今年のトレンドはカウンター!食事をエンタメにする話題の超人気3店

無機質なモノトーンで統一された店内は、死=ネガティブさをイメージ。これにより料理という生=ポジティブな存在がさらに際立ってくるのだとか

「森」をテーマにしたコースのひと皿目に供される「落葉の抽象表現」。67℃で8 時間乾燥させた生ハムとグリッシーニがゲストを森の中へと誘う。奥はポルチーニと醤油を配合した「スニッフ」。鼻に抜ける感覚で森の土の香りが

「死」から生まれる「生」の限りを尽くした五感を駆使する劇場型晩餐会『81』

スペインの三ツ星レストランとして名を馳せた『エル・ブリ』。そこで研鑽を積んだ異才のシェフ・永島健志氏が東京・要町に新機軸のレストラン『81』をオープンし、美食家たちの度肝を抜いたのはまだ記憶に新しい。

ところがその興奮も冷めやらぬうちに2015年9月9日、西麻布へと活躍の場を移すことになった。

サウンドプロデューサーがDJブースで料理やシーンごとに異なる楽曲を披露

店舗は1Fがウェイティングスペース、2階がメインダイニングという構成。メインダイニングに入った瞬間、まず驚くのが、個性的なコの字型カウンターをはじめ、床や壁まで全て黒のグラデーションで統一されている点だ。

「飲食店としては規格外かもしれませんが、店内は『死』をイメージしています。その空間で料理という『生』を楽しむ。その対比を表現したかった」と永島シェフ。彼にとっての料理は、ゲストが入店した時点で始まっているのだ。

奇抜さをクローズアップされがちな永島シェフだが、その料理哲学に微塵もブレはない

そして料理がスタートすると同時に閉ざされていた厨房への扉が開く。役者が勢揃いし、文字通り至高のディナーが幕開けする。同時にクラシカルな雰囲気のゆったりとした音楽が流れてくる。ひと皿ごとはもちろん、同じ皿の合間でも必要とあれば音楽が変わってゆく。

「皿の上だけでは料理は完成しないというのが僕の哲学。味覚、嗅覚、視覚や触覚だけでなく聴覚まで使って楽しめてこそ、はじめて優れた料理だと思うんです」

なるほど「五感で楽しむ料理」という言葉はよく使われるが、永島シェフほどこの言葉を体現した料理を生み出す人物がいるだろうか。

要町時代からのリピーターにも定評がある「カルボナーラの再構築」

そんなシェフは今回のリニューアルを「心機一転というより脱皮という感覚に近い」と語る。従来通り、定時に一斉スタートという独自のスタイルはそのままに、テーブルが8名から12名へとキャパシティが拡大した。

「言うなれば、要町時代は個人でやっていたようなもの。でも今は裏方も含め100人近い人が『81』というプロジェクトに関わっています。つまりやれる幅も格段に広がっているんです」

新たにスタートした『81』劇場の第二幕ではどんなサプライズを我々に見せてくれるのか。しばらく目を離せそうにない。

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