キスメット)」とはトルコ語で「運命」という意味だ。16歳の少年がアメリカに渡りエンジニアリングを勉強し、皿洗いやアイスクリーム売りに励み、最終的には世界で最高のヨットを手にする。まさに「キスメット」とは彼の人生そのものだ。

スペック

全長:95.20m
全幅:13.80m
喫水:3.75m
重量:2,428ton
構造:Steel hull / Aluminium superstructure
エンジン:2 × CAT 3516C
出力:2 × 2,000kW
スピード:Max 17kt
レンジ:6,000NM at 12kt
燃料容量:1,838,000L
清水容量:395,000L
キャビン:8
オーナー&ゲスト:12
クルー:28
ナーバルアーキテクト:Lürssen Yachts
エクステリア:Espen Oeino
インテリア:Reymond Langton
船級:LR 100A1, SSC Yacht MONO G6 LMC UMS

■プロフィール
ナイジェル・ビーティー:1969年、英国ベッドフォード生まれ。これまでにメガヨットのキャプテンとして、米国東海岸、バハマ、タークス・アンド・ケイコス、カリブ海、日本、中南米、地中海、インド洋、ペルシャ湾を航海し、航海経歴は30万海里以上におよぶ。現在、ヨットセールス、チャーター、コンサルティング、マリンパーツ販売を手がけるスーパーヨット・ロジスティックス(SYL)を日本人妻と運営。

今回ご紹介したメガヨットは、「Perfect BOAT」2015年12月号に掲載されています。

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