東京婚活事情 Vol.1

東京婚活事情:取り柄のない普通の女が、眼科開業医を仕留めた理由

結婚相談所では6人の男性から結婚を前提としたオファーが!


「だって私、合コンに行ってもモテないし、連絡先すら聞かれない飲み会もたくさんあったから。誘ってもらえたらとりあえず参加はしてたけど、まだ20代だったし、結婚相談所ならもう少し価値あるかなって思ったんだ。前の恋愛では痛い思いしたから、本当に早く結婚したかったし。。」

彼女はそこで2ケタ以上の男性からデートの誘いを受け、6人の男性から結婚前提での付き合いを申し込まれた。彼女が提示していた条件は年収1,500万円以上。昔の恋人である上司より高い年収の男性と結婚したかったという理由だそうだ。

「同じ条件の人を自然に見つけようと思ったら、他の可愛くてヤリ手の子たちには敵わないし、そもそもその男性に結婚願望が本当にあるのかどうかも分からないでしょ。条件の良い男の人はやっぱりモテるから、美人で仕事もデキるのに遊ばれちゃって可哀想な友達もたくさんいたの。私はそんなの見極めることもできないし、時間を有効に使いたくて。」

その6人は収入以外の条件も決して悪くはなかった。結婚を前提にオファーを何件ももらえたことでそれまで冴えなかった有加子に自信を持たせた。女は自信を持つことが美しさに繋がる。結婚相談所でワンクッション置いたことで、有加子は自分の市場価値を正確に把握することができ、余裕を持つことで本命への出会いに繋がった。

アピールを侮るべからず。「良い人がいたら紹介して」と日頃から周囲へ言っていた。


結果的に彼女は、29歳で8歳年上の港区に眼科を開業する医師と結婚した。交際期間4カ月で結婚。専業主婦になり、六本木ミッドタウン近くの高級マンションで暮らしている。夫の収入は結婚相談所で提示したものをはるかに超えているそうだ。しかも、結婚相談所で出会った人ではなく、会社の先輩が紹介してくれたという。いろんな人に良い人がいたら紹介してくださいと、彼女は日頃から周囲にアピールしていたようだ。

「見た目は地味なおじさんって感じで、昔西麻布の飲み会にいたようなキラキラしたカッコいいお医者さんタイプでは全然ないよ(笑)。でも本当に私にとっては最高の旦那さん。最初から私のこと気に入ってくれたし、私だけを本当に大事にしてくれる。出会い探しに夢中で花嫁修業ぽいことも特にしていたわけじゃないけど、ありのままの私を愛してくれるっていうか。まだ20代だったことも大きいのかも。奥さんにしてもらって感謝してるから、結婚後は旦那さんのサポートをできるだけ頑張ってるよ。」

そう謙遜しながら夫の話をする彼女の笑顔に、昔の痛々しさは見当たらない。

もともと職業や見た目などスペックは決して悪くない有加子が自信を持てば、出会いの少ない40代男性からは十分に魅力的な都会の女である。彼にとって若く清純で女らしい有加子は一目惚れも同然であった。有加子にとっても、結婚相談所で出会った他の女性を天秤にかけている可能性のある男性よりも、知人の知り合いで自分1人に目を向けていてくれる男性の方が安心感があった。

髪をかけた耳にはピンク色に上品に発光する大きなパールのピアス。胸元には同じパールが一連で飾られている。質の良さそうなベージュのノースリーブのニットと合わさり、柔らかい色気が漂う。

都会の昼下がりを彩るセレブ妻として、しっくりとこの港区の住人として溶け込んでいる。しかし彼女が夜の西麻布に足を運ぶことはもうないだろう。必要もない。30を過ぎたある種の女にとっては、夜の西麻布は昼の六本木より格下だ。


「今はお料理教室とか、テーブルコーディネートとか、好きな習い事にいろいろ通わせてもらってる。私も家のことをするのは好きだし、旦那さんもそれを喜んでくれるから、相性がいいのかな。年が離れてるからか、ケンカも全くなくて。」彼女はとても幸せそうだ。

東京での己の位置を知れ。有加子の婚活戦略解説


どんなに美人でも、男に恵まれずギスギスと尖って乾いていく女もたくさんいる。

愛してくれる夫を見つけたことで、またそれに素直に感謝することで、水を得た魚と言わんばかりに美しく魅力的な女に変身を遂げた有加子。愛情はもちろんだが、金をかけられた女はそれだけ美しくなるのだと実感せずにはいられない。30歳を過ぎると、裕福な生活はそのままオーラとなって身を包んでしまう。

「思うようにいい人が見つからなくて、疲れることも結構あったけど。でも時間は止まってはくれないし、出会いを探し続けてよかった。あの時婚活がんばって本当に良かったな。」


彼女の婚活は「大勝利」といえよう。

その成功の秘訣は、人と自分を比べず、自分の価値と長所を見極めた上で、その中で最大限の良い男を見つけようとしたことだといえる。また自分に正直に、結婚というきちんとした目標を定め、回り道をせずに素直に突き進むということは、意外と誰しもができることではない。

婚活初期は都会の一流とも言える女友達と行動を共にしていたが、そこでは埋もれてしまう自分の存在を有加子は素直に受け止めた。

結婚相談所に登録し、思いのほか出会いが広がり自信をつけることで有加子は魅力を増し、東京の中心で出会いを探すことだけが婚活の方法ではないと知り、合コンなど表に出ていない男性になら自分の市場価値はまだ十分に高いと知った。

そんな中知人の紹介で出会った地味だが真面目な40歳の医師は、すでに場数を踏んでいる有加子にとって落とすのは全く難しいことでなく、有加子にとっても結婚願望があり安心感を抱ける彼は十分に愛せる存在になった。

彼女は真面目で優しくしっかりした性格であり、結婚願望のある男性に対して「紹介されやすい女」だったとも言える。難しいことはせず、彼女は自分に合った婚活法をきちんと見定めていたのだ。

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