魔法をかける秘密道具!あの超人気店のシェフ愛用の調理器具を大解剖

ステファノ バイオッコのヘラ

ハーブ使いの名手はヘラとピンセットを愛用

ガルダ湖のほとりに佇む『ヴィラ・フェルトリネッリ』は、毎年4~10月の6ヵ月間のみ営業する2ツ星レストラン。シェフであるステファノ・バイオッコ氏は、去る2月下旬、『イル・リストランテ』で特別ディナーを開催するために来日。その手には、さまざまな調理器具が携えられていた。

道具は、その一部。「より正確な仕事をするためには細かい道具が必要」だそうで、肉や魚に詰め物をする棒状の器具「ラルデラトーレ」や、金箔用のハケなど、特別な料理にしか使わない道具を揃えているのが、シェフらしい。

いわく、「たくさんあるので、毎回必要な道具だけを出すようにしています」とのこと。

バラの花びらやアマランサスを使い、赤やロゼの色彩を重ねた前菜「マリネしたスカンピと赤カブ、バラのゼラチン」

毎回必ず使うのは、盛りつけや味見のためのヘラ。敷地内で栽培されるハーブや花をつまむためのピンセットと、計量カップ兼タッパーとして使用するプラスチックケースも、使用頻度が高いアイテムだ。

「ハーブは手で持つとしなびてしまうため、ピンセットを使います。素早く仕上げて提供することが料理の美味しさにつながるので、使う分量を計っておくことも大切。前菜やメインに添えるハーブは、プラスチックケース一杯分が一皿に対する適量なので、ケースに入れておき、ピンセットで盛りつけます」

繊細かつ香り高い料理は、かくして生まれるのである。

エビにオイルをかけ、ライムを搾ったら、ヘラでとって皿に置き、その周りにソースやオイルをバランスよく置き、ハーブを添えて完成となる

ハーブやバラの花びらなどはピンセットで盛りつけ

上.「ラルデラトーレ」、パウダーを盛る時に使う道具、「ラーゴ」。左.ハケ。中.ヘラ。右.筒形ケース。下.ピンセット&スプーン

香り高きハーブの旗手 美を構築する5つの道具

【細かい仕事を正確に仕上げる道具3選】
上から順に、肉や魚に詰め物をする「ラルデラトーレ」、パウダーを盛る時に使う道具、肉の塊を糸で縛る時に使う「ラーゴ」。ラルデラトーレはイタリア語で「豚の脂を差し込む」という意味で、ラーゴは「針」

【ホウキ状のハケは金箔専用】
料理に金箔をのせる時に使う、専用のハケ。金箔はピンセットでつまむとよれたり切れたりしてしまうが、この専門のハケを使うときれいに扱えるのだとか。絵の具の筆のような長さで、先はホウキ状になっている

【ヘラは常にズボンの後ろポケットに!】
イタリア人が味見や盛りつけに使う道具は、ヘラ。日本人にとっての菜箸のような感覚の道具だ。ヘラは厨房のスタッフ全員が持っているため、間違えないように柄の部分に「CHEF」と書いた紙を貼っている

【ハーブを収納する筒形ケース】
イタリアの薬局では定番のケース。蓋付きなのでハーブの水分が飛んでしまわず、一皿分の量を入れて用意しておくのにちょうどよいサイズでもある。これに用意しておくと盛りつけ時間の短縮になるとか

【ピンセット&スプーン】
ハーブは手で持つと体温でしなびてしまうため、扱う時はピンセットを使用。反対側がスプーンになっているこれは、パルマの料理学校でもらったのだとか。盛りつけの際に活躍している、愛用の道具である

■プロフィール
ステファノ・バイオッコ 『ヴィラ・フェルトリネッリ(イタリア)』シェフ。ホテルスクールを卒業後、『エノテーカピンキオーリ』『アランデュカス』『エルブリ』など、世界の名店で腕を磨く。現在は北イタリア・ガルダ湖畔のミシュランの二ツ星レストラン、『ヴィラ・フェルトリネッリ』のシェフとして活躍。

レストランがあるホテルは……
グランドホテル ヴィラ・フェルトリネッリ

北イタリアのリゾート地ガルダ湖畔の隠れ家ホテル

ミラノの富豪フェルトリネッリ家が19世紀末に別荘として建設した、由緒あるホテル。ネオ・ゴシック調の館内には二ツ星レストランがあり、敷地内には美しい庭園や菜園、プールがある。ホテルから湖へ出る遊覧ボートも好評。

※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。

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