フレンチの名店『シェ・イノ』の井上氏に聞いた、最高のソース作りの秘訣!

奥深きマディラワインが食材の輪郭を際立たせる
「リ・ド・ヴォーのフリカッセ エドワード7世風」

仔牛の胸腺肉であるリ・ド・ヴォーを牛乳に浸し血抜きをして臭みを取り除き、真空袋に入れ低温で湯煎した後、袋ごと氷水で冷やす。

するとプリッと弾け、とろける独特の食感に。最終的にソースであるマディラソースの中で軽く煮ることで、風味豊かな仕上がり。

ニンジン、タマネギ、セロリなどの香味野菜を軽くソテーし、マディラワイン、ブランデー、白ワイン、コンソメなどで煮込む。独特の香りと甘さを持つマディラワインは、リ・ド・ヴォーに深みをプラス。さらにソースに加えられるトリュフとも相性抜群

マディラワイン

旨みを重ね合わせていく絶品ソースは冷めても美味
「仔羊のパイ包み焼き“マリアカラス”風」

氏がマキシムでの修業時代、頻繁に店を訪れ、仔羊を好んで食べたというオペラ歌手マリアカラスに因んだひと皿は、レカン料理長時代からのスペシャリテ。

ロゼ色に輝く仔羊の中にフォアグラなどを挟み、パイで包み焼き上げる。合わせるのは、ポートワインやブランデー、フォンドヴォーで作るソース。

スペシャリテの不動の人気を支えるソースは、ポートワイン、マディラワイン、ブランデー、フォンドヴォー、トリュフ、バターなどを入れたソース・ペリグー。味も香りも濃厚で複雑なソースが、火入れの完璧な仔羊とパイにマッチ。えも言われぬ美味なる味を生む

ポートワイン

フルボディの赤が欲しくなる滋味あふれる野鴨のソース
「野鴨のロースト サンチュベール風」

味わうたびに鴨の旨みが広がるローストは、野鴨ならではの野趣あふれる味わい。胸肉やもも肉など部位ごとの味わいや食感の違いも楽しみたい。

ソースに野鴨の骨、内臓などを余すところなく使用し、鉄分たっぷりの野鴨のローストに寄り添わせる。こちらは、やはりフルボディの赤がぴったり。

野鴨の骨と首つるを焼き、赤ワインで炊いて出汁を作る。そこへエシャロット、ブランデー、少しのポートワインを加えソースのベースが完成。提供する際に捌いた時に出る鴨のガラ、フォアグラ、野鴨の内臓を裏漉しして加え、とろみと野鴨ならではの滋味をプラス

赤ワイン

井上旭氏 1945年、鳥取県生まれ。21歳で渡欧し、スイス、ドイツ、ベルギーを経て、フランスの三ツ星レストラン『トロワグロ』や『マキシム』で研鑽を重ねる。1972年に帰国し、銀座『レカン』の料理長として活躍。1984年にオーナーシェフとして『シェ・イノ』開店。以後、『マノワールディノ』、『ポンドール・イノ』などをオープン。長年の功績が認められ、ボルドーのコマンドリー、フランス農相の農事功労賞、日本の「現代の名工」など数々の栄誉を受賞。日本のフランス料理を草創期から支えるフレンチの巨匠である


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